第7話 教会って……
「その前に!コグトスちゃん、教会に行ってお祈りしてきましょう!」
?いきなりなんだろう?もしかして魔族は全員何らかの宗教に入っているのだろうか?
いや、ティアーナ様にご挨拶はしておきたいからいいのかな
「創造の女神ティアーナ様に回復の報告とお祈りを捧げて、これからの無事を願ってきましょう♪」
あー……この世界の女神様だったよねー……
「わかりました、ははうえ」
「うむ。ではセバス馬車の用意を。私は執務があるから母のいう事をよく聞くのだぞ?」
「はい、ちちうえ」
玄関を出るとそこに立派な馬車があった
決して華美では無いものの、高級感漂う馬車にセバス、シーア、母上、僕で乗り込む
馬車を引くのは警備をしてくれている兵士さん、更に先導で別の馬に乗った兵士2人が居る
「よろしくおねがいします」
そう頭を下げると、見事な敬礼をしてくれました
「コグトスちゃん偉いわね♪」
「誠にご立派でございます。使用人への配慮……このセバス涙を禁じえません」
セバスさんがハンカチで涙を拭き始めたぞ!そんなになのか!?
「危険な任務に就く兵たちは、この人の為ならば!という方に付いてくるものです。そのお気持ちを大切になさってください」
「はい。セバスさんもよろしくおねがいします」
「もちろんでございますとも」
「シーアさん、よろしくおねがいします」
「かしこまってございます。おぼっちゃま」
セバスさんがおいおいと泣き始めてしまった……涙もろいのかな?
「出立いたします」
御者の兵士さんがそう言うと、ゆっくりと馬車は進んでいく
晴れ渡る空、横を見れば真っ暗な森、時折聞こえる「ギャー!ギャー!」という鳥の声……端的に言って怖い
怯えていると母上が抱き寄せてくれた。
「大丈夫よ。この森の奥までいかなければ危ないことは無いですからね」
「うん……」
少し落ち着いてもう一度外を見ると、見知った尻尾がフリフリとしていた
「あっ!ミャム!」
「みゃ♪」
フリフリ揺られる尻尾を右に左に前に後ろにとおかけていると、なんだか楽しくなってきた
馬車の中ではしゃぐのは本当はいけないことなんだろうけど、今回は皆許してくれたみたいだ
ミャムありがとう心配してきてくれたのかな?
そんなことをしているうちに町が見えてきた。30分程だろうか森を抜けて直ぐに街があった
城壁に囲まれた結構大きめの街だ
父上曰く、街には代官を置いて経営を学ばせる、程よい位置に助けを求められる者が居るほうが、自ずから学ぶ様になる。という
門に近づくと衛兵が敬礼をして開けてくれた
手を振ってみたら返してくれた。のは女性兵だった
あー……これはもしや角なのかな
街並みは中世的な感じ、ヘ〇トだっただろうか?そこに似ている
そのまま馬車で街の中央付近にさしかかると見えてくる、絶対あれだ、あれ以外に考えられないという邪教の教会というような風貌の建物
「ははうえ、あれがきょうかい?」
「そうよ、この町はボルトワの街というのよ、あの建物がボルトワの教会、このまままっすぐ進めば代官の屋敷になるわ」
やはりあれが教会のようだ
「もう少し大きくなったら領地や街をお勉強しましょうね?」
「はい」
そう、僕はまだ子供なのだ、少しづつ覚えればいいということが気持ちを楽にさせてくれる
急がなくていいのだ
教会の前に馬車を着け降りると、先導していた兵士さんたちが教会の外門を開けてくれた
「ありがとうございます」
「「はっ!」」
少し笑顔の兵士さん達の綺麗な敬礼をまた見れた
ちょっとづつ兵士さんと仲良くなろう
「ふふ♪コグトスちゃんはほんとに偉いわねー。ヨグト、ラフブ、警護の方よろしくお願いしますね」
「「かしこまりました奥様!」」
ヨグトさんとラフブさんというのか
「ははうえ、ばしゃのひとのおなまえは?」
「馬車の御者はエストルというのよ?」
「ヨグトさんラフブさんエストルさんおねがいします」
「「「はっ!かしこまりましたおぼっちゃま!」」」
門をくぐり敷居を跨ぐと何かなつかしさを感じる、ティアーナ様だろう
教会前にはいかにも好々爺といったおじいさんが立っている
服装の感じから神父様だと思う
「これはこれはシフォニア様、ようこそおいでくださいました」
「こんにちは。今日は息子のコグトスが病から回復したことをお祈りしに来ました」
「それはそれはご快復、誠におめでとうございます。コグトス様、私はこの教会の神父でエトスと申します」
「エトスさんありがとうございます」
「これはこれは賢いご子息様ですな」
「えぇ。自慢の息子ですのよ」
「ささ、どうぞ中に」
教会の中に入り、礼拝室の前で跪き祈りを捧げると意識が遠のいていく……
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