転校生はいじめっ子?!

・ある日恵実のクラスに転校生がやってくる。彼の名前は安堂あんどうルカだ。ルカが隣の席になってから恵実の心は沈んでいた。事あるごとにルカに嫌味を言われるからだ。


恵実「はろー。あいむふぁいん、せんきゅー?」

ルカ「生憎だけど僕日本語喋れるから。それに僕は日本とフランスのハーフ。せめてフランス語で話しかけろよ?」



・学芸会の季節がやってきた。恵実のクラスは『白雪姫』を演じることになり、金髪碧眼のルックスからルカが王子役に推薦された。しかし白雪姫役がなかなか決まらない。


リマ「はーい!白雪姫役に立候補します!」

恵実「ちょっとリマ?!あたしが発言したって思われちゃうよ!」

リマ「でも本当は主役やりたいんでしょ?」

恵実「憧れはあるけど…あたしに主役なんてできないよ」

ルカ「うわおまえが姫?!似合わねぇ~!」

恵実「しかもコイツが王子役なんて~~!」



・不安でいっぱいの恵実のために、神様見習いたちが力を貸す。


リマ「パフォーマンス指導なら任せて!歌やダンスはアタシの得意分野よ!」

セキ「筋力トレーニングも必要だなァ、ついて来い恵実!」

シャル「裁縫はできますよぅ。恵実ちゃんはどんな衣装が着たいですか?」

ウメ「台本…滑舌、記憶、国語力。ワタシも手伝える…」



・学芸会前日の夜、恵実はひとり寝付けないでいた。


メィ「早く寝なさいよ。明日は大事な発表会ですわよ?」

恵実「うわあっ!どうしてメィが知ってるの?!」



・トレーニングは夜まで続くこともあった。恵実たちが慌ただしく何かに取り組む様を見て、メィは薄々勘づいていたのだった。


恵実「でも不安で…もし失敗したらどうしよう、もしクラスのみんなに迷惑かけたらどうしようって」

メィ「つまり恵実はセキ様たちを信じていないということですの?」

恵実「そんなことないけど…!」

メィ「劇を成功させる力は身についています。その力を十分発揮するためにも、今は適度な睡眠をとるべきですわ」

恵実「…うん」

メィ「というかセキ様の善意を蔑ろにしたら許しませんわよ!」

恵実「そっちが本心だよね?!」



🌸



・学芸会当日、ルカは恵実にクッキーをプレゼントする。

ルカ「これやる。僕が作ったんだ」

恵実「甘くておいしい…!ありがとうルカ!」

ルカ「おまえはたくさん努力した。劇は必ず上手くいくさ…って、そうじゃなきゃ困る。ポンコツ姫のフォローなんてしないからな~!」



・いよいよ恵実たちのクラスの番だ。神様見習いたちの猛特訓のかいもあり、恵実は順調に劇を進めていく。


?「お嬢さん、真っ赤なリンゴはいらんかね?」

恵実「まあなんて美味しそうなリンゴ…」

?=憂「だが毒入りのリンゴだ。その気になればお前を眠らせて連れ去ることもできるんだぞ?」



・大量のフロイデが憂の周囲を満たしていく。舞台上にいる恵実は何もできないまま憂に拘束される。


憂「感情とは身勝手なもの。唐突として人に憑依し暴れまわる。感情こそが人を狂わせる悪役だ!」

恵実「やだ!離してよっ!」

憂「ははははッ神は助けに来ない!感情を司る神もやはり身勝手だからな!恵実、諦めろ。これが真実なんだ」



・フロイデが邪魔をするため神様見習いたちは恵実に近づけない。そんな時ルカが舞台に現れ憂の前に立ちはだかった。


ルカ「これ以上おまえの好きにはさせない…!」

憂「所謂愛の力とやらか?神よりも先に王子が姫を助けに来るとは!しかし好都合だ。今回はお前の心を拝借するとしよう」



・フロイデがとり憑いたことでルカは意識を失ってしまう。しかしそのお蔭で恵実を取り囲むフロイデの群れに隙ができ、神様見習いたちは恵実を救出することができた。この事件を境にルカは神様見習いやフロイデといった『人ならざるモノ』の姿が見えるようになる。


憂「興冷めだ。今日はこの辺にしてやる」

恵実「感情は悪いものじゃない!感情は人を成長させてくれるんだ。感情がない生活なんて面白くないよ!」

憂「今にわかるさ。この言葉の意味が、身をもってしてな」

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