第5話

「白亜、?どうしたの?

そんな切羽詰まった顔…」


「これ、!」


「アネモネだ…。でもどうして?」


「貴方を愛します。

…この間教えてくれた花言葉」


「嬉しい。…けど受け取れないよ」


「一華が経験してきたさみしさは僕が埋めるよ。埋めさせてくれ。少しづつでいい。

愛を一華には感じて欲しいんだ。触れ合うことは出来ないから、言葉で全部伝えるよ。

…それじゃあ、ダメかな。」


少しの沈黙が続き、彼女は僕を見つめ

柔らかな笑みを浮かべた。


「ありがとう、それじゃあひとつ、

お願いしてもいいかな」


表情を変えずに僕を手招きした彼女は

両手を広げた。


その瞬間、人のあたたかさがじんわりと

僕に伝わってきた。


手にしていたアネモネを潰さないように

僕も彼女をあたため返した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る