第2話 なんか大丈夫な気がしてきた
お腹にいい夕飯を食べながら(食べさせてもらいながら)ふわっとした角の大切さをシーナさんに教えてもらい、お腹が満足したころ、父上と母上が部屋に入ってきた
「夕飯はちゃんと食べられましたか?」
「はい奥様。残さず綺麗に食べていただきました。」
「そう♪よかったわぁ♪しっかり食べて体力をつけないといけませんからね」
笑顔の母上に優しく抱擁されながら少しうとうとしていると
「コグトス、今日はもう休みなさい。明日はお医者さんを連れてくるからしっかり休んで元気なところを見せてやるんだぞ?」
「はいちちうえ」
うむ。と満足そうなうなずきを一つして、「おやすみ」と一言残し部屋を去る父上
「今日は母と一緒に寝ましょうね?♪」
母上に添い寝されながら眠りにつくのは夢でもあった。
前世では生まれたときに捨てられたようで、孤児院で育った。
だからといって特にひどい扱いを受けたわけではないが、それでも実の両親の愛情を欲しなかったわけではない。
「ははうえ……おやすみなさい」
自然と涙が出てくるのを止めることはできなかった
朝、目が覚めると、そこには大きなメロンが二つあった
あぁ……夢じゃなかったんだな、と改めて転生を再確認する
「おはようコグトスちゃん。よくねむれましたか?」
「うん。よくねむれた」
母上と二人きりだから変に肩ひじ張らなくていいのかと、少し甘えてみたりもしたが、いい大人だった記憶もあり、妙に恥ずかしい……
「ふふふ♪母にあまえていいのですよ?♪」
やはり心が体に引っ張られるのか、どうしても子供っぽくなってしまう
まぁ……いいか。そのほうが怪しまれることもないだろうし
ドアがノックされ「失礼します」とシーアさんが声をかけてくる
「おはいりなさい」
「おはようございます奥様、おぼっちゃま。奥様のお着換えをお持ちしました」
「ありがとう♪シーアお願いね」
「かしこまりました」
そういいながら着替えをし始め……
「な!!」
と、ちょっとあわてて背を向けました……なんというかそれは見てはいけない気がするんだ。うん。
「あら?どうしたのコグトスちゃん?」
「な、なんでもないでしゅ……」
舌噛んだ……
その後朝食を終え、少しすると父上が部屋にやってくる
白衣を着た初老の男性が後ろにいる。こっちでもお医者さんは白衣なんだ
「お医者様を連れてきたぞ。」
「失礼します。おぼっちゃまお加減はいかがですかな?」
「はい。どこもいたくありません」
「では少し失礼して」
そういいながら両手を僕にかざして「むむむ」と唸る
え?これなに?なんか悪徳療法的なものにみえるだが……
「は、ははうえ?」
「大丈夫よ。いまお医者様が魔力を通して体に問題がないか見ていらっしゃるのよ?」
魔力!?これは魔法ですか!?
図らずも魔法とのファーストコンタクトですよ!
「お医者様が微弱な魔力を流して体の異常を見てくれているんだ。何も怖いことはないぞ」
微弱な魔力を流して……体重計?そんなやつあるよね微弱な電気を流して体脂肪図るやつ
「終わりました。どこも異常はありませんぞ。」
「よかったわぁ……先生ありがとうございます」
「いやいや。おぼっちゃまが病魔に勝ったのですぞ、しかしあの流行り病からここまで回復なさるとは……まこと奇跡ですな……あ、いやこれは失礼」
「いやいいのだ。本当に夢かと疑った程だ。だからこそ先生にきちんと見てもらいたかったのだ」
やっぱり相当危険な病だったのだろう。潤んだ両親の瞳からそのうれしさが伝わってくる
「では私はこれで失礼します」
「先生ありがとうございました、お送りしますので馬車まで」
二人が出て行ったあと、やはり気になる魔法のこと
「ははうえ、まほうはぼくにもつかえる?」
「コグトスちゃん、あれは魔法ではなく魔技というのよ。魔技は魔族であれば必ず使えるから安心してね」
魔法ではなく魔技。スキルみたいなものなのだろうか
「魔技は、自分の体に流れる魔力を集めてそれを何かに変えてつかうことができるの。例えばさっきのお医者様は魔力を両の掌に集めてそれを微弱な電気に変えたのね?繊細な操作が必要になるからとても修練なされたと聞くわ」
やはりスキルと理解してよさそうだ。ワクワクしてきた
「おぼっちゃまの目がとても輝いていますね♪ですが!悪戯にお使いになりますと大怪我をしてしまいます。まずはゆっくりと覚えていくことが大切です」
「シーアの言う通りよ。あの人の血を継いでいますから、間違えてしまうと大穴を開けてしまいかねないわ」
え?
「ちちうえは、なにかしたの?」
「そうよぉ、あの人はお酒に酔いつぶれて山に大穴を開けて女王陛下に怒られてしまったことがあるのよ?」
父上……お酒の飲みすぎはダメ。
「ゆっくりおぼえます」
それでも楽しみができたことに変わりはない。これから覚えていこう。
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