3000PV感謝SS 詰んだハロウィーン

もう10月だ。時間間隔と暦が前の世界と一緒なのはとてもありがたいと思う

王都への旅が5年前。もう僕は8歳だ

いろいろと勉強に訓練にと毎日忙しくて、時間が過ぎていくのが速い


「おぼっちゃま。シーナです」


「はーい」


「ミーナ姉も来ていますので少しお茶にしてからお勉強しましょう」


「こんにちは」


「ミーナさんこんにちは」


ミーナさんはここまですぐ来れてしまう

元女神様のパワー的な何からしいけど詳しく教えてくれない


僕たちはおやつを楽しみながら他愛もない話をしていた


「そういえば、ホーグムに行く手前に寄った村は覚えておりますか?あの村で結婚式が行われたみたいで……お祭り騒ぎだったみたいですよ?」


「へー。村長の跡取りと農家の娘さんかな?」


「そうです。仲良かったみたいですからね」


「珍しい。なかなか結婚式挙げる村は無い」


そうなんだ……お祭りはいいよね。屋台とか

そうだ。10月だからハロウィーンをやったら盛り上がるんじゃないだろうか?


「シーナさ……ん」


あ、だめだ。もう仮装してるようなものだもん……角あるし、シーナさんメイド服だし、隣で寝てるミャムなんて羽生えてるし

うわぁ……ダメだ……出会ってきた人全員、もう仮装済みだもん!いや失礼か


「おぼっちゃま?なんでしょうか?」


「ううん……なんでもない」


「そうですか」


「コグトス。何か面白いお祭り無い?」


うわぁ!振ってきた!


「ん、んー……無いかなぁ?」


「うそ。嘘ついてる」


「え!なんで!?」


「さっき言い淀んだ。絶対に何かある」


うぐ……どうしよう……もういいや。話しちゃおう


「その……ハロウィーンというお祭りがありまして……子供が仮装して、家を回ってお菓子を貰うんだけど、僕が居た頃は皆が仮装してお祭り騒ぎしてたなぁって」


「仮装……ですか?」


「うん……羽付けてみたり」


「「羽……」」


二人がミャムを見る


「角付けてみたり」


「「角……」」


二人が僕を見たり、お互いを見たり


「メイド服着たり」


「「メイド服……」」


シーナさんを見る


「鎧とか着てみたり、軍服着てみたり」


「「鎧に軍服……」」


二人が外で警備してる人を見る。あ、今日はラフブさんだ


「…………」


「「…………」」


気まずい沈黙が数分続いた


「それ……やらなくても」


「それ以上は言わないでください……いや他にもあるんですよ?でもこの世界だとわからないかなぁって物ばかりだし……ここにある物で言うとそうなっちゃうんですって」


「おぼっちゃまは悪くないですよ?ミーナ姉さん」


「うん。ごめん」


なんだかなぁ……あ、あれなら


「カボチャを顔の形にくりぬいて、中に蝋燭入れてランタンにしますね。中身はお菓子にしたりして食べます」


「ちょっと厨房に行ってきます」


暫くしてシーナさんがカボチャを持ってきた……緑の


「あー……ですよね……」


「違いますでしょうか?」


「合ってるんだけど、オレンジ色のカボチャなんだ……」


「そんなの見たことない」


そうだよねぇ……確か種類が違うんだよね……しかも食べられないくらい渋いって聞いたような


「まぁ……いいかぁ。これで中身くりぬいて、ランタンにしてみよう!」



それからせっせと中身をくりぬいて顔を作っていった……

出来上がったランタンを、庭に並べて火を灯しておく

これで夜になれば明るくなるはずだ

僕たちは訓練をしに行った




暫くして辺りが暗くなり、そろそろだなと思ったころ、庭先からメイドさんの悲鳴が聞こえた

慌てて向かうと、その視線の先には、くりぬいた目と口の部分だけ明るくなっているランタンがあった……ぶっちゃけ怖い


「コグトス。これは無い」


「おぼっちゃま……これはちょっと……」


「すいません……」



その後、僕は父上と母上に悪戯しないようにと怒られた

カボチャはおいしくいただきました


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