第378話:音楽室で待つ者

重清と聡太が保健室から抜け出し、そのまましばらくキーホルダー探しをしていると。


「ん?」

重清が小さく声を上げた。


「シゲ、どうしたの?」

「ソウ、聞こえない?」


「聞こえないって、何が―――」

聡太が重清に返しながら耳を澄ませると、微かなピアノの音色がその耳に届いた。


「これって・・・ピアノ?」

「な?音楽室、行ってみよう」

こうして重清と聡太は、音楽室へ向かうこととなった。



重清と聡太が音楽室へと到着してみると、そこには既に、他の忍者部の面々も集まっていた。


「あれ?みんなも来たんだ」

重清が呑気にそう、皆に声をかけると、


「あぁ。今からみんなで、音楽室に入ろうと―――」

シンが重清へとそう返していたその時。


花園「あれぇ〜。ソウ君だぁ〜」

斎藤「あら、こんな時間に何をしているのかしら?」

島田「あなた達、社会科研究部ね。ですよね?古賀先生」

ノリ「お前らなぁ・・・・・」

最後に頭を抱えるノリを見た聡太は、ブルーメに頼んでノリと忍者部一同を『通信』で

繋いだ。


ソウ(ノリさん、すみません)

ノリ(ソウの『通信』か。お前ら、なにバレてんだよ)


シン(ノリさん、もしかして俺らが居たのわかってたんですか?)

ノリ(当たり前だ。どうせならば修行の一環だと思って放置してたら・・・)


ケン(ってことは、俺とゴリラが社会科準備室に居たのも分かっていたのか)

ノリ(え、待って。それ気付いてない)


アカ(社会科準備室のすすり泣く声・・・やっぱりノリさんっだったんだ)

ノリ(え、ちょ。違うよ?俺じゃないよ?なぁ、ケン、ノブ。俺、泣いてなんかないよな!?)


ケン・ノブ(ハイ、ナイテナンカイマセンデシタ)

ノリ(なんで片言なんだよっ!)


ツネ(どうせ、結婚してぇとか言って泣いてたんだろ。なぁ、ユウ)

ユウ(ふふふ。恒久先輩、正解かも)


シゲ(あれ?なんかツネとユウ、さっきよりも仲良くなってない?)

ソウ(シゲ、そういうのは2人だけの秘密にしておくべきなんだよ?)


ツネ(おい、お前ら何か勘違いしてないか?)

ユウ(私としては、勘違いしたままでも嬉しいんですけどね)


アカ(あら、ユウちゃん今日は積極的じゃない後で詳しく聞かせてね)

ツネ(お前なぁ・・・ったく。人の気も知らねぇで)


シン(おい、今の会話待て。まさかツネ、お前まで俺を裏切るつもりじゃないだろうな!?)

ノリ(なに!?恒久、どういうことだ!?)


ツネ(うるせぇよ殺されたがりの独身貴族!なんでもねぇよ!)

ユウ(ぷっ。殺されたがりの独身貴族って。恒久先輩、言い過ぎですよ)


ノリ(あれ、なんかユウまで俺を小馬鹿にしてない?)

シン(なんてこった・・・ツネとユウまでリア充に・・・ノリの兄貴!こうなったら、再び部内恋愛禁止を発動するしか!)


ノリ(誰が兄貴じゃい!!お前と同類にすんなよ!)

ツネ(だから勘違いしないでもらえません!?俺とユウの間には、ホントに何もないからね!?あと、部内恋愛禁止は困る!)


シン(部内恋愛禁止が困るだと!?ツネ、おまえやっぱりユウと・・・)

ユウ(何でもないだなんて・・・恒久先輩、あの言葉は嘘だったんですか?)


ツネ(いやどの言葉!?ユウ!話をややこしくしてんじゃねぇよっ!)

ユウ(いやなんか、面白くってつい)


ノリ(俺の前でイチャイチャしてんじゃねぇよっ!)

ツネ(してねぇよ!)


シン(結局、俺の仲間はソウだけかよ)

ソウ(え、あれ?そうなるの?なんだか凄く嫌なんだけど)


ブル(大丈夫だよパパ!パパにはボクが付いてるよ!)

プレ(それ、フォローになってんのか?)



シゲ(ねぇみんな、今の状況分かってる?)


一同(お前が言い出したことだろうが!!!)



「古賀先生?」


忍者部一同が頭の中でわちゃわちゃしていると、島田さんがずっと黙ったままに見えるノリへと声をかけた。


「あ、あぁ。すみません。突然の事に驚いてしまって。こいつらは確かに社会科研究部の部員達です。なのて、こいつらの事は私に任せてもらえないでしょうか」


「そういう訳にもいかないでしょう」


ノリが島田さんたちに頭を下げていると、いつの間にか止まっていたピアノの音色の代わりに、音楽室の中からそんな声が聞こえてきた。


「ちっ」

ノリがその言葉に舌打ちしていると、


「ちょっと古賀ちゃん。私達のボスに舌打ちはないんじゃない?

ほら、ボスがお呼びよ。あなた達も、付いていらっしゃい」


斎藤がノリを諌め、重清達を音楽室へと促した。


そのまま一同は、音楽室へと足を踏み入れるのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る