第4話 鳥は飛ぶよ?猫もね

父上がセバスさんに連れていかれた後、僕はシーナと庭でお散歩をしながら話をしていた


「おうさまはじょうおうさまなの?」


「はいそうですよ。女王陛下はシェルティア様とおっしゃられます。慈悲深くお優しい方です」


「なんでおてがみかくの?」


「旦那様は先代国王陛下の時代、近衛兵隊長として城仕えをしていました。先代陛下がご退位なされて女王陛下が即位なされた時に、近衛が男では守れない場所が出てくると近衛隊を改革し女性隊員の指導・育成と後任の女性団長を育て上げ、その功績を認められてこの地と爵位をいただきました」


なんと、父上はやり手だった!


「そのご縁もあって、親しくお付き合いさせていただいてるようです。」


「そうなんだ」


そんな話をしていると父上の執務室から飛び立つ黒い影が見えた

その影は段々とこちらに向かってくる……猫?羽生えてるよ?でかいよ?


「おぼっちゃま、ミャムがこちらへ来ますよ?♪」


「みゃーーーーーーーー!」


でかい!見た目は黒猫だけどサイズがライオン並み!

我が家で飼っている猫だ、記憶に残っている。

こちらへ一目散に飛んでくると、僕に頭をこすり付けてくる。かわいいので喉元をなでなで


「ゴロゴロ♪」


「ミャムはおぼっちゃまが大好きですからね♪ご病気だったときは毛が舞うといけないと、決して部屋に近づきませんでした。賢い魔猫です♪」


魔猫というのか。


「ミャム、げんきになったよ」


「みゃん!♪……フシャーーーー!」


ひとしきり頭をこすり付けてから、玄関に向かって威嚇する


「ミャム?どうしたの?」


「おーい……ミャムよ……すまなかった。頼むよ……手紙を届けてくれー」


顔を引っかかれたのか爪痕がある父上が走ってくる


「みゃ!」


短く鳴いたあとそっぽを向いてしまうミャム。あー……これは拗ねてるんだな

ふふふ!ここは僕の出番とみる!


「ミャム、なでなでいいこいいこ」


ミャムに抱き着いて撫でながらスリスリしまくる!あー日向の匂いだ……毛並みがもふもふだー!


「みゃん♪みゃん♪」


満足してくれただろうか?僕はもう満足です♪


「ミャム?おてがみはいたつできる?」


「んみゃ♪」


納得していただけたようだ。父上からお手紙を受け取り、ミャムの首輪にある小ぶりなバッグに入れる


「おねがいね?」


「みゃーん♪」


そう鳴いたミャムは、ふっと消えるといつの間にか空遠くまで飛んでいた


「おー…はやい」


「息子よ……助かったぞ。おまえが元気になった事をミャムに伝えていなかったので相当拗ねていたのだ……あちこち引掻かれるし、手紙は持ってくれないし……」


「旦那様……後は伝えておりませぬ方はいらっしゃいませんな?このセバス、今回の事は旦那様の自業自得と心得ますぞ?」


「あぁ、もう大丈夫だ……」


「それではそろそろお屋敷のほうへ戻りましょう。コグトスおぼっちゃまもまだまだ本調子ではございませぬゆえ」


「はーい」


飛んで行った空を少し見つめていたがあっという間に消えていったミャム。

猫って飛べるんだなぁ……




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