第117話:重清 対 麻耶、チーノ 対 根来アツ
まえがき
明日から試験的に、更新時間を1時間ずつ早めます。
明日の更新は午前11時です。
PVの伸びなさ加減に心折れそうなので、少しでも見てもらえるようにという苦肉の策で。
内容と表現力に力入れろというつっこみは、すでにセルフで行っております!
----以下、本編----
走り出したと思った直後には、麻耶は重清の背後へと現れていた。
「相変わらず速いなぁ!っと。」
重清はそう言いながら、麻耶の蹴りを避ける。
(重清、銃化するか?)
(いや、とりあえずはこのままで!っと。まずは鉄玉だ!)
(りょーかいっ!じゃぁ。)
「「反撃開始だっ!!」」
重清と同時に叫んだプレッソは、
(鉄玉の術っ!)
術を発動して自身を鉄の玉へと変化させて重清の手元へと飛んでいく。
「いっけぇっ!!」
重清は、鉄の玉となったプレッソを掴み、麻耶から距離をとってそのまま麻耶の方へと玉を投げる。
「ふん!こんなもの、避けるまでもな―――っ!?」
麻耶がそう言いながら迫る鉄の玉を蹴ろうとしていると、目の前で鉄の玉が自身と同じくらいの大きさになり、麻耶は絶句する。
それでもなんとか一瞬で気を取り直した麻耶は、なんとか上空へと退避して重清に目を向けた直後、
「きゃぁっ!!」
重清が放った弾丸の術によって作られたいくつもの弾丸が、麻耶に直撃する。
「オイラのことも、忘れんなよっ!」
先程まで鉄の玉となっていたプレッソが姿を戻し、弾丸を浴びる麻耶へと駆けてくる。
「くっ!お願い、チュウ!」
そう言ってプレッソの方へと麻耶が手をかざすと、プレッソの目の前に突如ハリネズミが現れる。
「うわっ!!」
驚いたプレッソがその場に立ち止まると、
「チュウ、岩針っ!」
「チュー♪」
現れたハリネズミは麻耶の声を聴くと空中で丸くなり、そのまま回転し始める。
「にゃぁーーっ!!」
回転するハリネズミから無数に飛んでくる岩の針がプレッソを襲い、、プレッソは猫っぽい叫び声をあげながら衝撃で吹き飛ばされる。
プレッソが話すようになって以降、猫のような叫び声をあげたのは初めてではないだろうか。
「プレッソっ!!」
重清は慌てて、プレッソを一度戻して再び具現化する。
「マジでびびった!!」
緊張感の無いような声で、プレッソが驚きを表現していると、ハリネズミが麻耶の肩へと着地する。
「こんなに早く、この子を出すことになるとは思わなかったわ。」
重清の弾丸で少しだけ制服が破れた麻耶が、不貞腐れた顔でそう言ってハリネズミを撫でていた。
痛くはないのだろうか。
「そいつ、もしかして麻耶姉ちゃんの具現獣?」
「そ、チュウって言うの。可愛いでしょ?」
「チュー♪」
「か、可愛いな。」
重清が、チュウの愛くるしい姿に目を奪われていると、
「おい重清っ!オイラが可愛くないっていうのかよっ!!」
「えっ?プレッソ、自分のこと可愛いとか思ってたの!?
どう考えてもクソ生意気な黒猫じゃん!!」
「あっ!ひでーー!お前オイラのことそんな風に思ってたのかよっ!!」
「自業自得だろ!?」
「・・・あんた達、仲いいわね。」
「「どこがっ!!」」
仲の良いことである。
「とにかく、これで2対2になったわね。もう、負ける気はしないわよっ!」
そう言って、麻耶は再び足に雷を纏わせる。
(うわぁ、やばげー。チーノ、早く戻ってきてよ〜。)
重清は、心の中でそう祈って構え直す。
少しだけ時間は戻り、重清達から離れて根来アツへと駆けて行ったチーノはというと。
「ちいっ!全然当たらないっ!!」
アツがそうボヤきながらショウトボウで次々と飛ばしてくる水の矢を、時に避け、時に撃ち落としながら、チーノは少しずつアツへと近づいていた。
「じゃぁ、そろそろいくわよっ!!」
チーノがそう言って、アツへと飛び掛かる。
「クソッ!」
アツはそう口にしながらも、チーノの爪が届く前に水の矢を打ち、見事それはチーノ胴体へと突き刺さる。
「やったか!?」
水の矢が刺さったチーノは、そのまま霧となって消えていった。
「ざ〜んねん♡」
思いっきりフラグを立てたアツの背後から、そんな声が聞こえてくる。
「っ!?」
アツはなんとかそれに反応し、振り向きざまに背後から迫るチーノに対して回し蹴りで応酬する。
「あら、これに対応するのね。意外とやるじゃない。」
回し蹴りが当たる直前、そう言って笑うチーノはそのままアツの蹴りを受け、吹き飛びながら再び霧散する。
「はぁ!?」
回し蹴りで体勢を崩しながら叫ぶアツに、上空から迫るチーノの爪が襲いかかる。
「ぐぁっ!!」
なんとか腕でそれをガードしながら、アツは声を漏らしてその場から距離を置き、爪を受けた腕に目を向ける。
(くっ。腕がどっちも動かない!)
「あら、今ので腕がやられたんじゃない?」
そう言って微笑むチーノにドキッとしてしまったアツは、
(なんで俺が、猫なんかにっ!!)
チーノに腕をやられたことと、ドキリとしてしまったことの2つに苛つきながらもアツは、
「さ、さっきのは幻術か?」
そうチーノに声をかける。
「いいえ、似たようなものではあるけれど。覚えておきなさい。私達具現獣は、心の力をそのまま幻術として使うことができるのよ。まぁ、あなた達人間でも、訓練さえ積めばできるようになるのだけれど。」
そう言ってチーノが色気のある猫スマイルでアツの心臓に負担をかけていると、
「チーノー!」
どこからか声が聞こえてくる。
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