第19話 ミーナさんシチュー付き

「なんだ!何が起きてる!」


「隊長!これは淫魔族ではないでしょうか?理由は解りませんが、闇の霧と思われます!」


「伝令!集落入り口に女性が歩いてきます!淫魔族でした!」


外でジョイスさんと他の兵士さんが情報共有している

淫魔族?なんで?


「あっ……お母さま?ミーナ姉には伝えましたの?」


「……あらいやだ、リーアが伝えたのではなくて?」


「「……おほほほほ」」


笑い方一緒だなぁ……なんか靄みたいなのが僕の方に伸びてきた……


『ぐすっ……なんでだでもおじえでぐれながっだのぉ……』


ひっ……怖っ……声が反響して聞こえる……僕は母上にしがみついた


『ご……ごはん……冷めぢゃうよぉ……ぐすっ……シチューづぐっで……ぐずっ……づぐっでまっでだのにぃ……』


「ミーナ姉のシチューですの……」


「おいしいのよねぇ……」


集会場に向かって近づいてくる人影が、薄っすらと見えてきた


『ギムに……問い詰めだら……ぐずっ……ここだって……どごなのぉ!』


ひいぃぃ!ホラーなんですが!

ひたひた歩いてくる人物が見えてきた。寸胴持ってこっちに来る

多分シチューだ


『い、いだぁあ!!!』


ひええええええ!走ってきた!バチャバチャってシチューこぼれてる!!

シチューこぼれてますから!

あぁ、地面にシチューが……寸胴までびちゃびちゃだよ











とりあえず落ち着かせて集会場に入ってもらった

ミーナさんは服にもシチューが飛び散っててひどい有様だったので着替えてきた

メイド服(シーナさんの)を着て僕を抱えている。サイズが……パツパツになってる

ミーナさんはスタイルが凄いなぁ


「怖がらせてごめん……誰も帰ってこなかったから、ギムに聞いた……人馬の集落だって……」


僕はせっかくなのでシチューを食べている。おいしい。良く煮込まれてる

好物だけどご飯欲しいなぁ。シチューかけて食べたい

ホワイトシチューをご飯にかけて食べるのが好き


「ミーナごめんなさいね。てっきり伝えたものだと思っていたわ」


「もういい……コグトス君撫でれた……満足。でも、シチューは当分作らない」


「ミーナ姉……それは……」


「作らない。罰」


なんかラテーテさんとリーアさんがしょんぼりしてる……

家庭の味的な?味噌汁的な?そんな感じなのだろうか?


「ミーナさん、おいしいのにつくらないのはもったいないよ?」


「おいしい?」


「うん。おいしい」


「明日からも作る」


よし。これでラテーテさん家族の窮地は救った。食卓から一品減るのはきついからなぁ……悲しくなるんだ


「我が娘ながらちょろいわね」


「ちょろいですの」


「ちょろいですね……でも、おぼっちゃまに言われると私もダメかもしれませんが」


ちょろいとか言わない。優しいんだよきっと。シチューも優しい味だし


「シチューおいしいです。このあじだいすき」


「……毎日作りに行く」


「えっえっ?まいにち?」


「いく」


あっれー?これ味噌汁毎日作ってくれ的なやつ?やっちゃった?


「……うちの息子は将来が心配ね」


「奥様……もう遅いかもしれません」


僕はもう眠くなってきた

ミャムの所に行って寝転ぶ。ミャム枕さえあればどこでだって寝れるんだ

ふかふかだぁ……もふもふ














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