第22話 全てを伝える
直ぐに案内の方が来ると、別の部屋に通された
私室っていうから執務室かと思ったら、本当に私室だった
ソファを促されそこに母上と二人で座る。後から来たシーナさんが後ろに控える
流石にミーナさんは遠慮したようだ
少し落ち着くと、女王陛下の側に、何処かで見たような人が……
角が赤い……ホーグムのニーシャ様と同じだ!
「ニーシャさまとおなじだよ!ははうえ」
「えぇそうね。良く覚えていましたね♪」
「お初にお目にかかります。ホーグム領デルフの娘ヨアンナと申します.近衛騎士隊隊長を務めております。ガルフ様には大変お世話になりました」
父上の功績だっけ?女性騎士隊の編成
「挨拶は済んだかの?あぁ……妾はシェルティアじゃ。女王なぞやっておる」
うん。なんか謁見の時よりも砕けてる。気を使ってくれてるのかな
あ、窓からミャムが見えてる。
「おぉ、ミャムも入ってこい。そちもご苦労じゃったな」
「みゃん♪」
ミャムが擦り寄ってくる。相変わらずだけどもういいんだ。僕は受け入れたよ
「な、何やらご機嫌の様子ですが……」
「う、うむ……なんというか……先を越されてる気がするのじゃ」
ゴホンと一旦仕切りなおした陛下が話を始める
「ここに居る者は、身内である。これからコグトスには大切な話があるのじゃ」
「みうち?」
「うむ。本来ならばもう少し大人になってから話すべきなのじゃが……お主自身が特殊な立場になってしまったからの……」
少し困った顔で陛下が言う
「シフォニア、ニーシャ、その娘ヨアンナ……そしてコグトス。我らは家族なのじゃ。シフォニアとニーシャは妾の妹、ヨアンナとお主は甥と姪じゃな」
えーーーーーーー!それは……
「まぁ……気持ちの整理はおいおいつけるとよかろう。まだまだ話はあるのじゃが……」
「りゅうぞく?」
「おぉ、そうじゃ。我らは竜族じゃな。大きな力を持っておる。もう二人いるのじゃが……お主からするとお爺様とお婆様になるかの。我らの両親じゃな」
おじいちゃんとおばあちゃんがいるのかぁ……
「ここにはいないの?」
「そうじゃ。この部屋の窓からも見える、あの白い大きな山があるじゃろ?あそこは霊峰でな、名は無いのじゃがあそこに住んで居る」
そうそう。どこからでも見えるようなデカい山。あそこに住んでるのかぁ……なかなか会えそうにないなぁ
「本題はここからなんじゃが……今、知る限りで、角が4本ある者はおらん。その上竜族じゃ。そして使徒にもなった。もはや成長したらどれほどの者になるか見当もつかなんだ。相当な力があることは確かじゃ」
「そう……ですね」
「それに知恵もある。デルフに知恵を貸したじゃろ?あれは相当な利益が出るじゃろう。」
「私からもそのことについてお礼申し上げます。父の悩みだったのです……人魚族はなかなか職もなく、漁でも限界がありそうだったという話でしたから」
「うむ。一つ問題を解決に導けそうじゃな。まだ断定はできぬが、デルフならやり遂げるじゃろ」
人魚さん達の助けになれたなら嬉しいな
「そこでじゃ、シフォニア。申し訳ないのじゃが……コグトスはいずれ妾と結婚してもらおうと思っておる」
「……え!?」
「そうですわねぇ……仕方がないのかもしれません……」
まって!まってまって!伯母と?いいのそれ?
「まぁ……まだ幼い故、もう少し成長したらば改めて話そうとは思うのじゃが、シフォニアには先に伝えておこうと思うてな」
なんか話がまとまりそう!どうしよう!……紙とペンなら!文字ならもしかしたら意思疎通できるかも!でもそうすると……全部話すか?いっそ全部話してみて伺うか?
でも……そうするといろいろ崩れてしまう気もする……あー!
「ど、どうしたのじゃ?具合でもわるいのかの?」
「コグトスちゃん?大丈夫ですか?」
どうしようどうしよう!ティアーナ様!たすけてーーーーーー
「どうしたのですか?コグトス」
え!?来ちゃった!?
「なっ!?ティアーナ様!」
母上がまず跪くとそれに合わせて皆跪いた
「構いません。楽にしてください……何やら強く呼ばれたので来てみれば、古き竜の民が集まっているのですから……察しましたよ」
「まさかお会いできるとまでは思っておらなんだ……」
「さて、コグトス。いいのではありませんか?大丈夫ですよ」
「ほんとうですか?」
「えぇ。皆さん。これからコグトスが伝えたいことを紙に書きます。ペンと紙を」
僕の目の前にペンと紙が用意された。文字なら……大丈夫そうだ
それから僕はすべてを書いた。
異世界の者だということ、転生してコグトスの魂と融合したこと、実年齢30ということ、身の上、家族との付き合い方が解らないこと……もう全部書いちゃった
「私が居たらちゃんと話もできないでしょう。私はこれで居なくなりますが、最後に一つ。私もコグトスの母の一人になりました。ですからこれからは家族の一員です。余り恐縮しないようにお願いします」
「は……はぁ……」
「いずれまたしっかりとお話ししましょう。では」
あ、消えていった……呼べたのも驚きなんだけど……
僕は書きあがった紙を母上に手渡した。それが女王様に、他の皆にも回っていった……
どうなることやら……不安になる
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