第21話 王都 謁見

いよいよ王都だ

目の前に大きくそびえたつ立派な……魔王城

うん。あれはまさに魔王城。なんでなんだろうか?あれが流行りだったのだろうか?

街並みは普通なんだ。城と教会だけが何故か黒いんだ

そのうち聞いてみよう。今聞くのは怖い


城門を抜け、大通りを進んでいく

商店は賑わい、多くの多種族が買い物をしている。様々なものが売られているし、見たことが無いものも多くある

特にひと際目立つのが衣服だ。それぞれの種族にあった衣服が並べられており、お尻に穴が開いているもの、帽子も穴の位置が違うもの、背中に穴が……穴の位置がもうそれぞれ違いすぎる

これはプレゼントとか難しすぎないか?恋人の指輪のサイズ知らないってレベルじゃないぞ?


流石王都ということか……


お城に向かう途中、リザさんが教会に向かうという事で別れた

本当に道中乗せてもらっていたからなんか定位置になっていて、馬車に戻ると少し落ち着かない



王城の城門に着いた僕たち一行は、母上がまず挨拶をして、いただいた書簡を見せ、中に案内された


「ほえー」


「すごいでしょう?中に入れるのは王城務めの者か、領主や貴族、それから家族。なかなか見ることができないのですよ?」


母上にいろいろとあれ何これ何と聞きながら歩いていると、部屋に部屋に通された


「こちらでしばらくお待ちください。何か御用があればメイドにお申し付けください」


「わかりました」


「私共はここで失礼いたします」


ミリアさん、オンタリオさん、トラクスさんはここでお別れの様だ


「おせわになりました」


「また、機会がありましたらお会いいたしましょう。では」


なんだか急に寂しくなったなぁ……少ししょんぼりしていると母上が抱きしめてくれた


「また、何処かで会えるでしょう。少なくとも此処のお城には居るのだから」


「はい……」




しばらくして、また案内が来た


「謁見の準備が整いました。こちらへどうぞ」


「かしこまりました」


あ、どうしよう?どうやるんだ?


「大丈夫よコグトスちゃん。私がちゃんとおしえますからね」


「では奥様、おぼっちゃま、シーナはこちらに控えております。おぼっちゃまがんばってください」


「私もシーナと居る。大丈夫。できる」


うえええ……面接以上に緊張する……面接と比べたら失礼極まりないか




「ボルトワ領より、シフォニア様、コグトス様、両名お連れ致しました!」


「入るがよい」


(コグトスちゃん。扉が開いたら少し進んで、絨毯の切れ目で跪いてね)


手足が同時に出る……もう緊張で訳が分からないよ


「遠路遥々、ご苦労であった。面を上げよ」


顔を上げると、大きな椅子に座った、母上より少しばかり年上かな?という女性と、その横に宰相だと思う。お歳を召した男性が立っていた。貴族の方々が居ないのは少しありがたい


「ボルトワ領主が妻シフォニア、その息子コグトスにございます。拝謁賜り光栄にございます」


「こ、こぐとしゅです!」


「まず先に一つお願いの議がございます」


「宰相のレドである。願いとは?」


「このとおり息子はまだ幼く、礼儀作法も難儀の事。面前では御座いますが、指導しながらでもよろしいでしょうか?」


「陛下。いかがでしょう」


「かまわぬ」


「許可する」


「ありがとうございます」


「ありがとうございましゅ!」


「では前に」


(次は絨毯と絨毯が交差している部分まで歩いて行って、跪くのよ)


「陛下からのお言葉を頂戴する」


「よく来てくれたな。シフォニアも息災そうで何よりじゃ。ガルムは元気かの?」


「夫は精力的に辺境の地を開拓しております。最近は街を代官に頼み、近隣の村々との連絡手段の確保と、散見される賊の防衛に尽力しております」


「そうか……まだまだ平穏とはいかぬか……」


「なかなかに難しい問題ではございますが、大きな被害は防げているようです」


「うむ。少しばかりではあるが、税を免除しよう。レド」


「かしこまりました」


「して……その方が使徒殿だな?」


「は、はい」


「うむうむ。先ずは病が治って本当によかったな。」


「はい!ありがとうございます!」


「うむうむ。此処までの旅はどうじゃった?」


「とても楽しかったです。女王陛下ありがとうございます」


「よかったよかった。楽しんでくれたなら幸いじゃ。ホーグムでは何やら知恵を授けたとか」


「はい。きねんかへいとようしょくを」


「うむ。デルフから許可願いが来ておった。先を見越した良い案だと言えよう。」


「ありがとうございます」


「さて……これから先の話は私室で行うとしよう。レド、後は頼む」


「かしこまりました」




謁見終わった……でもまだお話があるのね……








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