第27話 お勉強会(前編)
「まず初めに、広義的に魔族としましょうか。魔族の出生率の低さは聞きましたね?」
「はい」
「極端に低くしているわけでは無いのですが、長命である分、低くした……と考えていただければよろしいかと思います」
そうだった。神様だからそう作ったわけだ
「はい。しかし、それはなんとなくわかりますが……」
「えぇ。増えすぎれば環境が崩れますし、良い事ばかりではないですからね」
「えっと……何が言いたいのかわからなくなりました」
「人族。と、呼ばれているもの……昔のあなたと同じ姿かたちの者たち。彼らは短命で、爆発的に種を増やします。知恵もあり、技術もあり、集団行動も得意で、統率もある。あなたの世界では奴隷もあったし、今現在も奴隷の様な生活を強いられる者も多く、自ら命を絶つものも居れば、育てられない子を産み続けるものも居る」
「そう……ですね……言葉にすると少し痛いものがありますが」
「申し訳ありません……あなたを責めるわけでは無いですが、少し厳しい話になるでしょう」
「はい……」
「私は、この世界に人族は作っていないのです」
「……え?」
「もっと言えば、他の次元、他の世界にも別の神が管理する世界がありますが、どの神も人族は作っていないと言うのです」
「どうゆう……こと……」
「いつの間にか現れ、いつの間にか増え、どんどん世界を食い尽くし、環境を破壊し、先住動物を殺し、さらに同族で殺し合い、いずれ世界が滅ぶ……そういう世界が沢山あります」
僕は閉口した……何も言えない
「私たちは地球……あなたの世界の神に問おうと思いました。そこに多く住んでいることを知ったからです。しかしながら……あの世界に神は居ないのです。居なかったのです。我々より高次元で、もしくは名も知らない神かもしれないと思い、多くの世界の神々と話をしました。滅んだ世界の神にも……ですが……誰も知らないのです。名も、姿も」
沢山、神の名はあったけど……
「私たちは困り果てたのです……こちらから接触もできない存在が、世界を壊していく様を見続けなければならないのは……」
「堪えますね……」
「はい……そこで、死者ならば接触できないか?という考えから、多くの神がそれを試みて、長い時間を費やして実現し、こうして私は幸多さんとお会いしたというわけです」
「僕がこの世界に選ばれたというのは」
「世界を壊された神々が、死者の魂を選定し、選ばれた魂を各地の対話を試みたい神の下へと送っています」
そうだったのか……
「コグトスがかかった病気……あなたの世界では「おたふく風邪」と呼ばれているものですが……」
「あー……やっぱりそうなんですね」
「はい。あれも人族が持ち込んだ病気です……本来であれば魔族はかからない病気ですが、変異してしまったのでしょう」
「なんとも……」
「成人した者が罹れば、場合によっては子孫が作れなくなります。そんな病気をわざわざ世界に作り出すことはしません」
「ですよね……」
「どれもこれも、細部に至るまで、世界を壊すことに特化した様な生物……共存できない生物……この脅威に対処して頂くことになるかもしれません。先ほど「同族で殺し合い」などと非難しておきながら、あなたにそれをしてもらうかもしれないのですから……私も人の事は言えませんね」
少し寂しそうな顔をされると弱いなぁ……
「できる限りでいいのです……本当にすみません……」
「わかりました……家族と呼べるものがやっとできたのですから……頑張ってみようと思います」
「ありがとうございます……」
ティアーナ様が少し落ち着いた。泣いてしまったのをみて罪悪感があるのは、まだ僕が人である事なのかもしれない
「すみません……落ち着きました。別の話、と言っても……続きでもありますが、ミーナさんの話です」
「え?」
もう僕は只でさえ無い語彙力がさらに無くなりつつある
「ミーナさん……別の名をミリアルタさんと言います。実は、壊された世界の神であった方です」
「ふぇ???」
驚愕の新事実再び……
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