第6話 不知の知 自己を無知と知る

翌日の朝、寝ぼけ眼でベットから起き上がろうとすると、モフッという感触を手に感じた


僕の横でミャムがスピスピと寝息を立てて寝ている

え?もう帰ってきたの?王城ってそんな近いの?

そう思いながらもミャムをついついモフモフする。最高のさわり心地である。うん。


「みゃーん♪」


「ミャムおつかれさま。もふもふもふもふ」


「みゃーん♪」


そのまま抱き着いて微睡んでいるとシーナが入室してきた


「失礼いたします。おぼっちゃま、そろそろ朝食になりますのでお着換えいたしましょう」


「シーナさんおはようございます」


ベットから出ようと体を起こすと急に浮遊感が


「ふぁっ!」


ミャムが襟元を加えてベットから降ろしてくれた


「ミャムありがとう」


「みゃ♪」


これは後でなでなでしなければ!


無事着替えさせてもらって(着方がわからないものが多すぎるので)

ダイニングに着くと、父上と母上、セバスさんがすでにいた


「ちちうえ、ははうえ、セバスさん、おはようございます」


「おはようコグトスちゃん」


「おはようございますコグトスおぼっちゃま」


「うむ。おはようコグトス。」


挨拶を交わして席に座ると、ミャムが僕の左にお座りして、少し後ろにシーナさんが着いた


食事をしながら母が


「コグトスちゃん、そろそろ体調が戻ってきたようだから簡単な魔技の練習を始めましょうか」


「うむ、そうだな。少しづつ慣らしていけば成長も早まる」


「はい!ははうえ、ちちうえ」


ついに来た!魔技だ!

目が覚めた時から僕はずっと思っていたことがある

この世界で僕は何ができるのか?と

例えばだ、元の世界の技術を伝えるにしても、よくよく考えるとなにもわからないのだ

ふかふかのパンを作る、無理だ。小麦粉、砂糖、塩、イースト……混ぜればいいのだろうが分量がわからない。何回も試行錯誤すればいいのだろう。焼き温度も料理人に聞いて考えればいいかもしれない。だがイーストがどうやってできるのかわからない


料理全般でも同じこと。どの原料がどれで、どうなるのか、どうすればいいのか、まったくわからない


技術関係もそうだ、よくよく突き詰めて最終的に元になる部分は結局わからない


前の世界で身の回りの物を考えてみても、あったから使っていたがよく考えてしまうと何もわからない


つまり僕は[一番最初]の人にはどうしてもなれないのだ

あの頃の僕は、身近な便利と豊かな資源、多くの教材を気にも留めず、只々浪費していただけの人間であったのだと改めて気づかされた

もしかしたら、[幸せ]を当たり前のものとして、目の前にある[幸せ]を捨てていたのかもしれない


でも魔技という方法を知った、もしかしたらこの方法を使えば元の部分を飛ばして、現象だけを起こせるかもしれない

僕にあるのはこの中途半端な知識だけなのだから


「どうしたの?コグトスちゃん」


いけない。考えすぎていたみたいだ


「なんでもないですははうえ、ぼくがんばります!」


「そう♪一緒に頑張りましょうね♪」


「おぼっちゃま、シーアもお手伝いいたしますからね?」


「みゃん!♪」


そうだ、がんばろう

家族がいるという[幸せ]を手に入れたんだから





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