第35話 会議する

体育会系元気に殺しちゃう娘を採用して、数日

仕事ぶりはすこぶる素晴らしく、シーナさんとも仲良くなり、側に仕えてくれている

彼女の糸を僕にも付ける許可を出したら、僅かな体調の変化も気が付くという凄さ

大柄ではあるが、存在感を自由にできるのも凄い

習性なのか部屋の角を好み、部屋の天井角に巣を作りそこで寝ているそう


シゼラさん専用に大きめのペンを用意してあげたらとても喜んでくれた

シーナさん曰く、毎日ペンを眺めてニヤニヤしているそうだ



そろそろ旅にでる。今日、目的地の設定を旅に同行する人で決めようと会議をしている


「僕としては、人鱗族の所に妖精族を一人連れていき、連絡手段の確保をしてしまおうかと思っているんだ……どうかな?」


その為に妖精族の協力を取り付けたわけだしね


「氷精族を先に行くのもアリ。もしかしたらコグトスの知識で何か変わるかもしれない」


「うーん……でも資料無いんだよなぁ……」


戦争で大勝したっていう記実以外は見つからなかった。後、見た目。凄く怖い印象らしい。それはいろいろ慣れたような気がするけど

おおよその見当はつけてみたけど、その検討でも情報が無い者だった


「コグトス様。妖精族として言わせていただきますと、人鱗族の元までならすぐに行けると思います。私もどちらかと言えば氷精族がいいと思います。最悪、逃げ込む場所と考えるなら、まず、他の種族が生きていける環境の整備が必要になるかもしれません。そういう問題は時間がかかるので、今、ボルトワがまだ安全である状態で始めた方がいいと思うのです」


「一理ありますね……人鱗族は人狼族との義理もありますから、なかなか動かない可能性も視野に入れると……先に氷精族の元に話を付けに行くほうが建設的かもしれません」


「氷精族なら、ウチら人蜘蛛と仲いいですよ?」


「「「「え?」」」」


なにそれ?初耳


「え?知りませんでした?おじいちゃんから聞いて……あ、おじいちゃんは寒いから行かなかったのか。でも知ってたはずですよ?」


せ、セバスさーん……いや、僕が聞かなかったのが悪いか


「氷精族は寂しがり屋なんで、冬の季節が来ると人蜘蛛の里の端までたまーに来て、お酒飲んで帰りますよー。お土産は氷漬けの魚とか、凍らせた海鮮類が多いですねー。代わりにお野菜持って帰ります。冬は作物が不足しがちらしいですよ」


「聞いてた以上にすごいフレンドリー。びっくり」


田舎の物々交換みたいだ。たまに農家の方がくれたりするんだよなー


「とりあえず行きます?……もうすぐ寒くなる季節なんで人鱗族よりいいですよ?彼ら寒くなると南端まで行っちゃうし、その間は人狼が来るから話ややこしくなるだけで進まないですよ?それに人狼も含めた話にするなら春先がいいですよ?両者が居ますから」


シゼラさん超優秀!!!めっちゃ優秀!!!!


「シゼラさん採用してよかった……」


「えぇ……おぼっちゃまの目は確かです」


「お役に立てたみたいで嬉しいです!」


「シゼラ、氷精族の元に行くに当たって、注意事項はなに?」


「んーっと……寒いので、暖かい恰好を。後、お土産は甘いお菓子類がいいですね。前に羊羹あげたら切らずにそのままかじってましたから。飴とかいいんじゃないかなー?魔獣は魔猪、魔鹿、魔兎が居ます。マチョマカマトで覚えてください」


「「「「マチョマカマト……」」」」


「なんか言いやすいでしょ?」


悔しいけど言いやすい……


「それくらいですねー。あ、馬車は全然通れます!なんか道路だけはいつも綺麗に整備してくれるんですよねー。多分、寂しいから誰でもいつでも来れるようにしてくれてるんだと思います」


「行動力のある寂しがり屋」


「おぼっちゃま……思ってたより協力できそうじゃないですか?」


「うん……そうだよね……でもこんなにフレンドリーなのに、なんで資料が無くて、誰も知らないんだろう?」


「誰も行かないからですよ」


「え?そうなの?そんな単純なの?」


「はい。すっごい寒いですし、前が見えないくらい吹雪いてしまうと遭難しちゃうし、向こうからは来ないし、唯一知ってるウチら人蜘蛛はそもそも人選ぶし……」


「あー……陸の孤島で交流も無いのかぁ……」


そういう単純な理由で何もわかってないのか……


「わかった。じゃぁ氷精族のいる北に向かおう。寒さ対策をばっちりして、不備の無いように。シーナさんとシゼラさんでお土産の選定お願いします」


「「はい」」





たのしみだなぁ……旅はいいものだ






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