第321話:元部長のご登場

「じゃぁー、次はシン達だねー・・・・・っ!?」


重清達と話していたショウは、そう言ってシン達のいる方向に目を向けて、息を呑んだ。


「コウ・・・・」

ショウから漏れる言葉に重清達がその視線を追うと、そこには元2中忍者部部長、近藤浩介が佇んでいた。


「よぉ」


近藤は、ニヤニヤ笑いながらショウをじっと見返していた。


「重清くーーん!!」

その後ろでは、田中琴音がそう言って、満面の笑みを浮かべて重清に手を振っており、その隣には、全身を白いローブで覆い、顔には包帯を巻いた人物が、ひっそりと立っていた。


シゲ「あ、あの人・・・っていうか琴音ちゃんまでいるけど?」

ソウ「えっ・・・・」

アカ「なになに?あれが噂のコウって人?なんだ、結構イケメンじゃん!」

ツネ「あいつ、何しに来やがった・・・」


近藤達を目にした重清達が思い思いに呟いていると。


「なんだよなんだよ。せっかくの卒業式だぜ?俺にもお礼参り、やらせろよ」

近藤はそう言って、笑っていた。


そんな中、チーノがソウへと声をかけた。


「聡太。あなた、彼らが来たのに気付いた?」

「いや、全然気付かなかった。だから、びっくりしちゃって。もしかして、チーノも?」


「えぇ。それにあの白ローブ、今もまだ感知できずにいるわ」

「えっ・・・・」

チーノの言葉に驚いたソウは、スマホレーダーを取り出し、その画面に目を落とした。


「ホントだ。ぼくのレーダーでも、あの人は感知してない。一体何者?」

ソウがそう言って首を傾げる中、


「そもそもお前ら、いつからいたんだよ!?ここの時間は止まってるんだろ!?俺らにバレずに来るなんて、おかしいだろ!?」

と、恒久が近藤達へと叫んだ。


「はっ。お前はバカか?」

近藤は、そんな恒久を小馬鹿にするように言った。


「ここの時間か、完全に止まってると思っているのか?それならば何故、お前らはいつも、同じタイミングで部室に入れるんだ?

時間が完全に止まっているならば、部室に入った次の瞬間には出てくるはずじゃないか?」


「「「「「「「「・・・あ」」」」」」」」


近藤の言葉に、重清達だけでなくショウやシン達も、声を漏らしていた。


2中忍者部の面々、誰一人その事に気付いていなかったようである。


「くくく。そんな事にも気付かないとは、つくづくおめでたいやつらだ」

近藤はそう言って笑っていた。


「自分だって、さっきここに来る直前に、この人に教えられるまで知らなかったくせに」

そんな近藤に、琴音が馬鹿にするように呟いきながら、白ローブをチラリと見た。


「う、うるせぇな!こいつらより先に知ったんだから、いいんだよ!あと、教えてくれてありがとうございましたっ!」

近藤はそう言いながら、白ローブに頭を下げた。


しっかりとお礼をするあたり、近藤の育ちの良さが伺えるのである。


「それでショウ。もちろん、俺に付き合ってくれるよな?」

頭を上げた近藤は、ショウへと向き直った。


「・・・・・・」


「なんだよ。安心しろよ。ちゃんと手加減はしてやるからよぉ」

無言で近藤を見つめているショウに、近藤はニヤリと笑って言った。


「シン達は、いいのー?」

ショウは近藤から目線を外し、シン達に目を向けた。


「・・・・嫌ですよ。でも、俺達そいつ等重清達程、ショウさんとやり合えるとも思えないし・・・・」


「はぁ?お前ら3人揃って、まだこいつに勝てないのかよ?どんだけ生ぬるいんだよここは!?

こんなとこ、辞められてよかったぜ!」

「辞めさせられたくせに」


イキる近藤に、琴音が容赦なくつっこんだ。


「うるせーよっ!それよりショウ!シン達は自信が無いってよ!だったら俺が相手してやるって!諦めて俺にボロくずにされとけよ?」

近藤は琴音に言い返して、ショウへと向き直った。


「・・・・・わかったよー」

ショウは肩を落としながら、そう言ってじょうを具現化させた。


「はっ!ようやく覚悟ができたか!じゃぁ、早速やろうぜっ!」


そう言って近藤は、緑色の忍力を放出させる。


「おぉ、すげー忍力。これ、ショウさんより多いんじゃない?」

「うん、そうみたい。多分、うちで2番目に忍力量の多いアカくらいはあるよ」

そんな光景を見ていた重清が、呑気そうに言うと、2中忍者部で1番忍力量の多いソウが頷き返していた。


「あぁ。一同手合わせしたが、あいつは確かに強かった」

重清の言葉に、恒久はそう言って頷いた。


「しょ、ショウさん、大丈夫かな?」

心配そうにショウを見つめるアカに重清とソウ、そして恒久は、


「「「ま、大丈夫っしょ」」」


そういってその場に腰を下ろし、観戦モードに入るのであった。

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