第40話 おじいちゃんとおばあちゃんがやって来た
近づき難いロイヤルオーラとでも言おうか
凄い威厳に満ち満ちた方々が現れると、おじいちゃんとおばあちゃんを名乗ってきた
生まれてこの方、お会いした事は無かった
いずれ、と女王陛下に言われていたが……先に行くべきなのは、おじいちゃんとおばあちゃんの所だったかもしれない
親族なのに顔も合わせずにいるのは寂しいじゃないか……
「なかなか来ぬからな……凡そ、一人で飛べるようになってから……等と考えておったのだろうが、それはそれで寂しいではないか?」
「そうですよ?シフォニアが子煩悩なのは解りますが、少しは私たちを頼ってもいいのではなくて?」
おじいちゃんとおばあちゃんの攻撃に、絶賛恐縮中の我が家の両親……
「あ、あの……おじいちゃんおばあちゃん、その辺で……病弱だった僕の身を案じての事だったので父上も母上も悪気があったわけでは無いのです……」
「おぉおぉ……良い子に育った様じゃな。うんうん。そうであったな。おじいちゃんが悪かった。責めるべきではないな」
「そうね。おばあちゃんも悪かったわ。大変な病だったと聞いていました。その後は大丈夫なのですか?」
鮮やかな掌返しだ!威厳は何処へやら……ふにゃふにゃの笑顔で頭を撫でられる
「おかげさまで病も癒えまして、今は旅をしています」
「そうかそうか。して……何処まで行ったのじゃ?」
「先月程から氷精族の村に行き、帰ってきたばかりです」
「そうなのねぇ。氷精族はとても心優しい方達だったでしょう?種族柄、あの地から出ることができないけど、厳しい大地で慎ましくも逞しく生きていらっしゃる素晴らしい方達ですもの」
「はい。ですから、彼らがギリギリ来れる場所を選定して、そこに小屋を設け、行商人の立ち寄り場所にすることにしました。今よりも少しだけ、交流ができるのではないかなと思いまして」
「おぉ!それは良い事じゃ!素晴らしい!」
「シフォニア、良い子を授かりましたね。安心致しました」
「お母様、ありがとうございます」
「して、何を皆で話していたのじゃ?深刻そうな顔をしていたぞ?」
「先王様、我が息子が来春、人鱗族の元に行き、このボルトワから南までの防衛を強化したい……と申してきたのですが……如何せん、私目が嫌われております故……それに息子も、竜族以外の婚約者を見つけて来たものですから、彼方がどう出るかわからず……」
「ふむ……しかし、シェルティアと婚約するのであろう?ヨアンナが手紙を持ってきたぞ?今更何の執務をやらせる気だと思った程の枚数であったが……違うのか?」
「はい。女王陛下とはそのような話になっています」
「うむ。ならば問題あるまい?側室であるとすれば、他の者も目くじら立てられる事もないであろう?婚約者は誰ぞ?」
「えっと……ここにいる……」
皆の方に振り向こうとすると勢いよく……
「シーナと申します。コグトス様の専属メイドでしたが、先月プロポーズされました!」
「ミーナ。同じく」
「ナタリーです!まだ問題がありますが、同じくプロポーズされました!」
「シゼラです!執事をしております。まだ間もないですが、同じくプロポーズされました!」
圧が……
「後は、ここにはいないのですが、女王陛下と、リザさんという人馬族の方が教会で勤めを果たしてから嫁に来ることになっています……」
「ふむ……魔族に、妖精族に、人蜘蛛族に、人馬族……それに竜族か。なぁコグトスよ?」
「なんでしょう?おじいちゃん」
「おじいちゃん……素晴らしい響きじゃぁ……おっと。コグトスよ、お主いっそのこと、全種族から嫁を貰ってはどうじゃ?そうすれば角も立つまい」
えぇ……どっかの俳優さんみたいな発言なんだけど……
「えっと……ですが氷精族は居ませんよ?あの場所から出れませんし……」
「お主が通えばよい。いずれ空を飛べるようになるであろうから、そうすればすぐに行ける」
単身赴任か……
「相手が……相手がそれでいいなら腹をくくります」
もう一旦座った腹だ。なるようになれ
「うむ。人鱗族にその旨、手紙を出しておけ。人狼族にもじゃ。出向いた時に話が進むようになるであろう」
ほんとにそれで大丈夫なのかなぁ……不安なんですけど
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