俺が女体化しても幼馴染み♂はセクハラしない

お蕎麦

第1話

 注意


 ・趣味丸出しのオリジナルです


 ・何か色々と入り込んでいますので、ご注意願います


 ・酷い妄想です


 ・駄文です



 以上の事を踏まえて、何が遭っても自己責任で読まれ、無断転載をしない方のみ、どうぞ





 俺が女体化しても幼馴染み♂はセクハラしない


 とある夏の終わりの時期の事。残暑が厳しい朝の事だ。

 樹(いつき)はじりじりと鳴り響く目覚まし時計を叩こうとした。しかし何時も通り叩こうとしても、その手が届かずに、何度も何度もベッドを叩く事になる。

 どう言う事だろうかと思いながら、樹は身体を起こして、漸くぱしっと目覚まし時計を止めた。これで一安心。さて、朝食でも作ろうかと思ったのだが、その手を見て、樹は目を丸くした。自分の腕にしては細いし、何だか肌も綺麗だ。いや、そもそも誰の手だ、これは。その白魚みたいな手には見覚えがない。すぐに身体を見れば、そこには巨大な胸が付いていた。これもまた見覚えがない。

 だが、見覚えはないが、身に覚えは有る。知識として知っている。

 性転換症候群。

 突然、男性が女性に、女性が男性になる事を指している。同性ばかりが社会、或いは家族が同性ばかりだとホルモンが一晩で変異し、性転換するのである。

 どうやら樹は性転換症候群に罹ったようだ。彼も、いや、彼女も覚悟と言うか、もしかしたら、何時かは自分もそうなるかもしれないと言う気持ちが有った。

 何せ、樹の家は母が居ない。悲しい事に樹が幼い頃に病でこの世から去っているのであった。それに加えて、兄と弟が居るし、男子高校通っている。男しか居ない環境で長い間、過ごしている。その為、何時か、自分が、或いは家族が性転換するかもしれないと思っていた。思っていたが、まさか自分がそうなるなんて。考えていなかった訳ではないけれども、目の当たりにするとやはり思う事も有る。

 グッバイ、新品の息子よ。そしてハロー、巨乳。出来れば、息子が居る時にこの大きさに会いたかったぜ。

 とは言え、焦っても仕方ない。

 樹は迷う事無くスマートフォンに手を伸ばして、幼馴染みに『女体化した、ボスケテwww』と送ったのだった。やっぱり内心、彼は色々と焦っているのである。


 さて、早朝にもかかわらず、樹の隣に住む、同年の幼馴染みの翼(よく)は来てくれた。突然早朝に来たお隣の息子に、父が不振がっていたが、それでも部屋に上げてくれた。

「翼!」

 彼は男性の時でも、自分より一回り大きく、そして筋肉質な美丈夫の幼馴染みだ。よく他校の女子からも告白されているのを見ている位である。それはさておき。

「本当に女体化しているんだな」

「そうなんだよぉ。どうしよう?」

「一先ず・・・今日着る服をどうにかしよう」

「お、おう・・・」

 これは流れ的に、それじゃあサイズを測ろうと言って、セクハラされるかと樹は構えたが。

「そうだな・・・母さんに言って、今日の分の服はどうにか貰おう。それで、買って来るのが一番だな。よし、言って来る」

「待てや、おい」

 思わずそう言ってしまう。可愛らしい声で、何処ぞの排水溝に住む愉快なピエロみたいな事を言ってしまった。

「此処は普通、セクハラする所じゃねぇの!?」

「んー・・・」

「何だよ、魅力がないって言いたいのか?」

「いや、メッチャ好み。美少女で、巨乳とか、マジで最高とは思う。思うけど・・・」

「けど?」

「ガチで嫁に貰いたいのに、手を出す馬鹿は居ないだろ」

 尚、翼は真顔である。

「お、おう」

 幼馴染みが元男の自分を嫁に貰おうとしている件について、誰か答えてくれないかと樹は思った。勿論、答えてくれる人は居ないが。

「そもそも、だ。俺はまだ仕事もしていない」

「うん」

「学生だ」

「そうだな」

「そう言うのは結婚を前提としたお付き合いをしてから、やるべきだろうよ」

「お、おう」

 幼馴染みの倫理観がしっかりしている。

 樹は素敵な考えだなと思いながらも、同時に、お前は本当に男子高校生かと思っている。元男子高校生として、言いたい。お前の性欲は何処に消えているのだと。普通、好みの相手が居たら、すぐにセクハラをしようとするし、あわよくば、アレコレとしたくなるものだと言うのに。何故、彼は手を出さないのだろうか。

「言っておくが、俺だって性欲は有るぞ?只、お前を大事にしたいって気持ちが強いだけだ」

「マジレスすると、お前の中で俺、嫁に貰われるのは確定なのか?」

「え、嫁に来ないのか?」

「・・・」

 この時、樹は冷静に考えた。そこは女性になったばかりとは言え、やはり女の子。強かに計算してしまうのは当然である。

 幼馴染みで、昔から自分の事を知っているのは高評価だ。

 長身のイケメン。今まではぐぬぬと思っていたが、こうなってしまえば、大歓迎である。

 その上で誠実で、紳士。文句の付けようのない素敵な性格だ。

 総じて、完璧である。

 そこまで一瞬で計算して、樹は顔を上げた。

「行く!」

「うん。俺の所に嫁においで」

 美声でそう言われると、思わず樹が抱き着きたくなるのだが、翼が一足先に腰を上げた。

「さて、母さんと、お前の父さんに報告してくるよ。お前はそこで待っていろ」

「・・・本当に何もしないのかよ」

「そう言うのは正式に付き合い始めてからだ」

 よしよしと大きな手で頭を撫でられては樹も何も言えずに、その場に座り込んで、部屋を出て行く翼の背中を見送った。

「何だよ・・・俺ばっかり惚れているみたい・・・」

 かくして、彼等の恋は始まったばかりである。




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