第43話 やわらか竜人

おじいちゃんとおばあちゃんの下に戻ると二人に祝福してもらった

この姿はやっぱり見たことが無いらしい

それでも異常は見つからないから問題なしと判断された


「さらに自分で鍛えていくのじゃ。もし、行き詰ることがあればいつでも訪ねてこい。用が無くても遊びに来るのじゃよ?」


「えぇ。コグトス、いつでも頼ってきて下さいね。かわいい孫なのですから、たまには顔を見せに来るのですよ?」


「はい。おじいちゃん、おばあちゃん、お世話になりました」


毎日食事を用意してくれて、微笑みながら見守ってくれていたおばあちゃん。いつでも助けられるように空を飛んでくれていたおじいちゃん。本当にありがとう


僕とミャムは山を降りる。

もう空を自分で飛べる。姿の変え方は覚えた。力の使い方はこれからだ


「ミャムは……僕が通訳したほうがいいのかな?」


「んー……そうね。その方がいいのかも」


「とりあえず皆にいろいろ説明しなきゃ。結構留守にしていたし」





ボルトワの御屋敷が見えてくると、シーナさんが門の側にいた


「シーナさーん!」


「おぼっちゃま!」


僕は庭先に着陸して、元の姿に戻ろうと思ったが……


「服が……」


「もぅっ!そのまま行きなさいよ!」


「う、うん」


シーナさんの元に行くと抱きしめられた。結構留守にしてたからなぁ……


「ご無事で何よりです……それにしてもご立派になられました」


「なんとか変化できるようになったよ。最初は泣きながらだったけどね……」


「「「おかえりなさい」」」


「シゼラさん、ミーナさん、ナタリーさん。ただいま戻りました」


「おかえりコグトスちゃん。簡単なようで難しかったでしょう?」


「ただいま母上。簡単ではありませんでしたよ……切り立った崖の上で瞑想しろって……最初は気を失いました」


「ふふふ♪皆が通った道ですよ。良く頑張りましたね」


「はい。父上は?」


「あの人は例の氷精族の小屋に行きましたよ。こちらが挨拶もせずに交流とはいかないだろうと」


そっか。父上もなんだかんだ忙しいからなぁ……


「あ、そうだ。この姿に変われるようになった時から、ミャムの言葉が解るようになりました」


「「「「「え!?」」」」」


「みゃんみゃ?(どうしたら理解してくれるかしら?)」


「んー……僕が指示してそれをやるっていうのも……元々がそうだったからなぁ……」


「みゃーん……みゃ(難しいわね……意外に)」


「そうなんだよね……あ!いい事思いついた。僕が後ろ向いてるから、皆に棒で背中を突いてもらおう。それをミャムに誰がやったか言ってもらって、僕が当てる」


「みゃみゃ(それでいきましょう)」


ということで、皆に背中を突いてもらう

棒の高さが変わったらいけないから、正確に背中の中心を水平に突いてもらう事にした


「いいよー」


背中側でゴソゴソ音がした


「みゃん」


「今、ミーナさんが棒を持った」


「「「「「え?」」」」」


「みゃみゃん」


「ミーナさんと思わせておいて、シゼラさんという作戦」


「「「「「……」」」」」


背中をつんつんされる


「みゃん」


「母上だ」


「「「「「合ってる……」」」」」


その後、何回か行った結果、話せるという事で落ち着いた


「それで、ミャムも奥さんになります」


「えぇまぁ、そうですね。以前、宿で言ってしまいましたものね。コグトスちゃん」


「はい。僕はいろいろと覚悟を決めてきました。明日、女王陛下の元に行ってきます。自分から全部話してこようと思います」


「わかりました。とにかく……おかえりなさい。」


「ただいま。母上。皆」


これからまだもう少しやる事がある。まずは女王陛下に話をして、人狼族との戦いに向けた訓練だ。

残された時間は少ない。およそ2か月と少しという所かな?

頑張らないと


「うーん……竜化といっても割と柔らかいんですね?ウチはもうちょっとガチガチかと思ってました」


「え?」


「棒で突いたときの感触で……」


「シゼラさん、まだコグトスちゃんは幼竜なのです。これからしっかりとした体になっていきます」


「そうなんですねー」


え?不安が出て来たんですが……


「ちょっ……ちょっとシゼラさん、人狼族みたいな戦い方できますか?」


「少しならわかりますよ?」


「じゃぁ、ちょっと試しにやってみてください」


「え?結構まずいと思うけど……」


「手加減で、手加減でお願いします」


「……わかりました」


少し離れた位置でお互い向き合う


「お願いします!」


僕は全身に力を込めて、待ちの姿勢だ。とりあえず殴られてみよう


シゼラさんは体を屈めると、人狼族に似せるためか、腰部の脚を地面に突き刺し、バネの要領で真っ直ぐ弾け飛んできた。

姿勢を低く保ちながら、体格差を無くすためか、空中でクルリと半身になり地面すれすれの拳を僕のお腹めがけて突き出してくる


ボグッ!

という何とも鈍い音を放ち僕の腹部にめり込んだ拳


「うげぇぇぇぇぇえ」


僕は胃液を吐いた。余りの苦しさにのたうち回り、ジタバタと暴れる

骨や内臓に異常はなさそうだが、体内にかなりのダメージが入ったようだ





「申し訳ないです……ホントごめんなさい」


シゼラさんが介抱してくれていた。他の皆も側で見守ってくれている


「いえ……僕が言った事なので……」


少し落ち着いたが、返事をするのも精いっぱいだ


「やっぱ柔らかいです……ウチは体格差があるので無駄な動きがありますが、人狼はもっと早く体制を整えてきます。瞬発力が拳に乗って来ますから威力も相当……流石に爪までは使ってこないと思いますが」


「うん……うん……」


「比較的柔らかい部分を意図的に狙って、そこから破壊してくるので、首、お腹、腋、股……この辺りは警戒が必要かと思います」


「うん……うん……」


「あ、ベットに運びますね……」


「お願いします……」





お姫様抱っこでベットに運ばれていった…………

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転生で幸せになりたいと願ったら魔族になりました~本当に大丈夫ですよね?~ タベタ @seki6067

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