リリーナの苛立ち(リリーナ視点)
この私がギルドを追い出された。
悔しい。悔しくてたまらなかった。
「(…メンバー募集…)」
私は無意識のうちに、ギルドメンバー募集の掲示板の前にいた。
私がメアリより劣っているわけがない。
私を欲しがるギルドはたくさんあるはず。
必死にSランクのギルドを探すが、あるのは低ランクのギルドばかり。
すると。
「リリーナ?」
私の耳に聞き覚えのある声が聞こえた。
「…!
メアリ…!?」
メアリ=ペリドット。
私が絶対に負けたくない相手。
こんな所を見られるなんて最悪…。
私は足早にその場から去ろうとする。
「リリーナ。
貴女、ギルドを探しているの?」
「っ…そうよ、悪い?」
「それなら!
私達のギルドに入らない?
今、ギルドメンバーを募集中なの。
だから良かったら…」
「やめて!!」
メアリは私の声に少し驚いた表情を見せた。
「私は今まで貴女をコケにし続けたのよ!?
それなのに勧誘してくるなんて…馬鹿じゃないの!?」
「だって、困った時はお互い様でしょう?」
私に手を差し伸べるメアリ。
私はどうしようもなくイラついて、その手を強く振り払った。
「貴女のそういう所が大嫌いなのよ!!」
「リリーナ!」
私は走ってメアリ達から逃げ出す。
「はぁっ…はぁっ…」
路地裏まで来てしまった。
私はへたり込む。
「なんなのよ…アイツ…」
私のプライドはボロボロだった。
「リリーナ=クリスタルさん。」
「!?」
急に声をかけられて、私は振り向く。
そこに立っていたのは、妖しげな雰囲気の男性だった。
「キミを探していたんです。
……『光の魔法使い』、メアリ=ペリドットを見返したくはありませんか?」
「えっ?…私は……」
「大丈夫。僕がお力添えをします。
だから、是非我がギルドに加入してくださいませんか?」
今度は彼から手を差し伸べられた。
「…分かりました…」
私は、ゆっくりとその手を取る。
彼は目を細めてニヤリと口角を上げた。
続く
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