第5話 何故

彼にばれてないだろうか そんなこと不安になっていると


「そいやリグレ、メジャーデビューするらしいよ」


「え!そうなの!おめでたいね!」


私たちを知り合わせてくれたリグレのデビューが決まったらしい


けど...


「ネットにそんな情報載ってないよね?どこで聞いたの?」


その情報は大ファンの私でも知らなかった


「大大ファンはちがうのだよ。」と濁された。


「あ、そういえば...」


彼は何かを思い出したかのように続ける


「もしリグレが顔出しするならどう思う?」


「見てみたい!どんな人が歌ってるか気になる!」


自分の好きなバンドはどんな人たちが歌ってるか見てみたい


「そうかー大ファンは気になるか。嫌じゃない?」


「嫌じゃないよ!大ファンは気になるし顔出しでもっと売れそう!」


「えー顔出しだけで売れる?」


彼は笑いながら聞く


「うん!責任は取らないけど」


私も笑いながら言う


私たちは相変わらず水曜日に河川敷で1杯だけ飲んで帰るだけ

そんな関係だけで半年が経とうとしている。


また水曜日に。と約束してそれを楽しみに仕事をした。

そして水曜日、駅のホームで彼を待つ


待って待って待っても彼は現れなかった。


3時間待っても姿を見せず今日は会えないと悟り

半分涙目であのセブン、河川敷を1人で通って帰った


彼はその翌週も翌翌週も現れなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る