外伝~不良少年の章~

プロローグ

「そういえばさぁ、ノリさんの中学時代って、どんなだったんだろうね」

文化祭に向けての報告書のテーマが決まり、一息ついていた聡太が何気なく呟いた。


『あ、それはわたしも興味あるかも。でも、みーちゃんからもその話は聞いたことないなぁ〜』

スマホの向こう側から、茜の声が聞こえた。


「兄ちゃんなら、何か知ってるかな?」

重清がそう言ってスマホを取り出し、鈴木家長男の公弘へと連絡をとった。



『ん?ノリさんの中学生時代の話?あぁ、それなら知ってるよ』

重清からの電話を受けた公弘が、スマホ越しにそう返してきた。


『っていうかじいちゃん、その時のこと忘れたくないからって、自費出発で本まで出してるからな。売られてるのは忍者限定だけど』

「うわっ、なにそれ!じいちゃんそんなことしてたの!?なんだろ、なんか恥ずかしい!」


『わかるわかる。俺も当時は中学生だったから、スゲー恥ずかしかった記憶があるよ』

スマホの向こうで、公弘が笑っていた。


「でもそれ、絶対ノリさんの方が恥ずかしいよな」

恒久が、ノリの心情を慮っていた。


『あっはっは!確かに、自分の話が、しかも師匠の手で書籍化されるとか、地獄だよな。ちなみに、手元にその本あるけど、聞きたい?』


「「「『お願いします!!』」」」


こうして、本人の許可もなく、ノリの公開処刑が始まるのであった。

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