**7話(4)**


時間とはドミノのようなものだという。


倒れたドミノを1つ引き抜いて移動させたとしても。

すでに倒れているドミノに影響が出る事はない。

倒れている、という結果はすでに確定している観測されているのだから。


引き抜いたドミノを置き直し、倒れたドミノを立てて。

ドミノ倒しを「やり直す」場合以外、歯抜けで倒れていようと。

〝本流〟への影響はないからそれは誤差として許容される。


時間という概念には大きく2つの時系列がある。

宇宙せかい始まりカコから終りミライまでを言う絶対系。

時間を移動する存在にとって、己の過ぎた痕カコ進む先ミライを言う観測系。


両者はともに矛盾しないし、いずれも破綻することはない。

絶対系は最後に帳尻さえあえばいい、ドミノの数さえあっていればいいのだ。

故に時間移動者は未来を書き換える事ができる、それが矛盾せず許さされる。


――だが、そこに陥穽おとしあながある。


ドミノの数さえあっていればいい、とは。

すなわちという意味でもある。


ダンベルを上げ下げする手を止め、吾続司は嘆息する。


つまりEigisを増やすとか、別の時系列から纏者クローサーを連れて来るとか。

そういった詐欺行為チートは行えない。


それでは帳尻が合わなくなってしまうからだ。

時間軸上に存在する存在の総数は常に等価だという。


それらは移動あるいは変化する事はあっても増加することはない。


まあ、難しい話ではなく、結論は簡単である。

鵺漆号No.7へは自分たちだけで対応するしかない、ということだ。


そもそももう、やり直しはできない。


稲背脛命イナセハギノミコトが、未来人西暦3412年の人類が用意できた時間遡航エンリケ物質マテリアルはわずかに3回分。

その全ては既に使い切られてる。


正真正銘、これが最後の戦いということだ。


もっとも、時間遡航タイムトラベルだの未来人だのと言われたところで実感はなく。

そもそも機会チャンスは1度きりだと思っていたのだから。

司にしてみればやり直しが効かない、というのも今更の話ではある。



固定された鉄棒を両腕でつかんで懸垂けんすいを開始。



ともあれ、ハギの話を聞いてから事ある毎に脳裏をよぎるのは吾続縁のことだ。


自分の娘。

には娘や、結婚どころか恋人も居ないわけだが。


当然、思うところがないわけがなかった。

そもそも父親が自分で母親が出流である。


そうか出流か……。

想像力もうそうたくましくなるのも致し方ない事だろう。


その話が出る直前、同日に生理制御MCパッチの話を聞いたのも不味かった。

吾続司にも通り一遍の性知識はある。


ギッギッと鉄棒を軋ませながら両腕、右腕、左腕と使う腕を変えて懸垂を続ける。


生理を止めれば当然、妊娠はしない。

いや厳密に言えばその表現は正確ではないのかもしれないが。

軍が支給するMCパッチに避妊効果が含まれていないと言う事もないだろう。


ハギから聞いた断片的な時系列に照らし合わせる限り、その時の出流はまだ纏者だ。


つまりそれは意図的にMCパッチの使用を止めない限りあり得ない事態であり……。


愛されてたんだな、その時系列の俺……、と感想コメントせざるを得ない。


嬉しくないかどうかで言えば嬉しいに決まっていた。


足先を地面につけないまま逆上がりの要領で上下を入れ替える。

鉄棒に足を、膝をかけて頭を下にぶら下がり、腹筋を開始。


鉄棒を軋ませながら上半身を持ち上げ、ゆっくりと降ろす、それを繰り返す。


――?


何か、違和感があった。

何か今自分は見落としをしなかっただろうか。


思考を巻き戻し、最前考えていた内容を反復する。


未来、あり得た未来、到来しなかった未来。

未来人イナセハギノミコト鵺漆号No.7

時間遡航エンリケ物質マテリアル

エニシイズル、etc.etc....


思考はぐるぐると回想と想像の迷宮に飲み込まれていく。

肉体はその間も動くのを止めない。

鉄棒を軋ませながら腹筋、肉体運動を消化していく。


どのくらいそうしていたのか、不意に。



「――う~ん……、オブッ」


顔面にたたきつけられた何かに思考と動作がが強制中断された。


半ば反射的にそれをつかみ取り、目視。

タオルに包まれたスポーツ飲料ドリンクのペットボトル。


投擲とうてきして来たであろう何者かの方に視線を転じると、腕組みして眉をしかめたイェーナ・プファンクーフェンの姿がそこにあった。



「あ、イェーナ?」


「『訓練室で真顔とキモ笑いを交互に浮かべながら黙々とキモく筋トレしてる変態がいてキモいので何とかしてイェーナの担当でしょ』ってフタバに言われたんだけど」


「ちょっと、キモいって言い過ぎでしょ、1文のなかで3回も言う必要ある?!」


「言ったのは私じゃなくてフタバだって。

 ――まあでもキモいわ、今回ばかりはフタバと同意見」


「ウッソ?!」


「いやマジで、キモい、よッ」


不意打ち気味にイェーナの右脚が跳ね上がる。

さかさまのツカサの頭部を狙った中段蹴りミドル

そつなくたたんだ左腕で防御ブロック


イェーナの右脚が降りている間に地上に降り、れない。


敵方イェーナは引き戻した右脚を地につけないまま速攻の第2撃。

再び中段蹴りミドル、――に見せかけて変化フェイント


膝と腰の捻りだけで爪先が軌道を変える、上段ハイ

狙いは脇腹、上体を捻る、今度は肘で受ける、攻撃的防御カウンター


対してイェーナは背を逸らし強引に脚先を引き戻す。

ツカサの肘をかするように爪先が走る、カウンターは不発。


わずかに減速した爪先を捕らえようと手を伸ばす、――届かない。


当然それも想定範囲、手を伸ばした勢いのまま上体を起こす、跳ね上げる。

鉄棒を両手で掴んで両足を抜く、右手を軸に身体を捻って横薙ぎの蹴りで牽制。


イェーナが距離を取ってかわした隙に手を離し、着地した。


両腕を軽く持ち上げて緩やかに戦闘姿勢ファイティングポーズを取る。



「……えっと何これ、続けるの?」


「ハ」


イェーナが嗤って再び右脚が跳ね上がる。

上段ハイ、に見せかけて変化フェイント、今度は下段ロー


飛燕の動きで急落した爪先は的確に膝を打ち抜き、きれない。

左足を上げてすねで受けた、眉をしかめる。――正直かなり痛い。



防いでいても仕方ない、というか防御しても痛い。


決断は迅速、左足は前へ下ろした、踏み込みながら手を伸ばす。

イェーナが肘を振って迎撃してくるがこれは腕で払った。

密着の間合い、組み合い、この距離なら筋力に勝るツカサが有利。


――最も、イェーナがその気なら有利もクソもない。

天緋核エスプリ〟の身体機能拡張ブースト1つで簡単にひっくり返される。


まあ、そもそも最初からそこは手加減されていた。

純粋なという意味でいまだツカサはイェーナに勝ち得ない。


密着する。

腰に手を回して逃がさないように捕らえる。


距離を離さなければ速度と遠心力に頼るイェーナの主戦法は封じる事ができる。


「……汗臭ぇ、っていうかびっしょりじゃねーか濡れるだろ放せ」


「やだ。蹴られたくないし。

 ていうかイェーナ、スカートで蹴り技はどうかと思うよ」


「うるせーハンデだよ」


「う~ん……」



何故、突然蹴られたのか。

最後の突進は彼女ならもっと上手くさばけたのではないか。

汗臭い放せ、と言う割に抵抗のそぶりが無いのはなぜか。




――誘われたなこれは。


男の子ツカサはそのように女の子イェーナの行動を分析し結論した。


優位を取るために密着するのは想定が容易な戦術展開である。

つまり、ツカサは誘導されたのだ、この体勢に。


だがそこから派生するべき反撃、あるいは攻撃の気配はない。

ということは、だ。


敵方イェーナは既に勝利条件を満たしている。

この状況体勢こそが最終目的彼女の望みなのだろう。



不器用かわいいが過ぎないか?


と思ったが口にはしなかった。

そんなことを口にしたが最後。

身体機能拡張ブーストを乗せたマジ蹴りが飛んで来るのは容易に想像できた。



イェーナ・プファンクーフェンは短慮な様でいて思慮深い。

乱暴に見えて繊細で、横暴に思われがちだが他人に気を使いがちな少女である。


ただし気が強く、負けず嫌いで、素直ではないという点は第一印象にたがわない。


彼女イェーナは案外、小柄だ。

この1年で多少伸びた少年ツカサとはちょうど頭1つほど身長に差があった。



どうしようかな、と悩む。

イェーナは動かない、ツカサも動けなかった。



どうしようかな、と悩む。

イェーナは動かず、ツカサはそっと手を、



「……あの、そういうの。

 もっと場所は選んだ方がいいと思います」


開いたままの訓練室の扉の向こうから、通りすがりの出流イズル 龍起タツキ 特務 少尉が呆れたように言って、そしてそのまま通り過ぎた。



ぎくしゃくとイェーナから離れたツカサは床に転がっていたスポーツ飲料のボトルとタオルを拾い上げ、タオルで乱暴に顔をぬぐう。


「あー、これ、ありがと」


「あ、うん。いや、大したものじゃないし」


「そういえば、スカート履いてるの珍しいね」


「いや割と履いてるけど……。

 私服とか見た事ないだけだろ、おまえが」


「ああ、なるほど。そういえばそうかも」



ふと、改めてイェーナを見る。

出会った頃には耳ほどまでしか無かった金髪は、肩に届く長さになっていた。



「そういえば髪、結構伸びたね。

 似合ってる、か、かわいいよ」



めちゃくちゃ睨まれた。


なんでさ。




************************************





――皇紀AI2780年、9月22日、木曜日。〔19:34〕


いずれにせよ、鵺漆号No.7より先に、鵺陸号No.6への対処が先だった。



日没から1時間と16分76 minutes after sunset

Yearly-βイェーリー・ベータ纏者クローサーRobinロビンRobinsonロビンソン 中尉 が骨振通信で告げる。


今夜、約58日周期の出現パターンを守って鵺陸号No.6が現れる。

少なくとも鳥船文書アーカイブの記述ではそうなっている。


環境型電位演算機エクサビット級コンピューター〝すばる〟の計算も、今のところはそれを保証している。


推定出現時刻、20:02まで残り28分。



鵺壱号No.1との交戦以来、久し振りの箱根峠に6人の纏者が集まっていた。


Birthday-clothesバースディ・クロース出流イズル 龍起タツキ 特務 少尉 及び、吾続アツヅ ツカサ 特務 准尉。

Ferro finoフェロ・フィーノ黒岩クロイワ双葉フタバ 特務 准尉。

TausendタウゼントJenaイェーナPfannkuchenプファンクーフェン 特務 少尉。

Acht-Drachenアハト・ドラッヘBerglichtベルクリヒトLohengrinローエングリン 特務 中尉。

Yearly-βイェーリー・ベータRobinロビンRobinsonロビンソン 中尉。


もっとも、舗装が修復された路上に立っているのは2騎のみ。

Birthday-clothesバースディ・クロースTausendタウゼントだけ。


Yearly-βイェーリー・ベータは200m先の丘陵から射線を取って待機している。


Acht-Drachenアハト・ドラッヘはその更に先、700m先の森の中。


Ferro finoフェロ・フィーノがいるのはAcht-Drachenアハト・ドラッヘの後方、150m地点。


鵺陸号No.6、極小の寄生蜂型であるそれは、装甲をほとんど有しないFerro finoフェロ・フィーノは相性が悪過ぎるとの判断だった。


Ferro fino は全6騎のEigisの中でTausendと同じ遊撃中衛ミッドアサルト分類カテゴライズされる。

ちなみにBirthday-clothesは白兵前衛アヴァントアサルト

Yearly-βと、現在不在のYearly-αは砲撃後衛ヴァンガードファイア

Acht-Drachenは制圧指揮ドミネイションコマンド、と分類されているのだが。


……それらの呼称が纏者間で使われた記憶は、少なくとも司にはなかった。


そもそも各分類に1騎か2騎しか存在しないのだ。

ことさら区別や名称の意味があるのだろうか。


ともあれ、Ferro fino と Tausend は、同じ遊撃中衛に属している。

……この話をするとイェーナが不機嫌になるのだが、事実なので仕方がない。


だが、同じ遊撃中衛でもこの2騎の能力には差異がある。

Tausendは斥力力場による瞬間的、直線的、鋭角的な物理的速さに特化している。


対してFerro finoのはいささか趣が違うものである。

すなわち身のこなしの早さ、対応の速さ、柔軟性、とでも言うべきもの。


Ferro finoは自身の内部、及び外部数mから数百m圏内に微弱な電場を構築する。

これは外刺激に対する感覚器センサーであり、目であり耳であり、同時に頭脳思考であるという。


規模はともかく、環境型電位演算機エクサビット級コンピューター〝すばる〟のそれと同じ。

体内及び体外、周辺環境に存在する電位を計算単位として扱う事で、人には不可能な対応速度、反応速度を現実化するのだ。


曰く、Ferro finoなら超音速で飛来する高速徹甲弾を

とは、黒岩クロイワ双葉フタバの弁である。

どこまで本当か、司には皆目わからないわけだが。


だがその代償として、なのか。

Ferro finoは装甲が極めて薄い。

動きを阻害しないため、というのもあるのだろうが。

とそれらの環境電位の間に密接な関係がある、というのが渥美の説明だった。


実際のところはわからない。

いずれにせよ装甲を増やすほど精度が落ちるのは事実のようだった。

そのため、6騎のEigisのなかでも最も外見が異質なのがFerro finoである。


出流とイェーナから「コスプレ」「サムライビキニアーマー」「痴女」など、散々な形容を受けた、と言えば想像がつくだろうか。


何にせよそんなわけで、体長15mmの寄生蜂という形態を持つ鵺陸号No.6との最前線からFerro finoは外されている。


「当たらなければどうという事はない」とは双葉のコメントではあるが。

相手もまた常識外の怪物、鵺である。

緊急時に備えて待機こそすれ、最前線に配置する事はしない、という結論が下されたのだった。




『——残り30分1,800secを切りました。

 頭には入っていると思いますが最終確認です』



骨振通信でオルトルートベルクリヒトがそう告げる。


鵺陸号No.6は体長15mm、攻撃力、防御力、制電掌握能力いずれも極小。

 出現と同時に通常砲撃で排除できる強度と鳥船文書アーカイブに記述されています。

 出現予定位置でBirthday-clothesバースディ・クロースTausendタウゼントは待機。

 感覚センサー系を最大出力で展開してください。

 火器管制系ファイアコントロールYearly-βイェーリー・ベータと同期していますね?』



僚機から肯定の声があがる、ツカサと出流もまた問題ないと肯定。

ベルクリヒトは了解で応じ、続ける。



『自分は絶縁立体キューブは展開しません。

 必要性が薄いので戦力は他に回します。

 鵺陸号No.6は人間を含むあらゆる生体に寄生します。

竜剣Drachenschwert〟は周辺警戒と観測に充てます。

 何も近寄らせない事を目的に稼働。

 万が一にも人里に到達されたら相当な被害が予測されますので注意を』



それで確認事項は全てだった。

早口だが聞き取りやすいベルクリヒトの説明は10分とかかっていない。




――19:42


視界の端に浮かぶ時刻表記を一瞥。

息を深々と吐く。


発見と同時に火器管制系を同調したYearly-βが砲撃で仕留める。

相手のサイズ的にかすっただけでも十分に仕留められるはずだった。


万が一の場合にはBirthday-clothesツカサとイズルTausendイェーナが斥力磁場での拘束・撃破を行う手筈てはずになってはいるが。

なにせ相手が小さすぎる、まともに戦えるかは不安でしかなかった。




――19:59




『空間微動観測、極小電渦の出現を確認――』



四四丸のオペレータの声が骨振通信に届く。



『――。』


ノイズのように骨振通信の回線が一瞬だけ開くが、無音。


「……今のな、」


『フ、Ferro finoフェロ・フィーノ生命反応バイタル急激に低下!』


悲鳴のようなオペレータの報告、


双葉が攻撃を受けた? だがまだ鵺は



正体不明敵アンノウン!』


『——自分が対処します。

 Birthday-clothesブラボーTausendタンゴYearly-βベータは鵺を』


滅多に口にしない省略呼称フォネティックコードで指示を飛ばしベルクリヒトは通信回線を切った。


既に背後、Ferro finoフタバが待機していた方向へ向き直っている。

鳥船文書アーカイブには記述がない出来事、取るに足らない事故か、それとも。


Ferro finoからの150mを駆け抜けた正体不明敵アンノウンが木立の陰から飛び出してくる。


焦りはない、竜剣Drachenschwertは既に引き戻し済みだ。

たとえ不意打ちであろうと、〝竜剣〟の自衛反応を一息に抜ける事はできない。

Acht-Drachenの制御系はFerro finoのそれと同じ。

環境電位を計算単位とする自律知能、目視不能の銃弾ですら防いでくれる。


人影は、おそらく女か。

薄汚れたフライトジャケットを羽織りパーカーのフードを目深にかぶっていた。

は並外れた速さで地面を蹴りベルクリヒトオルトルートに迫る。


迫る危険に対して〝竜剣〟が自衛反応、——しない。



え?


視界の隅に浮かぶ〝友軍Friends〟の表記。

混乱する、そんな設定をした相手などいない。





致命的なまでに反応が遅れる。

人影の握り拳が彼女の鳩尾ミゾオチを貫く。


創作物フイクションのように一瞬で意識を刈り取られる事はない。

内臓と横隔膜を突き抜けた衝撃と痛みが呼吸を、行動を阻害する。

崩れ落ちそうになる体を抱き止められる。





「——あなた、は」


「……オルトルート」


身体が弛緩シカンする。

誰かはわからないが、優しい声に。

苦痛に耐えようとする意志が挫かれそうになる。


あなたは、誰?との言葉はオトにならず。

けれど正体不明敵アンノウンは、囁くようにその問に応えた。


――■■■。





************************************




Yearly-βの砲火は正確に鵺陸号No.6を捉え、仕留めた。


Birthday-clothesツカサとイズルTausendイェーナは直後に駆け出している。


瞬く間に1km近い距離を駆け抜け、戦友ベルクリヒトの元へ。



『え、あの娘――』


『敵だ! 気を抜くな!』



ツカサの声に困惑が浮かび、イェーナが叱咤する。

イェーナも困惑がないわけではない。

ぐったりと力を失ったベルクリヒトの身体を抱きかかえている女は。

いつかの路上でギターを弾いていたあの弾き語り。





「おまえ、ベルクリヒトを放せ」



困惑を脇においてイェーナは外部音声でそう告げる。


正体不明敵アンノウンの回答は、簡潔にして完全に理解の埒外。




「——〝Pabilsagパビルサグ〟―構築Construction——」




識別色アイデンティファイ・カラー水色ライトブルー

地に落ちた八つの〝竜剣〟を喰らいそれは姿を現す。


黒鉄の鎧、蝙蝠の如き剣束翼状の背甲を背負った、それは。

彼らがよく知る存在だった。



環境型電位演算機エクサビット級コンピューター〝すばる〟が告げる。


――Eigis-Ⅷ/〝Pabilsag〟起動確認Verify launch









 

























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