第2話 乾杯
セブンのレジ前に
缶ビールを会計するあのスーツの人がいた
同じ時間に駅出たのにもう会計してるなんて男の人は歩くの早い
てかビール苦いのによく飲めるなー
何てこと思いながらお酒が売っているウォークインの前に来た。
何にしようかな。
一応悩むけどいつも買うのはこのほろよい
お酒強くない私にはほろよいで満足
あとおつまみにポテチを取り
お会計をして「ありがとうございました」と
その声を聞きながらお店を出る。
退勤路を歩いて行って橋まできた
するとその河川敷で
駅、セブンで2度見た
本日3回目のあの人が缶ビールを飲んでいた
こんなとこで呑むなら居酒屋か家で呑めばいいじゃん。って言った。
橋の上から小声で
そんな声届くわけなく、家までの距離を縮めていく
缶ビールを飲んでいるこの人の横まで来て
横目でスマホをセブンの袋の重りにしてるのを見た。
またスマホを重りにしてる。なんて思っていたら耳が奪われた
え、reGretgrill?
缶ビールを飲んでいるこの人が流していたのは私が一番好きなバンドの歌
reGretgrill
通称リグレの歌を流していた
「そうですよー好きなんですか?」
「え、はい?」
え、え、なんか話しかけられたんですけど
「reGretgrill?って言ってたんでそうですよって」
「ん!reGretgrillって声に出てました!?」
心の声だと思っていたのにこの人の鼓膜を揺らしてたらしい
「でてましたよ?聞いてきたって好きなんですか?リグレ」
「あ、ええっと、聞いたわけじゃなくて心の声が漏れただけです...」
めっちゃ恥ずかしい。聞いてないのに聞いたことになったし...
ほろよいじゃなくてストロングにすればよかった...
「ははっ心の声って漏れるものなんですね」
笑われたし、本当死にたい
ストロングじゃなくてテキーラにすればよかった
あ、それは本当に死ぬ
「それじゃ逆に質問させてください。リグレ好きなんですか?」
「ええっと、はい。リグレ好きです。今、1番好き」
もう1回セブンで酒チャージして今のこと忘れよう
そしてなかったことにしようと心の中で決めた
「そうなんですね!知ってる人少ないからうれしい」
確かにリグレはバンド好きな人だけが知ってるって感じ?
「最近はsoakって歌にハマってるですけど好きですか?」
「聞いたことないです。新しいアルバムの歌ですか?」
古い歌から順に新しい歌を聴きたい
私は新しいアルバムの歌を聞けてない
「よかったら聞きませんか?感想知りたいし、ほろよいあるし?」
袋に入ってるほろよいを見ながらこの人は誘ってきた
①リグレ好きに会えて嬉しいし、新曲も気になる
②恥ずかしい思いはもうしてる
③後でストロング呑んで今日の記憶を消すだけ
=「いいですよ。曲聞かせてください」
ちょっと怖いけど、一応顔見知りのこの人の誘いを承諾してみた。
こんなとこで呑むなら居酒屋か家で呑めばいいじゃん。
って思ってた私がこんなとこで飲むなんて少し背中が痒かった。
少し間隔を開けて隣に座ると
「とりあえず、かんぱい」
そういってビールを向けてきた
私も袋からほろよいを取り出し
コツンっと軽くぶつけた
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