あたしとリマの不思議な運命?!(未完成)

・恵実たちは校外学習の一環で桜が丘科学館を見学していた。恵実とルカはここでスタッフとして働いている恵実の父と合流する。恵実の父によると今からプラネタリウムで面白いお話が聞けるのだという。



・席に座りドームを見上げる二人。ナレーターを務める恵実の父の声に従って星が明滅する。しばらくすると夜空は九年前に観測された『おとめ座流星群』を映し出した。近年その出現数は減少していたものの、恵実の誕生日に顕著な活動が見られたのだ。


ルカ「恵実の父さんが言ってた『面白いお話』ってこの流星群のことか?」

恵実「なんだかふしぎな巡り合わせだね」



・プログラムが終わりプラネタリウムを出る恵実とルカ。そしてリマたち神様見習いも同じ会場に足を運んでいた。


リマ「思い出しちゃったわ、地上に落っこちた日のこと。アタシは流星群に乗ってここにやって来たのよ」

シャル「そうだったんですか?」

セキ「ッたくかみ騒がせなヤツだ。大断崖から転落したときは肝を冷やしたなァ」

ウメ「大断崖?天界には、そんなものがあるの?天界で過ごした貴女たちのこと……もっと聞かせてほしい」



🌸



・リマは神様の養成所である『プルチック学園』に通う喜びの神様見習いだ。学園の生徒はみんな友だち、困っている相手を放っておけない性分。まさに喜びの名に恥じないパワフルな少女である。ある日リマが中庭を歩いていると見慣れない生徒がベンチに座っていた。ほろほろと零れる涙と制服の色からして哀しみの神様見習いであることは明らかだ。


リマ「どうして泣いているの?」

シャル「お気に入りのコンパクトミラーを失くしてしまったんですぅ」

リマ「アタシも協力するわ!」

シャル「ムリですよぉ。ずっと探してるんですけど見つからなくて」

リマ「困ったわね。天から助言をいただこうかしら」



・リマとシャルは校舎奥にある神殿へと参上する。絢爛な扉が開き現れた空席の玉座に向かって跪く二人。彼女たちの頭上から天の声が響く。その声によれば、学園の生徒たちに聞いて回ればリマたちの煩い事は自ずと解決するという。


リマ「ですって。さあ行くわよ!」

シャル「ふえぇ……天にすがるほどの要件じゃなかったかもですぅ」



・プルチック学園では感情の神様見習いたちが日々修行に励んでいる。彼らの司る感情は喜びと哀しみの他にも驚き、敬愛など多岐にわたる。二人がクラスメイトを尋ね回っていると、ある怒りの神様見習いのもとにたどり着いた。


セキ「コンパクトって、これのことかァ?」

シャル「そうですぅ!どこで拾ったんですか?」

セキ「違ェよ。オレが盗んだんだ」



生徒たちに聞いて回ると、コンパクトを盗んでもおかしくない神様見習いがいるという。一匹狼で周囲との馴れ合いを好まない怒りの神様見習いだそうだ。


シャル「怖いですうぅぅ!噂によると、」



天界の最端に赴けば

二人は翼を広げて空を舞い目的の地へと向かう。



・この世界と宇宙空間を隔てるもの、それは絶壁の大断崖だ。学園の生徒は立ち入りが禁じられているその場所でリマは人影を発見する。


リマ「ここに居たのねセキ!」

シャル「危ないですよ!足を踏み外したら落ちちゃいますぅ……!」

セキ「天からの処分はまだか」

リマ「何ですって?」

セキ「学園から追放されればコッチのもんだ。オレは罰を待ってるんだよ。もともと神なんぞに興味はねぇからなァ」



・吹き荒ぶ風に飛ばされそうになりながらもリマとシャルは屈しない。セキを学園に連れ戻したいからだ。


リマ「でもせっかく神様になる機会を与えられたのよ!アタシたちと一緒に頑張りましょうよ!」



・リマは歌う。紡ぎ出された明るいメロディーが草木一つ生えない荒原に響き渡る。



セキ「うるッせぇなあ゛ああ!!説得は聞き飽きたんだよォ!テメェらはみんな優しすぎるんだ!」



・不意に吹いた強風に煽られてシャルがバランスを崩す。その身体をセキが受け止めた先に見たのは深淵に吸いこまれるリマの姿だった。


セキ「泣くなガキ!テメェは早く神殿に行って天に報告しろォ!」

シャル「うわあぁぁん!リマさんが、リマさんがぁ……!」

セキ「クソッ!もういい!オレにしっかり掴まってろ、助けを呼びに学園へ戻るぞ!」



・断崖の下に広がるのは暗黒の中でなお煌めく満天の星々。リマは天界から宇宙空間へと放り出された。背後からリマを照らすのは春の大三角の一天体、おとめ座のスピカだ。リマの体躯が白く輝いていく。その瞬きに呼応するように周囲の星くずが尾を引いてリマを追った。


リマ「これは……流星群……?」



・リマは地球目がけて落ちていく。突如全身に強い衝撃がかかかった。大気圏に突入したのだろうか、上空の嵐のせいで目を開けることさえ困難だ。薄れゆく意識の中で赤子の泣き声が聞こえたような気がした。



🌸



・昔話に花を咲かせていると恵実とルカがリマたちを迎えに来る。帰る時間が近づいていたためだ。


ウメ「神様には興味ないって、言ってたけど。それは本心?」

セキ「あァ。オレは神ってガラじゃねぇんだよ」

ウメ「じゃあ……」

セキ「けど状況が変わった。ケジメのために引き受けた地上での任務だったが、そこでリマとシャルの人間臭い一面を知った。『神様』と呼ぶにはあまりにも不完全だ」

ウメ「ふふ、あたりまえ。だってワタシたちは『神様見習い』。これから成長していくのだから」

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🌸(旧版:2023.05.28) よん @orgasituwhite

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