過去を想う5

 とはいえ、それが分かったのは大きくなり、自分で色々と経験をしてからだ。少なくともそれを知る前はこのような病状やそういったものと触れてこなかったし、何よりも自分の親がそうではないかというのは考えもしなかった。だからといっても、もうそれを分かったところでどうにかなるという訳ではない。父親はもう死んでいるからだ。結局のところ、そういったことでこれだけ考えたのは意味が無いし、また父親知ることもできる事はなくなってしまった。

 こうした事から、僕の両親はけして良い人間という訳では無かった。また両親共に学歴は良くなかったので、学があるともいえない。そのために全てをまとめると両親ともに精神的に子供だったのだろう。

 それもあってか、必要なモラルなどを得るには、本屋や図書館などを使うしかなかった。またどういった事が必要なのかなどもそうだった。大抵の場合であるならば電車の乗り方や店での会計のやり方なども親に連れられてる中で学ぶだろうが、それ自体がないので、そういったのも一から学ぶ必要があった。当時は携帯などのアプリなどもなかったので、時刻表やどうやれば電車に乗れるかなどを、自分で図書館で調べてわざわざ駅まで行ってどの様に人はやっていたのかを探すことからやらなければならなかったし、店での会計なども自分で金を稼げる年齢になってからだ。これもどうやってやるのかすら知らなかったので、そこからやらなければならなかった。

 とにかく自分で何もかもやらなければならなかった。だからこそ、幼少からどうやれば死なないで生きればいいかを念頭にしていた。そうでなければ生きられないと分かっていたからだった。頼るべき人間というの事態がいないので、それが最も重要な課題だった。むしろそうして得た知識と体験をもとに家の人間を助ける方に小さい頃から回っていた。立場は逆転していた。

 だから僕は親というやつが分からないのだろうし、それが世間的な面からの大きなズレなのだろうという事なのだろう。

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