エピローグ

「これは・・・俺達忍者の、始まりの物語、か?」

平八の本を読んだノリは、呟いた。


「これを、平八様が?確かにこれは、平八様の字みたいだが。これは事実なのか?だったら、平八様はどうやってこれを・・・」

手書きの文字を、ノリはなぞった。


その時ふと、ノリは気付いた。


「まだ続きがあるな」

ノリがそう言って次のページを開くと、そこには明らかに平八の字とは違った文字が記されていた。


ノリは、そこに記された文字を読み始めた。




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果たして、今の忍者協会はこの書に記された『師』の理想の組織と言えるだろうか。


他者のために動く、そして皆が幸せになるような組織。


それが、師の理想とする組織だったはずだ。


これまで長い間、忍者達を見守ってきた。


あいつらの弟子達は、それなりに師の理想を理解していた。


しかし、今の忍者共はどうだ。


せっかく雑賀平八のお陰で、再び師の理想に近づくことが出来たかに思えたが、そんな事はなかった。


どう上手いことシステムが構築されようとも、結局人は自身よりも下の者を蔑ろにする生き物だ。


皆が幸せになるなど、ただの幻想でしかないのではないか。


雑賀平八亡き今、忍者共の行く末を正せる者など、存在しないのではないだろうか。


師の理想を実現出来ないのならば、忍者など、必要ない。


やはり、忍者には、そろそろ消えてもらわなければいけない。


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あとがき

15時にもう1話、更新します。

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