人魚姫は身を投げる
それからわたしは毎日教室に行った。隣の席の
「
「え?どうしてそう言い切れるんだい?」
「それはね…わたしが調べたところによると、
「ふぅん…あ。でも、どうして17回目の誕生日だってわかったんだい?」
「えっあっあっ…あの…それはね…そう!まだ
「へぇ!それは知らなかったなあ!さすが
大体の日が終始こんな具合だった。この調子では
それから1カ月ほどが過ぎると、
「ねえ、
「えっどうしてだい?」
「えっと…そうね…あの…わたしが思うに…だけど、彼女は、
「あ…ああ…。そ、そうなんだ…そうか…。そう…でもぼくはもう…ううん、ありがとう、そう言ってくれて。
わたしは、
***
今日も、天を仰ぐと、きらきらと水面が輝いている。ごぼっごぼぼっと空気がこの場所を通り抜ける音が頭の中に響く。身を翻して、ターコイズブルーのこの部屋の中でゆらゆらと泳ぎ続ける。アクリルガラスの向こうに
ふと
視界一杯に彼の薄くて綺麗な桜色の唇が見える。近づいた
「 か し な さ ん 」
心臓が跳ねて、思わず後ろに飛び退いた。ごぼぼっと水音が脳へ響き、背中に水の冷たさを感じた気がした。彼は、確かに”
***
ヘッドギアを外してしばらくしてもまだ、鼓動がわたしの胸と耳を激しく叩いていた。気のせいだ、気のせいだ、と何度も思おうとしたけれど、音の聞こえぬガラスの向こうで、確かに彼の唇は
大好きな
人魚姫は、王子の真の愛を得られないことを知ると、自ら身を投げて死を選んだ…。わたし…
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