第31話 闘技大会2
『あわや大惨事!という所でしたが、結界を張りなおして再開いたします!』
『今度は大丈夫』
新たに結界を張りなおして本戦スタートが決まった
いやぁ……すごいね……セバスさんもギム様も。戻ってきたセバスさんに話を聞くと、一見優勢かと思われたセバスさんもキッチリダメージを負っていたそう
あんな大柄な見た目に反して、関節や急所に攻撃を入れてくるコントロールと、初めて戦う相手でも弱点を見抜いてきたという
繊細な事もできるんだなー
「ギムさますごいね!」
「おうよ!あたりめぇよ!」
何気に清々しいのもポイント高いのかも
「セバスさんはかっこよかったね!しゅしゅしゅしゅって!」
「ほっほっほ。おぼっちゃまに楽しんで頂けたなら、このセバス何よりの褒美でございます」
「両名とも天晴であったのじゃ。しかし、周りが見えなくなり、観客に攻撃が及んだことは褒められぬ。ますます精進せよ?」
「「ははっ!!肝に銘じます!!」」
『それではー!!第一試合!!東側!鬼族出身!機動隊隊員のゴンズ!!今年は優勝を狙えるか!!!?』
『前回は3位。今大会の人気は1番』
『対する西側!!なんと妖精族だー!!種族の参加も初めてですがお目にかかるのも初めて!!妖精騎士ナタリーーーーーー!!!』
あっ!!宿屋の妖精さんだ!!!やっぱり参加するんだ
『彼女とは所用で会った。戦いは始めて見る』
『これはどう見ますかね?正直な所、攻撃が通るのかどうかもわかりませんが』
『逆に当てにくいのもある。精密な攻撃はギムでも長い年月訓練してた』
「うっ!うっせーぞ!ばらすな!!!」
『ギム様の照れも頂いたところで!支持率発表!!』
『ゴンズ55%、ナタリー35%、使徒10%』
『なんと使徒様が二桁突入だーーーーー!!!』
『順当』
順当じゃないよ!?関係ないからね僕!?
「妾も入れておいたぞ♪」
陛下ー……
『それでは!!!第一試合開始!!!!』
「ちいせーからって容赦はしねーぞ!?」
「かまいません!正々堂々勝負です!」
ナタリーさんが真っ直ぐ飛び込んでいくとゴンズさんが盾を構える。
がいーーーーん!!!という想像もしなかった重い音が鳴り響く
『なんという重い響きでしょうか!!!あの小さな体にこんな力があるなんて誰が想像したでしょうかーーーーー!!!』
『魔技だと思うけど……』
「くそっ!意外に重い一撃じゃねーか!やるな!」
「まだまだぁっ!!!」
がいんがいんと重い連撃を盾に入れ続ける。しびれを切らしたゴンズさんが盾で払いのけるが、ひらりと躱してひたすら盾を攻撃し続ける
『どういう事なんでしょうか!?身軽に動けるのにひたすら盾を攻撃し続けています!!躱して体を狙いに行けばよさそうなのに!』
『わからない。謎すぎる』
「ちっ……くしょう!遊んでやがるのかっ!ふざけるなっ!」
ゴンズさんが盾で地面を思いきり払う。巻き起こった土煙りでナタリーさんが飛ばされ、距離を空ける
「違う!遊んでなどいない!!!我々は……我々妖精族は命あるものに触れる事ができないのだ!!!」
そう言ってゴンズさんに瞬きも許さぬ物凄い速さで飛び込むと、足に小さな木剣を振りかぶり……スカっとすり抜ける
「我々が持つ物も!命ある者に触れる事が出来ないのだ!体も小さく物も持てない!小さな荷物も数人がかりで運ばなければならない!戦闘に出ても相手を倒すことができない!それゆえ仕事もない!悪戯しに来たと罵られ、生活もままならない!森の中で長い間ひっそりと生活してきた!」
ナタリーさんの叫びが闘技場に響く。どんな種族もそれ相応に力や魔技がある分、小さい物や軽い物が発達していない世界だとこの旅で感じてはいた
「我々の地位向上の為にっ、この大会に妹と参加しにきたのだ!一族を背負っている!遊びだ等と言われたくないっ!!!」
いやぁっ!という叫びと共にゴンズさんの盾に更に重い一撃が入る。銅鑼を思いきり叩いたような音が鳴り響き、ゴンズさんが思わずよろける
「我々にだって意地はあるのだっ!!!!」
「「「「「「おぉぉぉ!!!ゴンズがよろけたぞ!!!」」」」」」
『なんという悲痛な叫び!!!なんという重い一撃!!!彼女の小さな肩に!一族の未来が背負われているのかーーーーー!!!』
『知らなかった……知らないというのは罪』
「へいか……」
「なんじゃコグトスよ?」
「ようせいぞくをぼくがもらってもいいですか?」
「ふむ……何か案があるのかの?」
「あります。かのじょからうずまくかぜが、ぶきにのってる」
「ふむ……相分かった。ならばこの試合も止めるかの……どのみち、ゴンズが盾を捨てたら勝ち目はないのじゃから……」
「ははうえ」
「なぁに?」
「ようせいぞくをりょうちで、ぜんいんやといたい。ちちうえゆるしてくれるかな?」
「大丈夫でしょう。何かできるのですね?」
「かならずちからになってくれる」
「わかりました」
女王陛下がまた席を立つ
「そこまで!!!!」
『おっと!女王陛下から終了の声!!!どうしたことか!!!』
「この試合これまでとする!勝者はゴンズ!」
『なんということだー!!あんなに頑張っていた妖精族に希望は無いのか!!!?』
『ちょっと静かに』
「妖精族ナタリーよ。ゴンズが盾を捨てた場合、そちに勝機はあったか?」
「…………ありません」
「じゃろう。悔しかろうが此度はそちの負けじゃ」
「……はい」
「しかし!……使徒殿が其の方ら妖精族全てをもらい受けると言う。ボルトワの領地に住まわせるというのじゃ。何やら其の方らに仕事を任せるようじゃな」
「えっ!」
「どうじゃ?其の方ら一族全員で着いて行くか?」
「は、はいっ!!是非に!!」
「うむ。では妖精族全員、使徒コグトスの私兵となるがよい!!」
「「「「「「おーーーーーーー!!!」」」」」」
「「「「「「使徒様ーーーーー!!!」」」」」」
『またもや使徒様大活躍!!!やはり支持率10%は伊達じゃなかったーーーーーー!!!』
『順当』
もういいや……
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