〝長い夏の終わりに〟(5)


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このメッセージを君が目にしているという事は、

あー、その上で内容が理解できているなら、だけど。

――私の挑戦は、問題なく成功したと言う事だ。たぶん。


まずサクラの遡航跳躍についてだけど。


時間遡航エンリケ物質マテリアルの残量3回というのは、あれ。

Eigis八騎と歴史を変え得るだけの知識を抱えて私が4ケタ年跳ぶ計算での回数。


だからPabilsagパビルサグ、Eigis一騎とたかだか30年だかの個人記憶を抱えて20年ばかり跳んだところでまあ、余りが出る。


あれ? そもそも君ってサクラのこと知ってたっけ?


……まあいいや。


随分長い時間がかかったけど君と〝竜〟の分離に私は成功した。

もちろん、クサビとしての機能を有したままで、ね。


――存在の上書きオーバーライドによる皆の、記憶の喪失については。


第八夜のあとすぐにオルトルートが意見を出してくれた。

〝すばる〟にEigisを経由して彼女たちが君と出会って過ごした1年分の記憶を吸い上げさせて圧縮して、君と一緒にあの時代に送り返す事で記憶を回復できる。


そういう仕込みをした。上手くいくはずだ。きっと。


もちろんEigis経由で挿入するので相手は纏者クローサーに限定されるんだけど。


いや受け取る側にも相応のリスクがあるし、全員分は容量の関係で無理だったし。

そもそもフタバは吸い上げ自体を拒否したのでアレなんだけども。


そういうことだから、イズルとイェーナとオルトルートだけは君の事を覚えている。


戸籍だのなんだの面倒なフォローは5巡目の私がなんとかしてくれるでしょ。

記憶を送る余地はなかったけど私から私への伝言、状況説明くらいはねじ込めるし。


そういえば君のメディカルチェックしてて気づいたんだけど。

君、今日が誕生日なんだね、偶然にも。

いやほんと、狙ってない。

マジ偶然。


まあ、そんなわけで。

そろそろ目覚める時間だよ。


現在の時間座標は、――皇紀AI2780年、12月24日土曜日。

午後21時30分、くらい、のはず。


ズレてたらごめん。

特に後ろに5時間くらいズレ込んでたらせっかくの偶然が台無しだけど、うん。


みんなが、あー。

イズルとイェーナとオルトルートが。

君を待っているはずだから。


こちらとちがってあちらでは2週間も経過してないから。

ちゃんと待ってくれてるはず、うん、たぶん。


……ああ、そうだ。






――お誕生日おめでとうメリー・クリスマス





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