運命の出会い…でしょうか?
「追い出されたぁ?」
「はい。」
私は行きつけの喫茶店の女店主、アリサさんに事情を話しました。
「あ、ランチのライス大盛りで。」
「あんたねぇ…呑気に飯食ってる場合じゃないでしょう…全く…」
アリサさんは呆れたようにため息をついた。
「だってお腹減ったんですもん。
腹が減ってはなんとやら、ですよ。」
「はいはい…ちょっと待ってな。」
アリサさんは厨房へと消えていった。
「…けど、本当にどうしようかなぁ…」
うーん、と私は頭を悩ませる。
この調子だと、恐らく私の魔法の実力で加入を認めてくれるギルドは少ない。
「…まっ、何とかなりますかね!」
小難しいことが嫌いな私は、考えることを放置しました。
だってまずはランチ食べたいし!!
「はいよ。お待たせ。」
タイミング良くアリサさんがランチを持ってきてくれました。
「わーい!!いっただきまー……」
私が手を合わせた瞬間、店のドアが開いた。
「いらっしゃい!空いてる席に……」
「………うぅ…」
店に入ってきた、黒髪のお兄さんは突然倒れてしまった。
「だ、大丈夫ですか!?」
私はすぐさまお兄さんに駆け寄った。
抱き起こすと彼は消え入りそうな声で、
「……腹…減った……」
と、呟いた。
「「…………」」
私とアリサさんは思わず顔を見合わせました。
ーーー
「いやぁ、本当に助かりました!むぐむぐ……」
「お兄さんもお腹が減ってたんですねー。」
「はい!…実は僕、ギルドを追い出されてしまったんです…」
んん?何だかとっても身に覚えのある話です。
「僕、魔力が凄く少なくて…いざギルドに加入したものの全然戦えなくて…。
ついに追い出されたんです。
そしてご飯を食べる資金も無くなっちゃって…」
「分かります!!」
「えっ?」
私はお兄さんの手をガシッと掴んだ。
「私もギルドを追い出されたんですよ!」
「貴女もですか!?」
「はい!
あっ、私はメアリ=ペリドットといいます。」
「僕はネイト=オブシディアンです。
なんだか、メアリさんとは仲良くなれそうです!」
「奇遇ですね!
私もそう思ってました!」
ネイトさんと私は、すぐに意気投合しました。
神様、これは運命の出会い…というものなんでしょうか?
続く
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