第12話:平八と雅のその後
後日、改めて雑賀本家当主、雑賀五兵衛から2人に連絡がありました。
雅は、やはり雑賀家との縁を切られることになりました。
ただし、それは雅が16歳になってから。
結婚について触れられてはいませんでしたが、そのことからも雑賀五兵衛の気持ちは、2人にしっかりと伝わっていました。
その後、2人は結婚しました。
でも、それからの方が大変だったと思います。
平八は予定より1年遅かったけれど、教師になりました。
そして、雅と共に平八は、契約忍者の教育体制を作り上げていきました。
しかし、それがすぐに受け入れられる訳ではなかったのです。
長い歴史のある血の契約者の家系は、平八達の作った教育体制に異議を唱え続けました。
その頃が1番、平八達の命を狙う刺客が多かったと思います。
もちろん、平八と雅に敵う忍者はいなかったけれど。
血の契約者の寄り合いと化していた協会も、もちろん平八達の考えには難色を示していました。
そんな流れを変えるきっかけを作ったのは、雅の父、雑賀五兵衛でした。
彼は、忍者としての力はそれ程でもなかったけれど、忍者教育者としては、一目置かれる存在でした。
そんな彼が少しずつ、平八の教育方法を取り入れていったのです。
それから平八と雅は、少しずつ、血の契約者達の説得に奔走していました。
そしてついに、正式に平八達の教育体制が取り入れられることになりました。
あの時は、本当に嬉しかったわ。
そして長年の苦労を認められた平八は、忍者協会の幹部になりました。
最終的には、会長にまでなっちゃったけれど。
それと時を同じくして、雅は再び、雑賀家へ戻ることが認められました。
雑賀五兵衛は、この機会を待っていたみたいでした。
それでも、本家としてではなく分家の末席という扱いでした。
古臭いしきたりなんか捨てて雅を当主に迎え入れていれば、『雑賀家は血の契約者で最弱』だなんて呼ばれることはなかったのではないかと思います。
でもおそらく、本家当主といえどそこまですることは出来なかったのだと思います。
それでも雑賀家に戻したいと考えるあたり、雑賀五兵衛の雅への愛が伺えました。
といっても、雅の方も本家に戻る気持ちなんてさらさらなかったみたいでした。
結局雑賀本家の当主は、雅の弟が継いだみたいです。
年の離れた弟が継いだことで、雅はどこか嬉しそうだったのを覚えています。
ちなみに平八は、雅が雑賀家末席に加わった時に、甲賀から雑賀へと忍名を変え、忍者としては婿入りした形になりました。
おそらく、自身の教育体制を後押ししてくれた雑賀五兵衛への、平八なりの恩返しの意味もあったのだと思います。
実際、あの2人が雑賀家の一員になって、雑賀家は大きく成長を遂げました。
それと同時に、『最弱』の名も、いつの間にか消えて無くなりました。
何故か『最強』とは、呼ばれなかったけれど。
まぁ、分家の末席だし、しょうが無いんでしょうね。
ここで、2人のお話はお終いよ。
もちろんあの2人だから、まだまだたくさんの偉業があります。
でも、それまで話しだしたらきりが無いから、今日のところはこれまでよ。
機会があったら、また2人の話、聞かせてあげるわね。
え?平八がどんなプロポーズをしたか、ですって?
ふふふ。それは、平八と雅、そして私だけの秘密よ。
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