どんな出来事も真正面から受け止めて傷つくのに

 傷ついたことから目を逸らしてやり過ごす


 そうするうちに傷は澱になり

 心の奥底に追いやられる


 そうしてまた澱から目を逸らし

 新しい傷をつくる


 新しい傷は新しい澱になり

 古い澱の上に重なっていく


 だからなのか


 古い傷を思い起こす出来事に

 心は容易く揺れ動く


 上澄で澄んでいた心は

 激しくかき混ぜられ

 過去の澱を浮かび上がらせる


 過去も現在も未来も関係なく


 元の澄んだ心が懐かしい

 あの頃に戻りたい

 そう願いながら私はまた目を逸らすのだろう



〈あとがき〉

 古い傷も大したことがないと放置していたら、あとから大変なことになります。それを適応障害になって実感しています。

 忘れることはできなくても、思い出さないことはできる。けれどふとしたときに蘇る苦い思い出はより辛い。少しずつでもそれらを昇華していきたいです。

 そして、「大丈夫」と自分に暗示をかけ続けても、いつか暗示は解けてしまう。そんなときに動じない心でありたい、そう思います。

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