35杯目


 アゼリアとディモル、そして王太子、アゼリア以外には見えてはいないが、ルピナスの四人は、ただ静かに森の中心を目指した。アゼリアの小屋に、幾度もやってきて、フェンネルの畑の中で涙をこぼしていた少年が王太子であったとは、驚いたが、考えてみれば、アゼリアの瞳に恐れをなしても、何度も戻ってくるほどのつわものだ。それほど強い血筋となると、王族以外に考えられない。



「ディモル、大丈夫、ねえ、大丈夫……?」

「問題、ありませんとも……」



 言葉を口にするのも苦しげなくせに、ディモルはアゼリアに支えられながら笑った。土の精霊の力は、すでに消えてしまっている。短い、一瞬ばかりの力で、あれが彼が込めた最期の力だったのだろう。



「祭壇が見えたわ……」



 草木をかき分けて、進むと、ルピナスが小さな声を出した。アゼリアもその姿を見たことはない。一体どんなものなのだろうと思うと、目を凝らすと、意外なことに、それはただの湖だった。狂った季節の中で蛍がちらほらと飛んでいる。不思議と、湖は光り輝いていた。まるで今もそこに、誰か精霊が住み着いているようだ。



 ゆっくりと、四人は湖に近づいた。手順は理解している。王太子が片手で湖をすくった。そして願う。すると、新たな精霊が生まれるはずだった。いつまで経っても湖は変わらない。少年は理解し、口元を噛み締めた。そして大粒の涙をこぼした。



「や、やっぱり、ただ僕のことが嫌いになって、消えていっただけなんだ……」



 彼が嫌われて、いなくなってしまったと嘆いていたのは、土の精霊のことなのだろう。まさかそんなとアゼリアとディモルは互いに顔を見合わせたが、奇跡の一つも起こりはしない。気まずい沈黙だった。そんな中で、「馬鹿ね!」 アゼリアだけに聞こえる言葉で、ルピナスは怒った。



「新しい妖精が下手くそなのよ。精霊になる方法がわからないですって? もう、なんであの人は、こんな子を選んだのかしら。いいわよ、手伝ってあげる。嫌になっちゃう。これじゃあ、私もあの人に踊らされているみたいじゃない!」



 ルピナスが、人間に手を出すだなんて、ありえないことなのに。でも、こんなところまで連れてこられて、泣き出す子供を見ては、できることがあるのにできないなどと突っぱねることなんてできやしない。



 彼女は静かに四枚羽を開いた。本当は、ルピナスだって精霊になれるほどの魔力を備えている。アゼリアの一族を守って欲しいと願われたから、その分を受け継いだ。でも、ずっと拒んでいた。だってそうすると、あの子が本当にいなくなってしまうように思ったから。とっくに死んでいるはずの精霊なのに。



 小さなアゼリアは、可愛らしかった。ころころして、ときどき指先でほっぺをつんつんした。子供ってなんでこんなに丸いんだろう。食べてしまいたいくらい。ときどき、ぱっちりと真っ黒な彼女の瞳と見つめ合うと、見えているの? と首を傾げてしまいそうになったけれど、そんなわけない。いくら血が濃い子供が生まれようとも、ルピナスに気づく子なんて、どこにもいなかった。でもそれで十分だった。彼らの姿を見守っていきたかった。





 だから、雨の中、崩れ落ちた馬車で悲鳴を上げたのはルピナスも同じだ。まさかこんなことになるだなんて思わなかった。アゼリアの父と母は、彼女をかばうようにして必死で彼女の命を永らえさせた。なのに、ルピナスは何もできない。姿も、声も誰にも聞こえない。こんなことってあるだろうか。



 せっかく助かったアゼリアの命でさえも、少しずつ小さくなって、消えていく。小さなアゼリアの体が、馬車の重みに耐えられるはずもなかった。怖くて、恐ろしくて、ルピナスは叫んだ。アゼリア、アゼリア。助けを呼んでくるから。絶対に、誰かを呼んでくるから。お願い、待ってて。



 近くに人間がいたのは幸いだった。街も近いから、大勢の騎士が周囲を巡回していたのだ。ねえ、大変なの。子供が馬車の下敷きになっている。お願い、こっちに来て。お願い! 叫んでも叫んでも、誰もルピナスの声なんて聞こえない。当たり前だ。彼女は妖精なのだから。



 悔しかった。儀式がなければ、彼女は精霊になることができない。誰も、ルピナスの存在を認識できない。

 だから願った。これから先、精霊になんてなれなくてもいい。ただの一度きりでいいから、彼らに声を届けて欲しい。お願いだから、「助けて……!!」



 少年が、ふと顔を上げた。気のせいかとも思ったけれど、一縷の可能性にもすがりたかった。「ねえ、あっちに子供がいる! お願い、こっちに来てよ!」 彼の顔を見て、そっくりなこの少年が、あの男の子孫であることぐらいすぐにわかったけれど、そんなことはどうでもよかった。「こっち、こっちよ!」 羽根を震わせて誘導した。「ディモル、どこに行くんだ!?」 叱責の声がとんだが、少年は構わず駆けた。



 アゼリアがディモルに助けられたとき、ルピナスは大声をあげて泣いた。何の力にもなれなかったけれど、彼女が助かったことに対する安堵と、喜びと、たくさんの気持ちがぐちゃまぜで泣いた。それから、アゼリアはルピナスの姿と、声がわかるようになった。ルピナスは精霊と妖精の間の、中途半端な存在となってしまったわけだが、そのことになんの後悔もない。そして、彼女の両親を助けられなかった負い目から、アゼリアにこの事実を伝えることもない。



 庭園で再会した男がアゼリアの恩人であることは知っていたけれど、彼女の友を泣かせた張本人の子孫だから、結局、嫌いという感情が勝ってしまった。悪さをして、アゼリアまで泣かせてしまった。馬鹿なことをしたと思う。でも、彼の日記をこっそりと盗んだとき、こうなってしまったのは、仕方のないことだと書かれていた文字を読んで、なによと怒った。



 発端は自分の行いであるくせに、その子孫が諦めたような言葉を綴っている。いらいらして、えいとバーベナの枕元に日記を叩きつけたわけだが、多分ただの八つ当たりだ。嫌いという感情を長く持ち続けたから、自分でもきちんと飲み込むことができなくなっていた。愚かなのはルピナスだって同じなのに。






 ルピナスが両手を伸ばすと、みるみるうちに泉が光り輝いた。その中に、一人の精霊がいた。六枚羽で、ソップと同じ大きさで、ディモルよりも、少しクリームがかった金髪だ。不思議と王太子とよく似た風貌であったけれど、瞳だけは銀の色で、満月のようだった。



「ご、ごめんねえ……」



 精霊も、王太子と同じように泣いていた。「ぼ、僕が力になれたらよかったのに、ごめんね……。ずっと一緒にいたのに。一緒に泣いてたのに」 例えば、アゼリアとともに、畑で膝を抱えていたとき。例えば、馬車の中で震えていたとき。確かに彼はその場にいたのに、誰の目にも映らなかった。



 少年は、土の精霊となった。まだまだ未熟であるが、六枚羽がその証拠だ。王太子は、おずおずと彼に手を出した。互いによく似た泣き虫の子どもたちは、両手を握り合ってそれから抱きしめあった。ひんひんと泣き声ばかりが響いている。



 よかったと息をついたとき、ぼろぼろの体でディモルはすっかり座り込んでしまった。「ディモル様……!」 抱きとめたアゼリアの体も、一緒に崩れ落ちた。



「す、すまない……頭はしっかりしているんだが、どうにも体が」

「おそらく、もう少しでストックさんが来ます。目的地はここだったんですから、間違いません。それまで、我慢なさってください」

「うん、大丈夫……」



 そのあたりで、すっかりアゼリアの胸に顔をうずめていたことに気がついた。「すまない、血が!」「構いません」 か細い抵抗だったから、持ち上げた頭を再度抱きしめたところで、アゼリアも状況に気がついた。ひどく赤面したが、それを彼に知られることはないと気づいて安心した。ディモルはすっかり瞳を閉じてアゼリアを抱きしめていた。



 一体、アゼリアが何者であるのか。ディモルは一つも聞かされていない。だから静かに呼吸を繰り返し、そっと彼女に問いかけた。



「なんで、君がここにいるんだ……?」



 ディモルは彼女の力よりも、そのことの方が疑問だった。たとえアゼリアが不思議な力を持っていようとも、彼にとって、アゼリアはアゼリアだからだ。


 アゼリアも、ディモルの疑問を、自身にずっと問いかけていた。理由がないとストックに言われた。じゃあ、過去に命を救われたから。これも違う。救った命を、命で返すことは、決して対等な手段ではない。愚かなことだと、アゼリアにもわかる。それなら。



「ディモル様が、私にとって大切な方だからです」



 ゆっくりと、空が白んで、明けていく。夜が少しずつ終わっていく。きらめくような湖の水面に、空の色が落とされる。「僕も、君が……」 勝手に、言葉が漏れていく。抑えつけていたものだ。呪いがあるこの身に、そんな言葉はふさわしくはないと思っていた。「君が、好きだよ」 光が弾けた。





 夢の中で、泣いていた女の名はブロワリア。精霊であり、彼女の先祖だ。男に袖にされて、悲しくて、悲しくてたまらなくて、愚かな呪いをかけてしまった美しい女だ。彼女はすぐに死んでしまった。寿命を悟った彼女はルピナスに子を託した。どうか見守って欲しいと告げた言葉を、ルピナスは頷き、彼女の子孫を見守った。


 アゼリアは、精霊と人との混じり人だ。その血を、濃く受け継いでいる。





 光が収まったそのとき、アゼリアの瞳の色がわずかに変化していた。菫色の瞳は更に薄く、ピンクがかった色合いだ。桃色の髪はすっかり黒にかわってしまった。



「ずっと泣いていたあの人は、私のご先祖様だったの……」



 理解した。ディモルの言葉を聞いた途端、様々な記憶が、彼女の中で弾けた。すっかり夜は明けている。なのに、ディモルは夜の全てを覚えている。「なんでだ……」 明け方の、言葉では言い表すことのできない昼と夜が混じり合った美しい空を見上げて、すっかりとけてしまった自身の呪いに、疑問の声を吐き出した。



 その驚きはルピナスだって同じだ。



「な、なんで? ブロワリアはとっても強い精霊だったのよ。死んでしまったあとも、ずっと呪いが残ってしまうほどなのに。なのに、こんなにもあっけなく」



 ルピナスの声をきいて、ディモルはゆっくりと瞬いた。「きみは、一体どこから?」 互いに見つめ合ったあとで、ひぎゃあとルピナスは声を上げた。そして自分の体をばたばたと叩いて確認した。



「つ、土の精霊……! あんた、悪趣味だわ……!!」



 未だルピナスは妖精の体であるが足りなかった魔力は満ち足りている。先程、新たな土の精霊が生まれたとき、彼女と土の精霊の魔力は混じり合った。過去に無理をして使ってしまった魔力を補填されたのだ。魔力が溢れかえったことで、一度つながった人間には、彼女の姿が認識できるようになってしまった。少年である頃、ディモルはルピナスの声をきいて、アゼリアを助けに行ったのだから。



 驚く二人とは反対に、アゼリアは理解していた。アゼリアの瞳が、人を驚かせるのは、ブロワリアがジューニョ家に呪いという力を置いて行ってしまったから。半分の力しかなかったから、自身の力を抑えることができずに、暴れさせていた。ディモルがアゼリアの瞳を恐れなかったのは、自身の呪いと同じ力だからだ。


 それがしっかりと、アゼリアのもとに、いや、ブロワリアの血筋に戻ってきている。これは全て、小さなきっかけの重なりだ。



「ルピナス、ひとつ、きいてもいいかしら。私のご先祖様は、ブロワリアという精霊なのよね?」

「……そうよ。アゼリアは、強く彼女の力を引き継いでいたわ」

「じゃあ、彼女は、一体誰とつがいとなったのかしら」



 ディモルの先祖なのだろうか。一晩限りの関係で、子をなした。「ち、違うわよ!」 ルピナスは首を振った。アゼリアは笑った。分かっている。彼女の夢の中では、ずっとブロワリアは泣いていたけれど、それは呪いの力に引きずられていたからだ。それがとけてしまった今、大きな背中の誰かに、彼女も背を預けて、幸せに歌っていた。



「彼女はまた、新しい家族を見つけたのね。ルピナス、ブロワリアは、とっくに許していたのよ」

「そんなわけない!」



 どれだけ彼女が泣いていたか、苦しんでいたのか知っている。だからすぐに死んでしまったのだと思っていた。



「人は、嫌いだわ。アゼリアと、祖先である彼らは違うけれど、適当に誤魔化して、許しをこいているくせに、心の中じゃ舌を出してる。知ってるのよ。日記を読んだわ。こうなってしまったのは、仕方のないこと、ですって? ディ、ディモルにはなんの責任もないことだわ。全部、あの男が悪いのに、悪いのに……」



 ルピナスは小さな手のひらでぎゅっと服の裾を握った。日記、という言葉をきいて、ディモルは驚いた。覚えのある言葉だからだ。「ルピナス、だったかな。僕の日記を読んだのか?」「そうよ。最初だけね! あとは腹が立って投げつけてやったけど!」 バーベナの枕元へ、ということである。



 どうりでとディモルは納得した。



「あれは僕の言葉じゃない。先祖の、呪いを受けた張本人の言葉だ。彼は自身が呪いを受けたことは仕方のないことだったと後悔していた。でも、僕たち子孫まで同じく呪いを受けることには、たいそう胸を痛めてらした。だから、彼の言葉を、代々受け継いでいく。そしていつかあの精霊に出会ったときには、謝罪の言葉を伝えられるようにと願って死んだ。僕は彼の言葉は忘れないように、最初のページに書いてるだけだ」



 ルピナスは、大きく瞳を見開いた。



「彼は呪いを受けて、最初はひどく憤慨していた。でも、伴侶を得て、彼女に事情を話すと、重たい平手打ちが待っていたそうだ。こんこんと説教された。そして、次第に心根を変えていった。今更と迷いつつも、謝りに再度森を訪ねたときには、すでに精霊は消えていたそうだ」



 確かに、ブロワリアは子を産んですぐに死んでしまったから、訪ねたのがその後だとしたら話に辻褄はあう。



「で、でも! なによそんなの。伴侶を得て、ですって? 好きな人ができたからその人の説教で目が覚めたなんて、そんなの……そんなの……卑怯だわ! どうせ謝りに行ったというのも、呪いを解いて欲しくてってだけでしょう!」



 彼女が言うことも、もしかすると一理あるのかもしれない。

 アゼリアはそっとルピナスを見つめた。



「ねえ、ルピナス。私以外の人、と言ってくれることは嬉しいけど、私だって、たくさんの汚い気持ちはあるわ。多かれ少なかれの差はあるけれど、みんな同じよ」



 アゼリアの中に流れ込んでいたブロワリアの気持ちは、ただ幸せなものだった。残してしまった呪いを、気にかけてさえいた。「でも、この呪いは、彼女と男の想いが通じ合わなければ解けないものだから……」 彼女には、すでに解くことができなかった。なぜなら、彼女はすでに他の男を愛していたからだ。



 ぽろりとルピナスが溢れた涙を、アゼリアはそっとすくった。



「ルピナス。私が小さなころ、馬車で事故にあったときディモル様に助けてくれと叫んでくれたのね。知らなかった。ありがとう」



 様々な記憶が見えたのだ。その中には、ルピナスが必死でディモルに声をかけている姿もあった。ぽろぽろこぼれる涙はとまらない。笑って、片手で彼女の頭を撫でた。



「馬車の事故? それは、どういう……?」

「ディモル様は覚えていらっしゃらないかもしれませんが、幼い頃あなたに助けてもらいました。とても感謝しています」



 隠すつもりはなかったから、感謝の言葉を伝えると、ディモルは驚きの声を出した。「もちろん、覚えている。君が、彼女だったのか。どうりで……」 泥だらけで、顔すらもわからなかったのに、可愛らしかったとおぼえているわけだ、とは言えなかった。



「……ちょっと、そんなことよりあんた、いつまでアゼリアに抱きついてるのよ。離れなさいよ!」

「ルピナス! ディモル様は怪我をしていらっしゃるの。蹴らないで、やめなさい!」

「いや、まあ、そんな……」



 土の精霊の力が消えてしまう前に、少しばかりの回復はしてもらったので、実のところそろそろ体力も回復してきた。抱きしめながら庇われてしまうと、妙な気持ちになってくる。そんな彼らの姿を、王太子と新たな土の精霊はちょこんと座って見守っている。なんだか気まずい。



「も、もう大丈夫だ。ありがとう」



 それよりも、気になることがある。さらりと流されてしまったわけだが、彼としては一世一代の告白だった。しかし彼の呪いを解くためには、互いの想いが通じ合う必要があるという。ディモルは片手で顔を覆った。真っ赤な耳が見えている。返事など、もらったも同然だった。しかしだ。王太子の視線を確認した。こんなことをしている場合ではない。いやでもと葛藤したとき、少年はそっと両目を手で覆った。同じく、新たな精霊もそれに倣った。ディモルは唇を噛んだ。



 くっ、呻いて、再度彼女に近づく。そっとアゼリアしか聞こえない声で囁く。「アゼリア、僕は君が好きだよ。できれば、答えが欲しい」 控えめな問いかけだったが、胸の中はひどい早鐘が打っていた。アゼリアは、ディモルの言葉をきいて、幾度か瞬いたあと、「えっ!」 と肩を跳ね上げた。



「あの、す、好きとは、その、そういった、でもその、そうです、ディモル様には、お付き合いしていらっしゃる方がいるのだと……!!」

「つ、付き合い? なぜ? なんのことなんだ」

「でも、私に渡す以外にも、手土産は他の方にも準備しているのだと」

「誤解だ、妹だ! リージャ・ジューニョ! うちのこまっくしゃれな妹だよ! 僕が好きなのは、君だけだ!」



 なんていうことだろう。


 好き、という言葉が、アゼリアの中でぐるぐると回る。一体、どういった意味で。もしかすると男女の言葉で。でもそんな。「わ、私にとって、ディモル様は大切なお方ですが、好きとか、そういうのは、その」 混乱して出した言葉に、まさかのルピナスが呆れたようにアゼリアを見た。「あなた、まさか」 訝しげに声を落とす。「自分が、ディモルのことを好きって知らなかったの……?」 妖精のルピナスでさえも、気づいてたことなのに。



「えっ?」



 頭から煙が吹き出しそうなほどに真っ赤にしながら、アゼリアはルピナスを見た。慌てるアゼリアを、ディモルは口元を押さえながらも視線をそっと逸らした。じわじわと、アゼリアは認識した。何かが下から上に、上ってくるような感覚だ。「~~~~!!!」 言葉だって出ない。



 ストックが来るまでの間、彼らの混乱は続いた。ボロボロの姿のディモルを見て、「想像の通りだな」と彼は笑った。それから、新たな土の精霊と、王太子を見た。何か複雑な表情だったような気がするが、アゼリアはそれどころではなかったのだ。

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