外伝〜出会いの章〜

プロローグ

「それにしてもさぁ」

公弘との電話が終わって一息ついた頃、重清が口を開いた。


「ノリさんの中学時代のことは分かったけど、おれ、もう1つノリさんについて気になってることがあるんだよね」


「俺もだ」

「ぼくもだね」


「「「ノリさんの理想の出会い方!!」」」


男子3人の声が揃った。


『あれ?みんなその話、聞いてないの?』

スマホの向こうから、茜の声がした。


「逆に、なんで茜知ってるの?」

スマホの画面を覗き込みながら、重清が言うと、


『近い近い!だって、みーちゃんから聞いたんだもん』

「ばあちゃんから!?」


『そ。ノリさんはね、みーちゃんと平八さんの出会いに憧れてるんだって』


「「「その話詳しくっ!!!」」」

3人の顔が、スマホへと迫る。


『だから近いって!男3人の顔でスマホの画面が埋め尽くされる、私の身にもなってよ!』


「いや、こんなイケメンの顔で埋め尽くされるんだから、嬉しいよな?まぁ、シゲはアレだけど」

「うん。まぁ、シゲはアレだよね」

恒久と聡太が可哀そうな目で重清に目を向けると、


「アレってなんだよアレって!お前らなぁ!おれよりほんの少しかっこいいからって・・・いや、うん。まぁ2人と比べたら、確かにおれはアレだけどさ。で、アレってなに?」

「ツネ、アレってなに?」

「え?知らねえ。適当に言ってるだけだから」


『あんた達、なんなのこの無駄な時間。詳しく話せって言われてからわたし、放っておかれてるんですけど?』


「「「すみませんでした!!」」」


『まぁいいんだけどね。』


「それで茜さん。雅さんと平八さんの出会いの話、話していただけませんかね?」

恒久が、腰を低くして茜に懇願する。


『ん~、話せなくはないけど、私も聞いたはなしだから・・・』


「それなら、私が話してあげるわよ?」


扉の方から声が聞こえ、重清達の視線がそちらへ集まると、そこには智乃が立っていた。


「おっ、智乃。そうか、智乃はシロの時に、その場にいたんだもんな!この話するなら、うってつけじゃん!」


「っていうか、それ言うならノリさんの中学時代の話も、智乃に聞けばよかったんじゃ・・・」

そんなことを呟きながらも、後の祭りだとあきらめた聡太は、智乃に目を向けた。


「智乃、お願いします!雅さんと平八さんの出会いの話、聞かせて!」

「う~ん、私はいいんだけど・・・雅がOKするかしら・・・」


『あ、待ってて!今聞いてみる・・・・良いって!』

「はえーなおい!」

ほぼ即答で答えた茜に、我らがつっこみ番長恒久がつっこんだ。


『あー、ソウの武具で、通信あるでしょ?みーちゃん、同じような術を最近作ったのよ。今のところ、つながってるのはわたしだけなんだけどね』


「お前のばーさん、ほんとに何でもありだな」

呆れ顔の恒久が、重清には頷き返した。


「それについては、おれも同感だよ」

「まぁ、雅さんだしね」

重清の言葉に、聡太も頷いて、男子3人は何故かお互いに頷きあっていた。


「それで、雅の許可も出たし、2人の出会い、聞きたい?」


「「「お願いします!!!」」」

智乃の言葉に重清達が声を揃えると、


『智乃ちゃん視点っていうのも、面白そうね』

茜も、そう言って笑っていた。


「じゃぁ、聞かせてあげるわね。2人の天才の、出会いの物語」

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