第320話:1年生 対 甲賀ショウ(猫) 決着?

「「「「よっしゃぁーーーっ!!!」」」」


ショウの降参宣言を聞いた重清達は、声を上げて飛び上がっていた。


シゲ「おれ達、あのショウさんに勝ったぞ!」

ソウ「凄い・・・信じられない・・・」

アカ「みーちゃんとの修行は、無駄じゃなかった!」

ツネ「これで俺達、中学生相手だとほぼ無敵じゃね!?」


重清達がそれぞれ喜んでいると、ショウが4人の元へとやって来て、笑いながら口を開いた。


「ほんと、みんな凄かったよー。このまま続けてたら、シン達と戦えなくなっちゃうところだったよー」


「「「「はい???」」」」


ショウの言葉に、重清達は飛び上がるのを辞めてショウへと目を向けた。


「ショ、ショウさん。それってどういう??」

ソウが恐る恐る、ショウへと尋ねた。


「んー?そのまんまの意味だよー?このあとシン達とも一戦交えるからねー。流石に力は温存しておかないと困るからさー」


((((そこまで考えての降参ですか!?))))


重清達は、心の中で叫んだ。


「い、いや、でもよぉ、それを含めても、ショウさんにあれだけダメージ与えられたんだ。俺達、充分頑張っただろ」

恒久は、一同を見回しながら言った。


「ツネ、よく見て。ショウさん、ジャージはボロボロだけど、体には少し擦り傷ついてるくらいだよ?」

「ほ、ホントだ・・・で、でも、擦り傷だけでも―――」


「えーいっ!」

恒久が必死にソウに言い返そうとしていると、ショウはそう掛け声をあげながら『治癒の術』を使い、数少ない擦り傷すらもあっさりと治癒していた。


「お、俺達の苦労の跡が一瞬で・・・」

恒久が、そう呟いてその場に崩れ落ちた。


「結構頑張ったと思ったのに。ショウさんはまだまだ遠いわね」

アカはため息混じりにそう言って、ショウを見つめていた。


「はぁ。おれ達、強くなってるのかな?」

重清がそう言って肩を落としていると、重清の猫耳と甲羅、そしてマキネッタが光出し、チーノのロイ、プレッソが姿を現した。


「安心しなさい。あなた達は充分良くやったわ」

チーノはそう言って、落ち込む重清達に声をかけた。


「そうか?その割にショウさん、ほぼノーダメだよ?」

重清が小さく笑いながら、チーノへと返した。


「あなた達の攻撃、あれはかなりのものだったわ。実際ショウはあの時、『猫化の術』で上がった体の力を、防御に回していたわ。だからこそ、あれだけのダメージで済んでいるのよ」


「そうじゃな。あれが、そうさのぉ、例えば以前襲ってきたグラであれば、下手したら死んでおったくらいの威力だったぞ」


「おぉ、そんなにか」

チーノとロイの言葉に、重清が感心したように呟いていると、


「それを耐えるショウさんって・・・」

ソウがそう呟き、それを聞いた重清達はまた、肩を落として落ち込んだ。


「でもよぉ、よかったじゃねーか」

そんな重清達に、プレッソが声をかけた。


「何がよかったんだよ、プレッソ」

重清が落ち込みながらプレッソに目を向けると、


「こんな近くに、あれだけデカい目標があるんだろ?だったらお前らも、あそこまで行けばいいじゃねーか」


「「「「・・・・・・・・」」」」


プレッソの言葉に、重清達は黙りこくった。


「そうよね」

そんな中、アカが真っ先に顔を上げて、ショウへと目を向けた。


「落ち込んでいる暇なんかないわ。私はもっと、もっと強くなって、必ずショウさんに並ぶ力を付けて見せるっ!」


「・・・だな」

アカの言葉を聞いた恒久もまた、顔を上げてそう口を開いた。


「こんなところで立ち止まってなんかいられねー。そんなんじゃいつまで経ったって、忍者のトップになんか立てるわけねぇからな」


「そう、だね」

ソウが、恒久の言葉に頷いた。


「ぼく達は、まだこれからも強くなれる。いつか必ず、1人でもショウさんを追い詰めるくらいに、強くならなくちゃ」


「おー、流石おれの右腕。言うことがでっかいねぇ」

重清は、ソウの言葉に笑いながら顔を上げた。


「ま、負けたもんはしょーがない。次に勝てば、いいんだよね。終わりよければ全てよし、ってね」

重清がそう言って笑うと、1年生一同は無言で頷いて、ショウを見つめていた。



「・・・・なんかいい感じに話がまとまってるみたいだけどよぉ・・・」

そんな重清達の様子を離れて見ていたシンが、言葉を漏らした。


「お前ら、あいつら重清達の今の攻撃、耐える自信あるか?」


「・・・・・無い」

「はっはっは!無理だな!」

シンの言葉に、ケンとノブはそう返した。


「だよなぁ。ちなみに、あいつらくらいショウさんを追い詰める攻撃、できるか?」


「「・・・・・・・・」」

シンのさらなる問いかけに、ケンとノブは言葉も無く俯いた。


「だよなぁ。はぁ。このあと俺、ショウさんとやれる自信ねぇよ・・・・」


シンがそう、言葉を漏らしていると。


「だったら丁度いい。お前らの出番は無しだ」

シン達の後ろから、そんな声が聞こえてきた。

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