缶ビールとスーツ

みなみ

第1話 河川敷

「今日も仕事終えたーーーー」


今日の私は普段よりテンション高く帰れる


なぜなら本日水曜日はノー残業デー


私の会社では毎週水曜日は定時退勤できる。


週の折り返しの水曜日をノー残業で帰れるなんて、うちの会社最高!!

さらに完全週休2日制だしここに就職した私も最高!!なんて


入社当時は思ってたっけ。でも今の私はそうは思えない


毎日休んでお金だけもらいたい...


入社したのはもう3年前?

やばい。今年で25歳

世間ではアラサーの仲間入りする年齢


なんでここの会社に就職したんだっけ?

そんな事思い出せないとか本当にアラサーみたいじゃ...


いや!!


内定をもらった会社で一番条件のいい会社がここだった!

それだけの理由でここにしたんだ!


まだ25歳


片足しかアラサーに突っ込んでいない。

世間様は25歳からアラサーと言っても意地でも私は認めない。


条件がいいだけでこの会社選んだけど

安定した給与もらって生活には困ってないし

職場の人にも恵まれている。


不満があるとしたら彼氏がいないこと?


いや、そんなことはないね。


1人でも全然寂しくない人だし、むしろ1人が最高!って

昔っから思ってた。てか今の私も思っている


今日は残業ないけど予定もない。

コンビニでお酒買って帰ろうっと

小さな予定を自分のデスクの前で立てた。


コツコツと革靴の音を鳴らして、駅近のオフィスを後に


すぐに人が多い電車に乗って家の最寄り駅に着いた


この最寄り駅に降りる人はそんなに多くないから

サクッとピッと定期を通すことができる


あ、あの人だ。


改札の向こうにたまに見かけるあのスーツの人がいた


スーツを着てるから会社員?

予想するだけであの人のことは何もしらない


この駅はそんなに多くの人は降りないから


なんとなく顔を覚えてる顔見知りがいる

けど街でみたら気づかない程度の顔見知りが多い


でもこの人は違う。


駅から家までの方向が同じなのだ


だからその辺の顔見知りの人よりも顔見知っている


そしてこの人は河川敷で音楽を流して缶ビールを飲んでいるのだ


河川敷近くの橋を渡らないと家に帰れないから

その横顔を橋から見る


それで前を歩くこの人の顔を余計に覚えちゃった


こんなとこで呑むなら居酒屋か家で呑めばいいじゃん。って言った。


心の声で


あ、いけない


今日はコンビニでお酒買って帰ろうっと

小さな予定を立ててたの忘れてた


また忘れてしまう前に近くのセブンに寄った。

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