第2話 少女
「姉御、お茶です」
「ど、どうも」
私は今、先ほどの男達の家にいる。そこで、話を聞くことにしたのだけど
「姉御、お菓子はいかがですか?」
「・・・もらいます」
このままでは話が進まないと思った私は、話を切り出すことにした。そして、いろいろと情報と得ることが出来た。
まず、今は私が封印されてから1万年が経過していること。そして、魔王は封印されたのではなく、殺されたことになっていること。そして世界が平和になったこと。ただ、魔王が黒髪黒目だったことで、未だに黒は恐怖の象徴となっているらしい。だから、話かけただけで逃げられたのか。あまり、髪とかは見せない方がいいかな?
私は、男に近くの街の場所を聞き、そこへ向かうことにした。ついでに目元まで隠れる深めのフードを貰っておいた。
「姉御!お気をつけて行ってらっしゃいませ!」
随分と懐かれたな~、と思いながら街に続く街道を目指した。
街道を歩いている途中,考えていた。話足りない!封印が解けてから誰かと話そうと声を掛けるも逃げられ、やっと話しが出来ると思ったら、私を姉御呼びする男2人組。
まだまだ、対話に飢えている私は、誰かいないかな~と思いながら歩いていると、急に茂みから人が飛び出してきた。また、あの男達かと思って、飛び出してきた方を見てみると、10代半ばくらいの少女だった。何かから逃げているのか、息を切らしながら走っていた。
少女が私の存在に気づいて、忠告してきた。
「そこの人、ここから離れて!ゴブリンの群れがこっちに向かってる!」
そういう彼女の後ろを見てみると、確かにゴブリンの群れが彼女を追うように走ってきていた。
私はここで考えた。ここで助ければ話相手になってくれるのではないか。
考えてからの私の行動は早かった。
「ヘルフレイム」
私がそう言うと、手から青い炎が放たれて、ゴブリン達の方へと向かう。そして悲鳴が聞こえてくる。
それを見た少女は、目を見開き、口を魚のようにパクパクさせていた。
そんな彼女に私は話しかけた。
「お話しない?」
〈少女の視点〉
私の名前はレミー。両親は私が10歳の時になくなり、親戚もいない私は、日々生きることも大変で、そこらの出店から盗んでそれを食べることもありました。しかし、それも長くは続きませんでした。盗んだ店の人たちに捕まり、ボコボコにされました。その後、街の広間の隅にいると自分と同じくらいの子が草を抱えて、一つの建物に入っていくのが見えました。数分後、その子は、草の代わりにお金を抱えて、建物から出てきました。気になり、私もその建物に入ってみることにしました。
その建物には、厳つい顔のした大人が大勢いました。そこで、うろうろしていると、声をかけられました。
「どうしたんだい、嬢ちゃん?ここに何かようかい?」
声のする方を見ると、顔に傷のある男の人がいました。顔怖い。
「あははは、マーカスのやつ、怖がられてやんの」
「うるせー!おめえだってこの前、女に話しかけて逃げられてたじゃねーか」
「なんだと!ヤるってんのか!?」
そして、男達は喧嘩を始めました。
私が、それを見て怯えていると、優しそうな男が話かけてきて
「ごめんね。根は優しい奴らなんだけど、喧嘩っ早くてさ」
そう言うとここがどういう場所かの説明をしてくれました。どうやらここは、冒険者ギルドというらしいです。所謂なんでも屋です。依頼をすればそれをこなして、お金を貰う。さっきの子も薬草採取の依頼を受けていたそうです。
自分もここに入りたいと頼んだら、快く了承してくれました。
それから1年。今まで薬草採取だけをして、金を貰ってきたけど、それだけだとギリギリの生活でした。だから、戦闘の訓練を教えてもらって、今日初めてゴブリン討伐の依頼を受けました。ゴブリンを一体討伐するだけだから、そんなに大変な依頼ではないと思って、軽い気持ちで出発しました。
しかし、それがダメでした。ゴブリンは巣から離れると一体で行動することが多く、そのため、巣から離れたところを狙うのが定石でした。なので私は巣から離れたところに向かいました。しかし、そこには何体ものゴブリンがいました。まずいと思った私は、その場を離れることにしました。
その時、私は足下にある枝を踏んでしまいました。パキッという音が周りに響き、私に気づきました。
私は急いで逃げました。ただひたすらに走っていると、道に出ました。
そこで、フードを深く被った怪しい人がいました。ただ怪しいからと言って、見捨てることは出来ません。なので、私はゴブリンの群れが来てることをその人に伝えました。その人は何か考えてから、魔法を放った。
「ヘルフレイム」
そう言うと、その人の手から青い炎が出て、ゴブリン達を燃やしていきました。そして、ゴブリン達の悲鳴を聞きながら、話かけてきました。
「お話しない?」
え?
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