第3話 思い出

さて、なんだかんだ戯言を宣いつつも、どうやら駅のホームまでついたようだ。ここらの道はややこしくてしょうがない。ここで何度迷ったことか。小学生の頃など月に数回は迷い遅刻した経験があるぞ。まぁ、所々に店や学校川などの目印があるから、そこは良い点だと考えればいいか。

覚えればいい話だ。オレの一番得意とすることだから、気にすべきことではない。

駅か、ようやく…………………

少し進み乗車券販売機で乗車券を買い、電車乗り場へと急ぐ。

因みに980円だ意外と高い。(ついでに言うとその金はバイトで稼いでいる。1時間960円のバイトを1日3時間くらいだ。)

ようやく………

そして、ホームまで行こうとする中。

っ!!!?

なんで、なんでお前がここにいるんだよ!!夜叉ヶ池 翟!!!

「ヤァ、久し振りというほどでもないね。敢えて言うなら、昨日ぶり神城くん。」

最悪のご登場だ。夜叉ヶ池翟。こいつはオレのもと友達にして最悪の天敵だ。

こいつとの因縁は斬ってもきれないだろう。恨み恨まれている相手であり、オレはこいつを絶対に許さないだろうし、オレもこいつを絶対に許さない。

「なんのようだよ。夜叉ヶ池!お前に話しかけられる覚えなんてないし話しかけることができるような中でもないはずだろ。」

俺は怒気を含めながら夜叉ヶ池に言う。こいつ、わかっていながら言ってやがる。うざい通り越して若干嫌気が差してくる。 

「用なんてないよ、ただいたから話しかけただけ。それじゃあダメなのかな?」

最悪な朝だ。無視して通り過ぎよう。

タン タン タン タン

彼の横を歩きすれ違ったとき

「悪が誰かなんて関係ないんだよ。買った方が正義となり。負けた方が悪となる。まぁ、極端な話だけどね」

どうでもいい。そんな話は聞いてないし、求めてもいない。早く消えろ。


イライラしながらも乗り場に立つ。

あぁ、ただ顔を見ただけなのにこんなに苛立つのはおかしい。おかしいとわかっていながらも、やはり抑えられない怨磋の念。

あいつと出会った時からもうすでに俺の人生は終わっていたのかもしれない。ただ、そんなことを今考えても詮無いことだとわかっている。

切り替えよう。学校に行ってもいじめられるだけだが。それでも切り替えよう。今、今この時をもって……


俺の命は途絶えるのだから。


いつも考えてきた。どうして俺なんだ。どうして、あいつじゃなかったんだ。と

それはいつも的外れで、どうしても責任転嫁で、どうしようもないことだった。

親が貧乏

それだけで説明は十分だ。貧乏なだけで、苔にされ必要とあらば、一蹴される。ただ、俺は元に戻りたかった。。親が貧乏で、生活に追いやられて、すぐに壊れてしまいそうになるような物でも。

あの作り笑顔だけで生活するような場所じゃない。無理に笑うんじゃなく、自然に楽しいから笑って嬉しいから笑らう笑顔が溢れている家庭に戻りたかった。

けれども、どうしても過去は過去だし、今は今。

戻れないのだから、今があるんだ。ただ、あいつがいないことで変わっていたのなら。あいつがいないことで変わらないものがあったのなら……と考えてしまう。


通り過ぎ、すれ違い、それでもまた衝突する。やはり、こいつとの因縁は途切れなく続くのだろう。

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