巨大迷路からの脱出?!

・憂の襲撃は尽く失敗に終わる。それでもなお同じ方法で神様見習いを倒そうとする憂に憎しみの魔女は痺れを切らした。ある日アジトから出て地上に向かう憂を魔女は捕え、フロイデの力で憂を異世界へと飛ばしてしまう。


憂「何のつもりだ、離せ……ぐ……ッ、……!」

魔女「わらわは苛立っている。憂よ、その身を犠牲にしてでも、わらわの可愛い子どもたちをいじめる者をこらしめるのじゃ」



・意識を失う寸前憂はセキを思った。助けてくれと願った。憂がまぶたを開けるととなりにはセキの姿があった。なぜかセキも憂と同じ異世界に連れこまれてしまったのだ。



🌸



・異世界は所謂巨大迷路であった。飛ぶことができないためセキと憂は歩いて出口を目指す。憂の関与を疑うセキは憂に成行を説明させる。


憂「なんだよ。ジロジロ見て」

セキ「ウソついてるか見極めてんだァ」

憂「ふーん……」

セキ「まァいい。テメェは必要以上に喋るなよ。同じ空気を吸ってるって考えるだけで反吐が出る」

憂「~っ、フン!それはこっちの台詞だ!」



・ひたすらに歩き続ける。憂よりセキの方が体力に自信があるため、自然とセキが前に出て進行方向を決めてしまう。


憂「この道さっきも通ったぞ……」

セキ「チッ、わかってるっつーの……オイ早く立てよ」



・憂は足を捻挫していた。慣れない運動のせいであろうか、憂は歯を食いしばったまま動けない。


セキ「乗れ」

憂「何のつもりだ」

セキ「オレが足に、テメェが頭になればいい。オレは謎解き向いてねーし。手っ取り早いンだよォ、オレが背負って進む方が」



・ついに迷路のゴールへとたどり着いたセキと憂。視界は白で満たされ、次に憂が目を開けるとそこは桜が丘だった。セキがうつ伏せ状態で倒れている。しかし一向に起きない。憂は悟る、憂自身に染みついたフロイデがセキの身を冒していたことを。セキは憂を不安がらせないため平静を装っていたのだ。



・憂はセキを置き去りにし、恵実の家の前まで足を運んだ。玄関のチャイムを押そうと手を伸ばすが、既のところで止めにする。憂はおもむろに羽ペンを取り出し、羊皮紙にセキの居場所を書くと、それを恵実の部屋の窓の隙間に差しこんだ。

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