第2話 目覚めと酔い

目が覚めたら知らない天井だった。

なんてことはない、自分の部屋の自分のベットだ。重い体を起こし、欠伸を一つする。

「………またあの夢か、」

いつも見る夢とは行かないまでも、殆どの日をあの夢で跨いでいる。そうくると不気味でしょうがないが、それも自分の罪であり、俺自身が背負っていかなければならない重荷だ。負荷であるとは思ったことないし、あの行動が間違っていたなんて誰にも言わせない。だが、世間は違う。世間では子供一人の喧嘩で騒がないが、其れが一企業いや、一グループの長の息子だと話が違ってくる。

まぁ、あの喧嘩が発端となって起こっただけで、元々あぁなるのは目に見えてたんだけどな。

体を起こし少し考えてると、部屋をノックする音が聞こえ、すぐ感覚が戻ってくる。

あるよねぇー物思いに耽ってると体の感覚消えるやつ。すいませんでしたテヘペロ。

……………きもいな、やめよう。

ともかく

「なんだよ、梓。起こしに来たのか?」

そう、俺の従兄妹である。梓。

此奴は、いつも俺を気にかけてくれる、唯一の救いであり、身内だ。此奴は、俺の両親共々が殺されてしまった時も一緒に悲しみそして、慰めてくれた。一緒に居てくれた。それだけで俺にとっては救いだったから、ありがたかったのだ。

そして、俺が自殺しかけた時も必死に止めてくれた。ただの自己弁護に聞こえるかもしれないが、それであっても此奴の存在はかけがえのないものになっている。

性格を除いては…

「こらーーーーーーー!!おきやがれーーーーーーー!!馬鹿兄貴ーーーーーーーー!!!」

…………そう、すごい乱暴で女子に似つかわしくない性格なのだ。

「起きてるわーーーーーーーーー!馬鹿妹ーーーーーーーー!!。」

そう返す俺に

「あ、そうなの?ご飯できてるから早く降りてきてね。じゃーーー」

早っ。出てくのはやっ。まぁ、それでもいいか。

それでこそ、我が従兄妹だ。欺瞞などない、天真爛漫な従兄妹だ。

そんなことを度々思いながら部屋をでる。

突き当たりに階段があり、それを超えると右にリビングが見えてくる。木造の家だ。

それにしても学校かぁぁぁ。

ため息をつかざるを得ない。学校では、世にも珍しい虐めというものにあっている。いや珍しくないか。実際あっているんだし。

だが、俺の場合虐めは暴力ではなく権力だ。

考えながら、歩くごとに軋む床を歩き階段を降りていく。その都度に、床修理しないとな、とか思いつつリビングに入る。

「ふぁぁぁぁ。おはよう。」

欠伸をしながら挨拶をする。これだけ気を抜いて接することができるのは、ここにいるものと家族だけだ。まぁその家族というものはすでに他界しているがな。奴の手によって…………

まぁ、それは今考えるべきではない。もう結論は出ているのだから考えるのは今のことだ。

まずは…………ぺしっ

ん?ぺしっ???

「兄貴!また考えに耽ってるよ。耽ってる、耽ってる。小さいつを取ると~老けてる〜!キャハっ」

と、能天気なことを言い。今時のjkみたいなことを言うが…………似合ってねぇ。しかし、起こしてくれたのだ的外れだがまずは………

「ありがとう。だが、一回は一回だ!!俺は結構やるぞ」

ぺしっ!!

さっきよりも強い音がリビングに響く。

「兄貴遂に本気を出したな喰らえガルイレイザー」

ベシッブキャヒューダンダンダン

「やはり、お前には勝てない……の………か。かはっ。」

脳内にはYOU LOSEという文字が出ている。だが現実ではスリッパで叩き合いっこしているだけである。

「さっ、冗談は置いといて。今何時?」

さっさと開き直って、こう言うのは開き直るのが早い方が勝ちなのだ。

「ずるいずるい。開き直るの早すぎだよ兄貴。

うーーんとね。え?えええええええええええええええ!!!!ヤバイヤバイヤバイ8時だよあと30分行ってきマーーーーース!!」

お婆ちゃんが

「行ってらっしゃい」

と言うが。ごめん、居たの?すいません空気とか思ってすいません。だってだって存在感なかったんだもん。ん?酷くなってね?まぁいいや、俺も遅刻するし急いで行きますか。

「行ってきます」

ゆったりとした口調で言う。その意図を感じ取ったのか否か。

「行ってらっしゃい。気をつけてな」

と少し睨めつけて言う。やはり、気づいていたか。というか、お婆ちゃんやるぅ。とか言ってる暇ないけど。俺は今日…………

行きますか、俺の通っている学校である清虚心道高等学園へ。

行くと言っても、ほとんど近所なため歩いて50分くらいで結構遠い場所にある。まず、家付近にある川を渡り、それから見えてくる病院を右に曲がり、するとコンビニがあるこのコンビニは一人で雑誌とか読む時結構な頻度で来てたなぁ。懐かしい。

そしてまた川がある。この川でよく遊んだなぁ。親父とキャッチポールとかして。今じゃ考えられねぇよな。でもほんと大切な思い出。あと、たまに芝生で寝転んで小説とか読んでる。その川を越えると学校に出る。小学校だ。懐かしい。あそこを5年前は使っていたのかと思うと少し胸がチクチクする。いろんなことがあったしなぁ。友達が死んだり。コンクールでは事故で数人が死に修学旅行では、何人かが崖に落ちて死んだ。あと…………

いい思い出か?と聞く奴がいるのならそいつをぶち殴るし。哀れむのならばそんなものはいらない。いい思い出もあるのだ。初恋の人のこととかな。

小学校は楽しい思い出もあれば、辛い思い出もあった。ただそれだけのことだが、辛い思い出のことをの方が何倍が多かった。ただそれだけのことなのに頬を伝う涙を抑えられない。


なぜ、なぜなんだ俺は何もしていないじゃないか。なのに、なのになぜいろんなものを奪っていくのだ?神というそんざいがいるのならば何故俺を味方しなかった。少しでもいいから慈悲が欲しかった。それで救われる命があるのならば、その命を助けたかった。


いつも救う救うとのたまいながらも、結果救うことができない。救いたいものも守りたいものも守ることができない俺は偽善者だ。正しいことを貫くがそれもどこか間違っているのだから偽善者である。ははっ結局俺はあいつのいうとうりの人生を歩んできたっていうことか。笑えねえ。滑稽だと言わざるを得ないな。

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