第8話(前半) 再開とお姿

「幸多さん、いえコグトスさん、お久しぶりです」


「ティアーナ様、お久しぶりですが……お姿をはじめてみました」


「そうですね、こちらの世界に来ていただけた事で、見えるようになったのです。」


女神ティアーナ様は……側頭部から前に向かって伸びる6本の角を持つ、美しい青い肌の女性だった

黒に金の刺繍が入ったドレスの様な服を纏い、ひらひらと宙に浮いている


「あー……失礼ですが、本当に失礼ですが……女神様であってますよね?」


「えぇ。ティアーナで合っていますよ。驚くのも無理はないと思いますが、あなたの想像している悪魔の類ではないですよ?」


そう苦笑いをしているティアーナ様

なんか本当に失礼しました


「この見た目に驚かれるのも解ってはいましたが……いざそれを体験すると思っていたよりもショックがありますね……」


「ホントに申し訳ないです……」


「ですから今まで信託を授けたことは2回ほどですし……あまり人前に出ないでいたというか……」


あー……かなり傷つけたみたいだ


「いえいえ、僕は割と好きですよ?綺麗だと思いますし、全然問題ないですよ」


我ながら苦しいか?


「本当ですか?大丈夫でしょうか?おかしくはありませんか?」


「えぇ、大丈夫ですよ。うん。お美しいですよ?」


「……うふ♪」


あれ?意外とちょろい?


「……今、ちょろいとか思いませんでしたか?」


「いえいえ!そんなことはございません!とてもとてもお美しいですよ」


「まぁ……いいでしょう。さて、あなたの要望である[幸せになりたい]という願いにできる限り答えたつもりですが……いかがですか?」


「はい。幸せだと思います」


「そうですか。ここにお呼びしたのは私からのお願いもあってお呼びしました。」


「どんなことでしょうか?といっても自分でできることはあまり無いように思うのですが……」


「これからあなたは魔技を覚えて、色々なことに挑戦していくと思います。その中で、向こうの世界でできたことを、こちらの世界でできるように工夫していくでしょう。それを普及させてほしいのですが……」


「ですが、僕は中途半端な知識しかなく、できるかどうかもわかりませんよ?」


「もちろん手助けはします。多くの現象を理解していれば、それを形に出来るように考えたのが魔技でした。しかしそのせいで、現象に至るまでの過程を失わせてしまったのも魔技でした……」


「なるほど……[最初の人]が出なくなってしまったのですね」


「その通りです。そこで私はあなたに比較的魔力量の多い魔族に転生していただきました。その中であなたの幸せになりたいという条件が当てはまる場所に送ったわけです。コグトスという魔族の子はその時点で衰弱していてもう余命はなかった状態でしたのでその器を借り受けました。」


「……わかりました。僕も頑張ってみようと思っていたので」


「よかった……そこで信託を授けるという形で魔力の強化を図りたいと思います。これから意識が戻りましたら私がそちらに出向きますのでよろしくお願いします」


「わかりました。こちらこそよろしくおねがいします」


「それともう一つ。恐らく人族と魔族の争いが激しくなると思います。多くの犠牲が出るでしょう。その時に、決して自我を忘れてはなりません。これは約束です。このあと少しだけ、あなたが自我を失った未来をお見せします……」


「はい……」


「では……」


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