第351話:強力な助っ人

「今回の中忍体だが、重清はもとより、優希にも出場は諦めてもらう」


その言葉に、最初に反応したのは恒久であった。


「待てよ!それどういうことだよ!?ユウは誰の目から見ても、才能あるじゃねぇかよ!」

「俺も納得できません。ノリさん、理由を聞かせてください」

続けてシンが、じっとノリを見て言った。


「理由は簡単だ。ユウの武具が、強力過ぎるからだよ」

「強いことの、何が悪いのよ?」

茜も非難の目をノリへと向けた。


「強いことは悪いことじゃないさ。ただな、ユウの武具は次元が違うんだよ。ユウの言う大アルカナカードは、まだまだ未知の力だ。

それを突然、中忍体出だしてみろ。どうなるか分かったもんじゃない」

「だったら、中忍体までに使えるようにすればいいじゃないんですか?」

聡太は言った。


「それも考えた。しかし、そう言ってしまうと、ユウは急いで力を扱おうとするかもしれない。違うか?」

ノリはそう言って、優希へと目を向ける。


「・・・・確かに、急いで力を使おうとするかもしれません」

「だろ?お前には、その力とゆっくり向き合ってもらいたい。焦らず、しっかりとその力を扱えるようにな」


「でも、だからって今の時点で出場させないと決めるのは、早い」

ケンがそう言うと、ノリは首を振った。


「いや、そんなことはない。これはお前達全員優希へとのためでもあるんだ」

そう言ったノリは、シン達に目を向けた。


「お前達3年生の連携は、今回の中忍体において必要不可欠なものだ。これは、皆わかっているな?」

その言葉に、重清達2年生と優希は強く頷いた。


「今回はこれに加えて今回は、2年生の連携にも力を入れたい。今のユウでは、連携にまで時間を割く余力がない」

「確かに、カードの具現化だけでも大変そうなのに、先輩達との連携までは、出来る自信はないかもです」

優希は肩を落として、そう呟いた。


「ユウは、それでいいのかよ?」

恒久が優希へと声をかけると、


「はい!当日は、先輩達の勇姿を見て、勉強させてもらいますっ!」

優希はそう言って笑うと、


(えぇ娘やなぁ〜)


その場の全員が、その笑顔に心の中で呟いていた。


「あれ?っていうかその2年生の連携、おれ入ってないじゃん!」

そんななか重清は、1人今更なことを叫びだしていた。


「あぁ、その事についても話しておく。

まずこれからの修行についてだが、メインは中忍体出場メンバー6人と、重清、ユウに別れて対戦してもらう。

その際、プレッソ、チーノ、ロイにも重清側のメンバーとして参加してもらいたい。

重清、お前はまず、プレッソ達との連携に力を入れるんだ。

今のお前はまだ、全然プレッソ達との連携が上手く行っていないからな」


「あー、納得」

重清は1人、納得して頷いた。


「まぁ、いつも同じメンバーってのも良くないから、時々は違うチームにするがな。その時は、重清も他の2年生との連携を意識すること。

そしてその時は可能な限り、プレッソ達とは別のチームにする」

「でも大丈夫かよ?重清、オイラ達がいないと、戦力激減だぞ?」

重清の頭の上から、プレッソが茶々を入れた。


「いや激減て。まぁ、否定はしないけど」

「いや否定しねぇのかよっ!」

重清がプレッソに言い返すと、恒久はすかさずそれにつっこんでいた。


そんななか。


「あのぉ〜・・・」

優希がおずおずと手を挙げた。


「一応、チーム分けについては理解しました。

けど・・・いくらチーノちゃん達がいるとはいえ、私達の方は、5人しかいないですよ?

さすがに、先輩達相手に人数で負けていたら、ちゃんと相手ができるかどうか・・・」

優希は自信なさげに、そう声を漏らした。


「その点については心配いらん。強力な助っ人を考えている」

「助っ人、ねぇ・・・」

自信たっぷりのノリの言葉に、恒久は訝しげな目を向ける。


「まさか、美影、とか?」

重清が若干心配そうな目でノリを見つめると、


「だったら、隠くんとかいいんじゃないか?隠君、凄く強かったし」

唯一隠と手合わせをした聡太が、笑みを浮かべた。


そのまま一同はあーでもないこーでもないと、助っ人候補者についてワチャワチャと話し出した。


そんな一同に、ノリはため息をついた。


「お前らなぁ。いるだろ?目の前に強力な助っ人が」


「ま、まさか・・・・・」

ワチャワチャしていた一同が声を揃えると、


「これからは、俺も参加する。俺がお前らを、直接しごいてやるよ」


ノリはそう言って、ニヤリと笑うのであった。

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