第26話 教会はちょっと怖い

お昼を頂いてから、母上とシーナさん二人で王都の教会に出向いた


もう相変わらずのこの見た目には驚かないぞ

人馬族の神殿騎士様なんだろうか?長柄のメイスを持ってる……

大丈夫!教会だから。メイスが少しトゲトゲしてるけど大丈夫……ちょっと怖い……だって意味ないじゃないですか!?血を流したらダメだからメイスなのに、トゲトゲしてたら流れるじゃないですか!

しかもさっきから鼻息荒いんですもん!


「ようこそ!おいで下さいました!!」


び、びっくりした……母上にしがみついちゃった……


「こ、これは大変失礼しました……先ほど、王城より使徒様が来ると知らせがありましたので……年甲斐もなく興奮してしまったようです。申し訳ありません」


「いえ。お役目お疲れ様です。中に入ってもよろしいでしょうか?」


「はい!どうぞお通りください!」


すれ違いざま、平伏されてしまったので慌てて起こした。

これがこの教会の中で起こり続けるかと思うと胃が……そうだ!


「シーナさん……おねがいがあるの」


「何でしょう?」


「さきにいって、へいふくしないようにおねがいしてきてほしい」


「畏まりました」


そう言ってスタスタと教会に入っていったシーナさん。最初からシーナさんに頼めばよかったんだよ。困ったらシーナさん。これ重要





少し間を置いて中に入った僕は、シーナさんのおかげである程度平穏を手に入れたよ

皆祈ってくるけどもうこれは諦めよう

祭壇奥からリザさんとお歳を召された人馬族の方がこちらに来る

リザさんは質のいい金属鎧を着ていた。こちらに来るときは革鎧に金属プレートをあてがったものだったけど、もしかしたら騎士になれたのかな?


「お初にお目にかかります。教皇を務めておりますゲントと申します。使徒様を迎えられること、恐悦至極に存じます」


「こ、こんにちは……」


「神父エトスから手紙を頂いた時には、ご降臨されたことに涙し!その場に居られなかった我が身を深く恥じ入りました……此度お目にかかれたことは、このゲント!一生の宝でございます」


「はいぃぃ……」


圧が!圧が凄いよ!もう鼻息で飛びそうだよ……!


「教皇様、その辺で……コグトス様はあまり大事にはしたくないようですので……」


「おぉ!そうでしたな。そうそう、使徒様。リザは神殿騎士に任命致しました。使徒様は甚くリザを気に入られたご様子……いずれはリザを聖女として育て、ゆくゆくは使徒様の下に嫁がせる所存ですぞ」


は?


「え?リザさん?」


「ぽっ……」


ぽっ……じゃないよ?ちょっと?ねぇ?ダメだ……揺さぶってもびくともしない


「ささ……祭壇までお越しください」


ささ……じゃないよ?流さないで?ねぇったら!


「コグトスちゃん、諦めなさい。そういう事なのです」


母上が敵に回った……だと……?おのれ!小癪な!

困ったときはシーナさんだ!


「羨ましいです……」


ダメだー!味方がいない!外堀どころか内堀が埋まってる!


「ささ……」


ささ……じゃないんだよー……

促されて、僕は行くしかなかった……





祭壇の前に跪き、祈りを捧げる……いつものように意識が離れていく


「こんにちは。昨日ぶりですね」


「こんにちは。無事、悩みを解決できました。少し驚きましたが……」


「ふふ。そうでしょうね。しかし……簡単に顕現できないとはいえ……母の与り知らないところで、お嫁さんを二人も貰うことになるとは……少しさびしいですね」


ふくれっ面で言われてもこっちだって困ってるんだ


「ふふ。すみません。冗談ですよ。よろしいのではないですか?向こうの世界とは考え方が違うでしょうが、そもそもとして生き物というものはそういうものでもありますから」


「そう……なのでしょうか」


「えぇ。そういう理性がちゃんと働いてるのは喜ばしい事です。これは少し、お話ししなければいけない事にも関わっているので……」


「お勉強ですか?」


「そうですね。少しお勉強いたしましょうか」



お勉強の時間だ……







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