第13話 ホーグムの街を発つ

あれからレストランを出たのだけど、お客さんからはお店から出るときに拍手をもらうし、伴奏の人たちは謝りに来るし、ナンナさんは頬擦りしてくるし……

揉みくちゃにされてても母上はニコニコしながら助けてくれないし……


少し疲れた僕はというと……シーナさんに抱っこされてます

シーナさん気配が無いだけでずっと付いて来ていた……

僕が驚いていると


「側仕えの嗜みでございます」


と……心配になって、ちゃんとご飯食べた?とか、お買い物はできた?とか聞いてみると、頬を染めながら「大丈夫でございます。優しい主に仕えられてシーナはうれしゅうございます」と


大丈夫ならいいんだけど、ブラックはだめよブラックは……不安になってきたぞ


「ははうえ、ぼくはむりさせてないかな?」


「コグトスちゃん、大丈夫よ♪シーナはちゃんとご飯も食べていましたし、お買い物も済ませていましたよ」


それを側にいながらやってるってことがそもそも無理してるって言うんじゃ……


「シーナさん、ぜったいむりしちゃだめだよ?けがしたり、びょうきになっちゃう」


「おぼっちゃま……おぼっちゃまが優しくてシーナは泣きそうです……」


これはあれだ、もう少し意思疎通できるようになったらきちんと話そうそうしよう




翌朝、僕たちはホーグムの街を発った。

人魚さんたちがわざわざ見送りに来てくれたので挨拶をすると、ナンナさんが貝殻貨幣をくれた。

そこには領主と人魚族族長の印の他に、「ナンナ」と手書きの文字が入っていた

貝殻記念貨幣の第1号は僕が貰えた。

なんだか嬉しいな……


また来よう。この街に





ホーグムの街を出て、次の目的地は山間の要塞都市ガンガというらしい

要塞都市というだけあって兵士やその家族が多く住んでいて、歓楽区も多い街らしい


「奥様とおぼっちゃまは立ち入り禁止地区がございます」


「シーナ?」


「ございます!」


「はい……」


「歓楽区は奥様とおぼっちゃまは行ってはなりません。宿はヨグトが先行して手配しております。この街は長居は無用です!」


シーナさんが凄い剣幕で詰めてきた……いや子供ですからね?


「シーナさん、大変申し上げにくいのですが、女王陛下よりここの兵士隊を見せてくるようにと……」


シーナさんがミリアさんをキッと睨むと僕を抱え上げた


「おぼっちゃまはこの街では私から離れることを禁止いたします」


「シーナ?それではコグトスちゃんが……」


「なりません!!」


「「はい……」」


まさかの母上と共に怒られる日が来るとは……


要塞都市までは2日で着くらしい。しかしそこまでの宿はいわゆる「ご休憩」というような宿が多いらしく必ずと言っていいほど綺麗な女性がいるらしい

要塞都市は元々が鬼族と淫魔族の住処で、そこの領主は鬼族のギムさんという方と淫魔族のラテーテさん、そこに機動隊隊長のジョイスさんを入れた3者合議制を取っていると

つまり何が言いたいのかというと、宿泊や歓楽の大元締めが淫魔族であるということで……そして


「あれらが私のっ……私の同族であることが問題なのです!」


そう……シーナさん淫魔族でした。それだけなら特にと思ったのだけど、もう一つの問題があった。ラテーテさんがお母さまで、館に招待される可能性が高く、他に姉が二人いて

ミーナさんとリーアさん、しかもその姉たちが歓楽区の経営者……ラテーテさんの旦那さんは……わからないそうです。深く聞いてはいけない

鬼族は鬼族で割と自由奔放で、女性は強い男ならバッチ来い!らしく……


もう要塞都市っていうかナイトパーティ会場ですはい……

ミリアさんの言い訳だと、それでもそれがまかり通る程の強力な力と持久力、機動性を備えた軍を保有していて、先陣切っていく勇猛さと強かな戦略は確かなものだそうだ




つまり鬼が金棒持ったんですよ……












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