第6話プロット!!

「成る程シナリオ……ねぇ」


あの後、細かな事をザックリ決めると俺達は一度部室に戻ることにした。


「ふーん……まぁ良いんじゃない。ちょうど新入生には何かさせようと思ってたし」


荒神先輩は椅子に座り腕を組みながらそう言う。


「えーと、それでどういうのを作れば良いの?」


「あ、はい。これ」


そう言い俺は、今回こういうのを作るというメモ用紙を渡した。

 菊川先輩はそれを受け取り固まった。

 ま、だよな。だって読めないもの。そう、メモ用紙を記された文字は、なんというか……独特過ぎて読めないのだ。


「貸してみ」


荒神先輩は、横からヒョイッとその^メモ用紙を取る。


「ふーん。……成る程」


「読めるんですか?」


「まぁな。アイツとも長い付き合いだし」


へー。まぁ確かにリン先輩とも親しい感じだったし。荒神先輩が知ってても当たり前と言えば当たり前か。


「で、何て書いてあるんだ」


荒神先輩はチラッと緑園先輩を見て答える。


「うーん。じゃぁ読みます。今回以来するのは、今作ってるシューティングゲームのストーリーのプロット。

 期限は2週間後。頼んだよ。だって」


「プロットで良いのか?」


緑園先輩が再度聞く。そんなに、大事な事なのか?


「うん。その他の細かい事は全く条件が無いから、好きに作って良いのかもね」


「あの、質問いいですか」


「なんだ? 輝」


「いや、そのプロットってなんですか? いや、意味はわかるんですけれど、小説のプロットって?」


「まず、そこからか。……プロットっていうのは、いわば小説の設計図みたいなものだ。

 この話はこんな感じで、こういう風に物語が進んでいく……みたいにな。

 これ、サボると話の収拾がつかなくなったりして色々面倒臭い事になるんだよ」


「まぁ、結構プロットをはみ出す奴もいるがな」


緑園先輩は荒神先輩を見ながらニヤリと笑いながらそういう。

 それに対して荒神先輩は


「うるせっ」


 と一言返す。図星みたいだな。ていうか、本当仲良いなこの2人。

 もしかして……


「さて、じゃぁ早速書いていきますか!」


「じゃぁ先輩達私達にプロットの書き方教えて下さい。

 あと、ゲームシナリオの」


先輩達はピキンと固まった。

 あっ、これってもしかして……


「さて、俺達は小説を」


「そうね。うん。まだ今日の分を」


「もしかして、先輩達ってゲームのシナリオを書いたことないんじゃ」


……


あっ、固まった。

 図星かい。分かりやすいな。この人達。


「ふふふ。確かに私達は書いたことは無い」


「だが、それがイコール描けない訳じゃ無い」


開き直ったよ、この2人。

 

「まっとけ! いくよ緑園!」


「分かってる」


「って! 何処にいくんですか?!」


あの2人急に部室から出て行ったけど本当に何処にいくんだ?


「あの、菊川先輩。リン先輩いいんですか? あの2人どっか言っちゃ立たんですけど?」


「まぁ、いいんじゃ無い。うん、そのうち帰ってくるよ」


「私、絵かくからー」


うーん? 良いのか?

 それから数分後


          ♢♢♢


「という事で! ゲームするぞ!」


「まって! 何でそうなった!」


帰ってきたと思うと何処からか小さなテレビとゲーム機、コントローラーを2人分持って帰ってきた。


「あの、先輩。これは私もよく分からないのだけど? 何でゲーム?」


「やっぱ、ゲームのシナリオを書くならそれを知るのが1番良いの!」


と、緑園先輩はそう言いながらウキウキとゲームの準備をする。

 あ、これただやりたいだけだ。


「けど、ゲーム機はどこから?」


「ちょっとツテがあってな」


と荒神先輩はテレビの準備をする。

 本当どんなツテだよ。


「さっ! じゃぁやろうか!」


2時間後


「よっしゃ! 7面クリアー!」


  「「「「「おぉーー!!!!!」」」」」


よっしゃー! これで次のステージに!

 いやー、なんかこうやってみんなとゲームするのはやっぱり楽しいなー!

 さて、次は……あれ?


「よーし、次はどんなステージかなー」


「あの、俺達何でゲームしてるんですけ?」


「それは、小説作る為の……」


近くにいた菊川先輩はそこで言葉を止める。


「ちょっと待って! 僕達って、シナリオするために菜やってるんだよね!」


「「あっ!」」


そこで、荒神先輩と緑園先輩の手が止まる。

 2人がコントールしてた飛行機が墜落した。

 

         ♢♢♢


そこから、俺達はすぐにゲームを片付け(セーブは必ずして)机を囲むように座った。


「さて、大体は分かっし。多分こういうゲームに適したストーリーの大枠さい作ればいい訳だよね! 荒神」


菊川先輩がゲームに没頭しすぎて本来の目的を忘れた気まずい空気で話を切り出し、それを繋げるために荒神先輩にふった。

 やっぱり、この中で1番まともなのは菊川先輩だな。


「そうだな。他にはえーと」


そこで荒神先輩はメモ用紙を読む。


「ギミックとして必殺技を入れるからそれにあったストーリーを書く事。

 後、出来れば主人公は男子でも女子でも大丈夫な奴。

 って書いてあるな」


「じゃぁそれで書くしかないな。なぁ、もう今日はこれで解散ではいいだろう」


「良いじゃない。時間来てるし」


「うっし。じゃっ、解散」


そう言い、先輩達はゾロゾロと教室を出ようとする。

 って、まてまてまてー!


「いや、帰らないで下さいよ! 俺まだ何も教えてもらってないんですよ! 小説の書き方もプロットなら書き方も! 

 そもそも、どんな奴が面白いかも、何を書けば良いのかも分からないのにそれで書けって」


無責任すぎるだろ! ちゃんと教えろよ!


「はぁー」


緑園先輩はため息を吐き俺の方に近づく。

 そして、俺の頭を軽く小突く。


「何を書けば良いのか分からない、何て当たり前の事聞くなよ。

 そんなの、私らだった分からないよ。

 何もかもにルールがあるなんて思うなよ。小説っていうのは基本的に自由なんだよ。だから面白い物も出来上がるし、つまらない物も出来上がる。

 けど……そこが楽しいんだよ、これが」


俺は拳をグッと握っていた。


「とりあえず、好き勝手に好きな物を書いてみな。そしたら私らが読んで感想いってやる。じゃーな」


そう言い、緑園先輩は部室を立ち去った。

 それを追いかけるように、他の先輩達も出て行く。

 と、そこで荒神先輩が立ち止まる。


「と、言う事でとりあえず書いてきてくれ。教えるのはそれからだ」


         ♢♢♢


「小説っていうのは基本的に自由なんだよ。だから面白い物も出来上がるし、つまらない物も出来上がる。

 けど……そこが楽しいんだよ、これが」


「ぶっ」


近くのハンバーガーチェーン店ダック。そこの一角で語手ノベル部の先輩チームである緑園ら4人は買い食いをしていた。

 そして、さっきの緑園の言葉を荒神が復唱した事により緑園は飲んでいたジュースを吐き出しそうになった。

 せっかくの美人がこれでは台無しだ。


「お前、私の言った事を復唱するな!」


「いやー痛いねー」


「うるさい! 私の古傷をえぐるなー」


普段無表情の荒神はニヤニヤと意地の笑い笑顔をし緑園は顔を真っ赤にしてその場に突っ伏した。


「ま、良いけど。ぶっちゃけカッコいいとは思ったよ」


「そうかよー。と、それであの2人どんな物描いて来ると思う?」


「さぁね。まぁ綾音の方は何か持ってくると思うけど、輝の方は」


「ま、何か書けーって言われても私もすぐには思いつかないもんなー。それが最初なら特に」


「じゃ、何かきっかけでも作ってやればいいんじゃない」


と、ポテトをかじっていたリンがポツリとそういう。


「と、言うと?」


菊川聞き返す。


「いや、ほらあんたら小説書く時って何かスイッチみたいなのがあるじゃん。それをあの2人、というか輝に与えればいいじゃん」


「「あー」」


そこで荒神と緑園は納得する。


「けど……どうやってきっかけを作るの?」


と菊川は聞き返す。確かに、きっかけを与えると言うのは、中々の難しい。何故ならきっかけを作ると言うのは人の心を揺さぶると言う事だ。

 しかし、それはこの2人に当てはまらない。何故ならこの2人はいつもやっているのだから。人の心を揺さぶると言う事を。


「簡単だよ」


「行くか」


そこに緑園は頷く。


「あー本屋に!」








 






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