星読みの羅針

精錬された憂いを帯びて

星空に願いを捧ぐ旅人よ


サジタリウスの祈りは天空に告ぐ

一本の火柱によって

数多の憂いを引き受ける

その苦しみは星に願いを

月に懺悔を

夜明けの空に群青を

注ぎ足して埋めた

ガラス張りの宇宙に眠る


物語を紡ぐ羅針盤を手に

一つ一つの星座を回せ


時計は音を刻む時の審判

エメラルドグリーンの都市構造に終焉をもたらす

サラマンダーの息吹に堕ちて

鎌を振りかざす冥王の使いに

その身を明け渡してしまうがいい


月より出でて太陽に沈む

焔と冷水を纏いし者よ


砂漠に骨を埋めようとも

やがて浮き彫りになる

その身の罪は

虚空に還って輪廻を結ぶ


炎熱に溺れ

深海に踊れ


さざめく波の現世にあり

彼岸を湛えた眼差しで見よ

地殻は回る

終焉の歯車

いまだ大気を恐れず

天空に散って

青い炎と燃え盛るなら


己の情を焦がすほどに強く

求めよ

さすれば扉は開く


ほうき星は涙

お前が世界を憂うのならば

祈りに変えて雫を注げ

その身を使って生贄となれ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る