第4話 予告状
普段のように時間が過ぎていく中、
俺は本を読みながら授業を聞く。
本から得る情報を手帳にメモしていって、
授業の内容は耳で得る。
先生が何か重要そうなこと言い始めたら授業に一点集中して、ノートに書いていく。
もちろん黒板に書かれたものも書いているが、適当すぎて字が汚い。
予習はしているのである程度は頭に入っているため、耳で聞くくらいがちょうどいいと気づいたのは中二の夏始めくらいだったかな。
それからは本を読む時間も、問題集を解く時間も効率が上がってさらに勉強が楽しくなった。
しかも昼ごはんを食べても眠くならないという最大のメリットがある。
なにかしらに集中していれば人は目を開けていたくなるものなんだろうな。
授業が全て終わってHR。
いつものように出席が終わる。
今日も事務所に向かっていると、一本の電話が事務所から入った。
『學、ラトローと思われる予告状が届いたと連絡が来た。メールで場所は今送ったからそのまま向かってくれ。』
「はい、わかりました。」
電話を切って場所を確認する。
今回は銀行…?
美術品を盗むラトローがなぜ銀行なんかに行くんだ?
頭を悩ませながら電車に乗ってその銀行に向かい管轄の警察に挨拶して中に入る。
案内された場所は、倉庫の中。
人が20人近くは入れるだろう重厚な倉庫にポツンと正方形の額縁に女性と子供の絵が描かれている。
ラトローはいつも女性と子供が描かれているものをよく狙う。
それはここ最近の統計でわかった来たことで、警察内部と担当の探偵事務所のみにしか知られていない。
今回は本人かもしれない。
ラトローは必ず女性と子供が描かれているものを取りに来るがたまに偽物がたまたまそれを狙うこともあった。
今日こそ当たりでありますように。
「學くんは、中と外どっちにいる?」
俺に質問を投げかけてきたのは、ラトロー担当の剛田 真司(ごうだ しんじ)警部補だ。
実力はあるのだが、現場で仕事をしていたいという意思から20年近く警察補をやってるらしい。
実力がある人がいても、捕まえられないラトローは、いつも人の目が見えないところで盗みを働き、正体を明かさない。
誰もラトローの影さえ見たことがないので、
背格好も顔もわからないままだった。
「外で待ちます。」
「わかった。」
俺は時間になるまで、この銀行の見取り図を見せてもらい、侵入経路を考えることにした。
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