4

 時刻の針は現在午後五時、暗い部屋で相も変わらず転がっていた桜花が、少しだけ動きを見せた。

 覚醒してから何も口にしていなかった為に、排泄物などを垂れ流す事態には至っていないが、飲まず食わずで二日過ごしていれば、人体には限界が来る。

 帰宅して以来始めて立ち上り、水道の蛇口を捻る。久方ぶりの感覚に身体が拒否反応を起こしたか何度も激しく咳き込む。にも関らず、意思とは無関係に身体は水を取り込もうと足掻く。

 実に醜い生への執着だと、低く昏い笑い声を口から漏らす。エクスがいなければ掃き溜め以下の価値しかない自分を必要とする者など、誰もいないのだから、生きている意味などないのに、こうも生きる事を望むのか。滑稽が過ぎて笑いが止まらない。

 狂ったように泣いて笑った後、電池が切れた人形の如く、桜花は再び床に崩れ落ちる。およそ一週間程度、食事を摂取しなければ人は死ぬらしい。

 

 その時間は、想定していたよりも長い。


 ——まあでも、何も考えなければすぐか。

 思い直して目を閉じ、思考するのを止める。後はこのままいるだけで良い。再び戻って来た静寂の中に身を委ねるが、それはすぐに破られた。

 

 鍵が回る音が耳に届く。

 

 一瞬エクスかと期待するが、彼女は「物を失くさず持ってるのは難しい」と拒否していたので、鍵を持っていない。姿が見えなくなった事を心配した大家か、それともSDAの人間か警察か。別に誰でも構わない。誰が相手でも、特段変わらない。

「邪魔すんぞ。……エラい辛気臭いなぁ、おい」

 予想はどれも外れた。丁寧さの類はまるで無いものの、義務感もない人間が来たと、足の運び方で分かる。何よりも、根本的には抜けきらない言葉の調子で、それが誰なのか桜花には理解出来た。

 ノロノロと顔を上げる。予想通りの出鱈目な色の頭髪の少年が、目の前に立っていた。崩れまくっているが一応制服を身に纏っている辺り、学校の帰りだろうか。どうでも良い事を考えていると、いきなり顔を顰められながら、腕を引かれて立たされる。面食らっていると、言葉の弾丸が飛んでくる。

「雰囲気の問題やなくてお前ホンマにちょっと臭いぞ。もしかして、あん時から風呂も何もしてないんか?」

 首肯すると、手刀が飛んできた。軽い物だったが、状態故に大きくフラつく。

「なら取り敢えず風呂入ってこい。話はそれからな」

「話って……」

「ここでしようとお前が風呂入ってからしようと、終わる時間は大して変わらん。お前が粘るなら俺は話さんぞ」 

 折れる気配は無さそうだったので、諦めてシャワーを浴びる。熱い湯に身を打たれていると少しだけ真っ当な方に思考が巡り始め、何故彼がここに来たのかの疑問が湧くが、それ以上踏み込める程にはまだ回復していない。

 出撃の際に着る服を適当に着用して風呂場を出ると、何故か妙なBGMが聞こえてくる。怪訝に思いながら居間に戻ると、大樹はテレビを占拠して某有名乱闘ゲームをプレイしていた。

「お前全然キャラ揃ってないやん。いつも使っとるキャラがおらんと、なんか違和感あるわ」

 エクスが某映画ライクなレースゲームを好んでいる為に、こちらの方はあまり進んでいなかった、というのが実情だが今そこは重要ではない。大樹の話の内容とは一体何なのか。知りたいのはそれだけである。

「突っ立ってないでやろうや。一人でやってもつまらんしな、これ」 

 促されるままにプレイを始める。桜花のゲームに関する腕前はかなり下手な部類に入るが、大樹も負けない位に下手だった。

 両者共に間抜けなミスプレイを連発し、大樹は腹を抱えて笑う。彼に釣られ、桜花も無意識の内に小さく笑みを浮かべていた。

 六試合目に入った頃、大樹がゆっくりと口を開く。

「お前さ、これからどないするん?」

 やはり来たか。内心でそんな事を思いながら、用意していた答えを返す。

「どうするって、辞めて別な仕事を探すに決まってるだろ。遺産だけじゃ食べていけないんだからさ」

「……お前はそれで良いんか?」

 首を捻る。良いも何も、自分はエクスに適合するから仕事と立場が与えられていたのだ。エクスを失った今、あの場所に留まれる根拠などないし、仮に何らかの形で慰留されても、自分に留まる資格はないだろう。

 そのような言葉口にすると、大樹から驚くべき言葉が返って来る。

「お前の相方の剣な、一応治ったらしいで。……意識が戻らんみたいやけど」

 コントローラーを取り落とす。プレイヤーたる桜花の動きに連動し、画面の中の緑髭親父もステージから転落するが、そんなことは最早どうでも良かった。

 エクスが生きていた。それを聞いただけで、心臓の鼓動が速くなり、心に光が差したような気がした。

 自身の人生の中で始めて、存在するか定かではない神に対して感謝の気持ちを抱いたが、意識が戻らないとの部分で、また暗雲が立ち込める。察したのか、大樹は桜花の肩を叩く。

「意識を戻す為には、お前が必要らしいで。大事に思うなら、会いに行ったれや」

 提案に首を振る。すると、大樹は驚愕で目を見開いて、肩を掴んでくる。

「いや、何でそこで首振るねん⁉ お前も相方の事好きなんやろ? 意識が無いままで良いなんて思ってないんやろ。なら……」

「だからこそ、だよ。俺みたいなのが相方だったから、エクスはあんな事になったんだ。……二度とあんな事を起こさない為にも、もう会わない方が良い」

「相方はお前を望んでいて、復活に必要でも、か?」

「それは……」

 只の置物の状態を彼女に強いる事など、当然許容出来ない。しかし、覚醒を果たしてもう一度何も持っていない自分と組む状況は、彼女にとって幸せなのだろうか? 技術の発展を待ち、彼女に相応しい存在の登場を待つのが最善なのではないだろうか? どうしてもそんな感情が先に立ち、桜花の足を止めさせる。

 結局明確な答えを出せないまま、時間だけが経過し、晩飯の時間が近づいて来たと立ち上がる大樹を見送る事になった。

「散々やらかしてたんを許容して貰えたんや。何も無い時は晩飯一緒に食うてくれ、ぐらいのお願いはちゃんと聞かなアカン」

 笑う大樹を少し羨ましく思いながら、少しだけ手を振って見送る。

 数歩だけ歩を進めた後、大樹が突如として振り返る。

「忘れ物か?」

「物はない。お前に言うとかなアカン事を忘れてたんや」

「……?」

「お前さ、化け物の姉ちゃんにボロカス言われとったやろ?」

 嘲笑と共に放たれ、耳に突き刺さった罵倒の数々が蘇り、表情が強張る。何も持っていない自分と、確たる芯を持っている彼女との精神と実力の圧倒的な差の前に、為す術もなく呑みこまれ蹂躙された現実は、桜花の中に刻み込まれて消えそうにもない。

「でもな、俺はそうは思わん。相方がおらん時でも、お前はちゃんと力を持ってる」

「……友達だからって、そんな慰めはいらないぞ」

「アホ抜かせ。この場で慰めを言うてもなんもならん事ぐらい、俺でも分かるわ。お前さ、展示会の騒ぎの時、来場者助けよったやろ」

「それは……」

 仕事だから当然だろう。そう返そうとする桜花を目で黙らせ、大樹は言葉を続けて行く。

「人員の配置の問題か、化け物の仕掛けがあったんかは知らんけど、その人らを助けられる位置におったのはお前だけやったらしい。んで、お前は皆助けた。誰にでも出来る訳じゃない事を、成し遂げたんと違うか」

「偶然……」

「偶然だと思いたいならそれでええわ。でもな、お前は決してあのおっそろしい女の言うような奴じゃなくて、ちゃんと出来る事がある人間やと、俺とその人らは思とるんやで。それだけは覚えとけ」

 踵を返して、再び歩き出す。

「で、お前がほんまにもう辞めるってなら、相方の剣に意識は無くっても、最後に何か言ったれや。専門的な事はよー分からんけど、意思が有る奴に対しては、それが礼儀やろ?」

 手を振りながら、大樹が小さくなっていく。残された桜花は彼の言葉を何度も反芻し、やがて家から機関に関連した荷物を取り出して、支部へと向かった。


                    ◆


 身体を引き摺るようにして、桜花は夜の道を歩む。友人にぶつけられた言葉で、かなり心は揺らいでいる。

 もう彼女とは別れるべきだ、いやまだ別れる時ではない。二種の囁きが脳内をぐるぐると回って、桜花を惑わせる。

 心を一つに塗り潰せないままに事を為すのは、一番不味いと理解はしているが、桜花の腹は決まらない。だらだらと悩んでいる内に、どんどん支部は近付いてくる。

 ――どの道が正しい? どんな歩き方が正しい? どれを選ぶべきなんだ……?

 未だに決められない情けなさに心が塗れて足が止まる。何の気無しに首を巡らせると、視界にコンビニが飛び込む。反応して、近くの通行人が驚くほど大きな腹の音が鳴った。

「……あぁそうか、なーんも食ってなかったな」

 人間の基本的な欲望と、時間稼ぎになるだろうと卑屈な打算に動かされ、入店して食べ物を物色する。適当な品物数個購入し、自動ドアの前に立つと、入店者と鉢合わせした。

「……すみません」

 軽く頭を下げて横に退き、相手が通り抜けるのを待つ。しかし、入店者の足はその場から固まって中に入ろうとしなかった。

 不審に思いながら顔を上げ、相手の顔を見る。すると、一人の女子中学生が目を見開いてそこに立っていた。鈍っている思考だが、彼女を見た事があると声高に叫ぶ。

 正解に辿り着こうとしていた時、死体のような面の桜花に驚きを顕わにしていた表情を、決意を抱いたそれに変えた少女が先手を打った。

「……少し、時間を頂けないでしょうか?」

 敵意は無いように思えたので、断る理由など無い。桜花は歩き始めた少女に続く。繁華街から離れ、近くの児童公園へと向かうようである。道中は何も言葉を交わさないが、後ろ姿で先日自分が首を突っ込んだ少女であると気付く。二度の接触があったが、片方は少なくとも彼女にプラスを与える物ではなかっただろうし、もう片方もそれに関連して色々と不味い物があったかもしれない。

 ――腹をブスリとやられんのかね。

 後ろ向き極まりない考えが頭をよぎるが、流石にそれは無いだろうと思い直していると、目的地である公園へと到着する。少しだけ距離を取って、二人は向かい合う。

「……」

「……」

 沈黙が暫しの間支配する。年上として、何か先手を打ってリードするべきなのではと考えたが、目の前の少女との接点が少なすぎる為に、気の利いた言葉は何も言えない。

「あ、あのですね……」

 緊張によってか詰まりながらも、少女が口を開く。さあ何が来る。そう思いながら、桜花は身構えた。

「助けて頂いて、ありがとうございました!」

「……え?」

 予想外の言葉に、桜花は面食らう。

 ――というか、この場所で言う必要あるか?

 荒んだ思考故か、乾いた感想しか抱けない。

「仕事だしな。もう良いか?」

「まだです! それで私、部活に入ったんです。少しでも今を良くする為に」

 少女の学年は恐らく二年か三年、高校までの部活動ならば、なかなか珍しい話である。

 めでたい事だが、自分にどう関連しているのか。少し首を捻る。

「……異形に囲まれていた時、言ってくれましたよね。選べる道だってあるんだって。……私は、イジメられている、被害者なんだって思う事で、自分で出来る努力を放棄していたんだと、その時気付いたんです」

 危機的状況を抜ける為に、言葉の小細工を弄した記憶が蘇る。あのまま動けなくなってただ死ぬよりは良いと思って吐いた言葉が、そこまで少女を揺さぶったのかと驚きを隠せない。

「たった今、そこに居場所が無いなら、自分で新しい居場所を探せば良い。例えすぐ上手く行かなかったとしても、経験は私を強くしてくれます。それに、失敗しても死ぬ訳じゃありませんしね。……すみません、これは不謹慎でした」

「いや、構わないけれど……」

 目を見開きながら、少女の言葉を受けた桜花は、自分が向けられた事の無かった感情に、戸惑いを隠せない。

 仕事を継続する理由は義務感が大半を占め、命を張っても別に金銭以上の何かが得られる訳でもない。寧ろ毎度苦戦を繰り広げる彼は「伝説の剣持ってんのに、その程度かよ」といった感情を抱かれる事が圧倒的に多い。

 無駄に命を張る仕事とは、縁遠い所に立っている名も知らぬ少女から貰った混じり気の無い感謝と、決意の表明は、桜花の感情を激しく揺さぶった。

 本人の前ではそれを顕わにはせず、中学生が夜に外でダラダラと過ごすのは不味いので、帰宅するように促すと、少女は素直に従い公園を出て行く。

「本当に、ありがとうございました!」


 邪気の無い笑顔を残して。


 少女の姿が完全に見えなくなった頃、桜花は頬を強く引っ叩き、思考をクリアな物へと変えていく。乾いた音が収まるのと同時に迷いなく走り出し、そしてスッ転んだ。何処まで行っても、まるで締まらない。

 苦笑いしながら、コンビニで購入したおにぎりを腹に入れて行く。三個とも同じ味だ。判断力が低下していたと言っても、これは酷い、とまた笑う。


 すぐに笑みを消し、桜花は思考の海に潜る。


 何を今まで自分は酔っていた? 万能の存在でもない事を知っていただろう。自分の持っている物を全て出した訳でもないのだ。思考を回せ。答えは必ずある筈だ。複数回ノーラと相対した稀な経験を、フル活用するのだ。脳に存在する全ての知識と記憶を絞り出せ。

 彼女のような、前に向かって生きようとする、自分の手の届く所にいる善良なる人間の蹂躙を許すな。自分の実力では、世界規模で大した事が出来ない事など自明。それでも出来る事、守れるものはある筈だ。


 カッコよくは無いが腹は決まった。

 そして自分なりに、ノーラに対しての回答を導き出した桜花は地を蹴って走り出す。

 夜が更けても人通りの多い繁華街を、人波をすり抜けながら疾駆し、上層部が派手に壊れている事に少し驚きながら支部へと辿り着く。

「あ、出灰。お前大じ……」

 引き籠っていたとの報を聞いていたのだろう、心配そうに声を掛けてくる顔見知りに目で応えつつ、エレベーター前まで到着。

 間が悪い事にエレベーターは三つとも使用中。待っていても良かったのだが、今の桜花にはその時間さえももどかしい。再び駆け出して、非常階段を昇り始める。

 二段飛ばしで駆け上がり、踊り場で何処かで見たターンをしながら、最速で目的の階へ到達。十階まで走りながら上がれば少しは息が切れそうな物で、実際かなり乱れている。

 それでも、決して止まる事なく目的の部屋の扉を全身で開き、室内へと転がり込んだ。目当てとは少し違うが、近い相手がそこに立っていた。

「や、桜花君。久しぶりだね。どうかしたかい? それと身体は……」

「俺が行きます」

 色々と端折りまくった言葉をぶつけられ、一瞬面食らった表情を見せた八千代だったが、すぐに意味を呑みこんで頭を掻く。

「……もう一度、ノーラに挑むのかい?」

「はい!」

「勝率は?」

「敗北に九が六桁、その程度です」

 暫しの沈黙の後、八千代の声に真剣さが増す。

「君は負けに行くのかい? 流石にそれは許容出来ない。可愛い後輩をただ死ぬ為の舞台に行かせる訳にはいかないよ」

「実現出来る可能性は限りなく低いですけど、勝ち筋は一応あります。でもそれ以上に、俺は行かなきゃいけないんです」

 浮かんだ思い付きを八千代にぶつけると、渋い顔をしながら天を仰がれる。無惨な敗北を喫して、今まで引き籠っていた腰抜けにホイホイとゴーサインを出す馬鹿はいないだろう。 

 付け加えると、あまりにも桜花の提示した考えはメチャクチャな物だった。

 ノーの返事が来たら来たで、無断で特攻する腹積もりではあるが。

「……仕方ないね。ファルフスのサポートで出るつもりだったけど、桜花君をサポートしようじゃないか。その根拠のない目に賭けよう。オフィシャルでは絶対に言えない台詞だけど、君に賭けた方が面白い!」

 なかなか不純な理由ではあるが、これでまず一人の許可は得た。次の説得先であるファルフスの所に向かおうとすると、八千代に呼び止められた。

「水を差すようで悪いんだけど、どういう作戦なのかは後で聞くとして、武器はどうするんだい? 彼女相手に量産品じゃ、厳しいと思うけど……」

「それは……」


「んなモン決まってんだろ八千代。桜花の相方は、このアタシしかいないッ!」


 聖歌隊のように美しい声で放たれる柄の悪い言葉。久方ぶりに聞いたそれの発信源に向かって二人は首を回し、予想通りの存在が居る事に目を見開く。

 緑色の液体を金髪の先から垂らし、着衣は乱れ放題だが、目には活力が溢れている。エクスカリバーが、そこに立っていた。

「……三日ぶりくらいだね。身体の調子はどう?」

「愚問だぜ八千代! 原理はさっぱり分からねぇけど、まったくもって問題……あれどした桜花? なんで泣いてんだ?」

 聞かれても、上手く答えられない。彼女が戻って来てくれた喜びか、傷を作ってしまった悔恨の気持ちが蘇ったのか、はたまた別の何かか。感情の奔流に呑まれつつある桜花を、エクスはニヤリと笑ってひっぱたいた。

「……アタシに細かい気遣いは無しだ! 負けてもこうして立ってられてるし、次に勝てりゃ良い。……あん時、ちゃんと守ってくれたんだ。それだけで十分だよ」

「……そうか。……すまないな」

「だーかーら! 謝んなって! いつも通りの馬鹿なノリで行こうぜ!」

「や、こういう関係ってのは良い物だねぇ」

 意気揚々と背中を叩くエクスカリバーと、泣きながら笑う継承者を見て、八千代は微笑む。

 色々と釣り合いが取れていない上に、本来の力を引き出せているとは言い難いコンビだが、故に未踏領域の存在に対して、何かを起こせるかもしれない。そんな希望を、二人に対して抱いていた。

 やがて桜花は涙を拭いて立ち上がり、静かに口を開き、策にもならない策を伝える。当然二人は驚愕し、止めようとするが、横に首を振る。今までの戦いを振り返っると、この自爆とも言える攻撃しか、手はない。

 文字通り最強の彼女には、強さで張り合っても意味が無いのだ。

「……恐ろしく低い勝率ですけどエクスがいて、八千代さんも噛んでくれれば、勝率は五パーセントぐらいにはなります」

 相変わらず低い数字、だがゼロではない。数字として勝率があるならば、やはり動くべきだ。そう断じた桜花に、二人は応じ、戦略を練り始めた。

 一度火が点けば、時間の流れは一気に加速する。

 二日間はあっという間に経過し、いよいよ決戦の夜を迎えようとしていた。

  


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