第16話 要塞都市ガンガ
おもちゃにされながら、馬車に揺られること3、4時間くらいで城壁のような分厚い壁が見えてきた
門の前には2メートル半はあるかという額に角が生えてる大男が二人、門の扉を半分づつにした様な大盾を持っている
「ラテーテです。こちらの馬車にはボルトワの奥方様がお乗りになっています。」
「「はっ!お通りください!」」
おー……近くで見るとデカい。筋骨隆々で拳なんて人の顔はあるぞ
「デカい……」
「コグトスちゃんご挨拶しますか?♪」
馬車を止めてくれたので御者席から挨拶してみよう
「こんにちは。おせわになります」
顔を見合わせた二人の鬼は笑顔で
「「ようこそガンガへ!」」
と、返してくれた。笑顔は攻撃性と聞いたことがあるが、目を細めて笑ってくれた鬼は殊の外優しげに見えた。体も大きければ心も大きい男達なのだろう
侵入者を攻撃しようという大きな武器ではなく、大きな盾を持っているのは、街を守ろうという心の現れなのかもしれない
「この二人は街の機動部隊の隊員ですの。持ち回りで守衛をやっているのですが、鬼族は大盾を振り回して敵を吹き飛ばしたり叩いたりもできますの」
そーだよねー……あれ立派な武器だよねー……シールドバッシュだけで正直十分だよねー……リーアさんの言うとおりだねー
「さぁ入りましょう♪」
街の中に入ると建物が基本的にデカい。扉も大きい扉と小さい扉が別々にある
「大きい扉と小さい扉を設けているのは、それぞれサイズの違う種族用ですの。別個に設けているのは、大扉に小扉を設けてしまうと、内外で鉢合わせしたとき、鬼族の力に振り回されて怪我をしてしまうからですの。」
確かに。一緒にした方がいいかとも思ったけど、そもそも建物が大きく、スペースは多いのだからリスクを取る必要は無いわけだ
鬼族の女性達が買い物をしている姿が見れた。台車引っ張って買い物してる……
鬼族の女性は2メートルくらいだろうか?男性よりは小さい。筋肉質ではあるが、ガッチガチな感じではなく丸みがある
ここにきて思ったのが、やっぱり色町なんだな、というくらいに露出が多い服か体の線が出るような服を着ている
「今日はこのまま兵舎に向かい、訓練を見せてもらいましょう。」
「わかりました。その後は是非領主の館にお泊りください」
「よろしくお願いします」
母上とラテーテさんが話をまとめたみたいだ。
兵舎に近づいてきたみたいだ。さっきから掛け声が鳴り響いている
あれか……兵舎っていうか……コロシアム?
「コグトス様。このガンガでは年に1度、闘技大会が行われます。その会場も兼ねているのがあの兵舎です」
「ミリアさんは、さんかしたことあるの?」
「私は昨年参加させていただいた時は8位でした。やはり鬼族は手ごわく、機動部隊副隊長に当たってしまい敗退しました……」
少し悔しそうにそう話すミリアさん。8位ってすごくない?あの巨体と戦うのも相当勇気がいるけど……
「8い……すごい……」
「ありがとうございます。今年も参加できればと思っています!」
「ははうえ!みにきたいです!」
「そうね♪今年見に来ましょう♪そうだわ!、ガルムにも参加させましょう♪」
「「「え゛っ!!!」」」
ミリアさん、オンタリオさん、トラクスさんが相当驚いてる
「いやぁ……それは……」
「会場壊れないか?」
「優勝がはるか彼方に遠ざかりました……」
三人がひそひそと話している
「ミリアさん……ちちうえはだめ?」
「ダメというわけではございませんが……恐らく、優勝決定戦が確定でガルム様と誰かになりますし……対戦相手の席はギム様になるかと……」
やる気が下がりそうだねそれは……父上確定なんだ……強すぎね?
「ならこうしましょう♪ラテーテさん、今年の大会の前座でガルムと誰かで模擬戦しましょう♪」
「そうですねー……そうしましたら、うちのギムにでも模擬戦に参加させて、大会は不参加にさせましょうか。ギムが優勝ばかりするので賭けが成立しないんですよね……優勝決定戦の賭けはいつもやらないのですが、今回は盛り上がりそうです♪」
「ミーナ姉が喜びそうですの♪」
「えぇえぇ!これは今年の大会に力が入りますわね♪」
なんか勝手に決まったよ……父上……
「そうと決まったら夜にでも手紙を書きましょう♪コグトスちゃんも「ちちうえがんばれ」って書くのよ?そうすれば張り切っちゃうわ♪」
「うん。てがみかきます!」
馬車から降りて、兵舎の中に入る
観客席に案内され、中央闘技場で訓練する兵士さんたちを見ることになった
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