第6話 生徒会長 豊島園 ACT2

 ここで引くのは男が廃る!!


 てか、僕は今女の子なんだけど……。


 ああああ! 吸血鬼の血がうずく。体が熱くなる。

 駄目だよう。


 豊島さん。その白い肌に残る僕が付けたという牙と歯型の後。僕は彼女の体に傷をつけていたんだ。


「……ごめんね豊島さん。こんな傷を付けてしまって。少し思い出したんだ。あのパーティーの時の事だったんだね」


「はい、そうです。嬉しいです思い出していただいて。この傷は私の誇りなんです。私の命を救ってくれた景様へのそして、私が恋した景様への愛の印だと思っています。あの時から私の純血はあなたのモノなんです……。どうぞ私を召し上がってください」


 豊島園は僕の前にひざまつき。


「我が愛しき主なる真祖『飛鳥景』様。なんじにこの身を捧げこの純血を分かち合う事を許したまえ。我の生涯をなんじに捧げ生涯の伴侶とし、汝に仕える事を誓う」



「ちょっと待て!! 本当にいいのか! それは僕に対する伴侶としての契約の言葉だぞ。と、取り消しなんて出来ないんだよ」


「はい、覚悟の上です。景様」


 豊島園はグイッと僕の口に自分の首筋を押しあてた。


 彼女は本気だ。


 その傷をぺろりと舐め。


 僕は覚悟を決めた。これが初めての伴侶契約の儀式だ。

 僕が答え、彼女の純血を吸う事で契約は成立する。



「汝の願い我が承諾する。汝『豊島園』を我が伴侶として迎え入れる」


 そっと彼女の首筋に牙をさし込む。


 ビクッと、彼女の体が震えた。


 始めだけほんの少しの痛みを感じるだろう。だがその後は僕の唾液が、痛みを打ち消す。牙が生えている時に分泌される唾液は、この痛みを感じさせなくさせる。


 メリっと牙が彼女の中へ深く押し込まれていく。


 じわぁ―っと血が流れ出てくる。


 温かい、そして甘く好美な香りが全身に沁み込むように、僕は彼女のその純血を飲み込んでいく。


「ああああああああ! け、景様。私幸せです。もっともっと吸ってください」


 良いものだ。我が伴侶となるモノの純血は。


 このまますべての血を吸いつくしたい。そんな衝動にかられながらも僕はそっと彼女から牙を抜いた。


 全ての血を吸いつくしてしまえば彼女の命はない。

 我が伴侶となる者の純血は高貴なるモノだ。

 また堪能するとしよう。


「ぬふふふ、園よ。我が伴侶となり生涯を捧げよ」

「はい景様」


 そして彼女に変化が訪れる。


「あっ! ああああああああああ! 熱い、体が熱い。体の奥底から熱が湧き出るように熱いです」


 豊島園は、ブラウスのボタンを全て取り払いスカートを脱ぎ、僕に抱き着いてきた。


 その豊満なおっぱいが僕の胸に押し当てられる。

 柔らかい、そして彼女の体から発せられる熱い熱が伝わって来る。


 そうなんだこれが血を吸った後に起きる副作用的な反応だ。


 蚊が血を吸った後かゆくなるのは、蚊が血を吸うときに分泌する生理活性物質を注入するからだ。そのアレルギー反応でかゆみが起こる。


 そして僕ら吸血鬼が牙をさす時に分泌する唾液は痛みを打ち消す作用と、傷を残さないようにする機能がある。

 だが、若い女の子に限ってある特殊な反応が起きる。


 そうまさに今豊島園は、その反応アレルギーが勃発し始めたのだ。


「景様……景ちゃん。私を抱いてください。お願いします……この熱いのどうにかしてください」


「いいのかい園」


「はい、私の初めてをあなたにもらってもらいたいんです。そして伴侶たる使命を果たしたい」


「そうかならば我が世継ぎを孕め」


「はい、喜んで」


 豊島園のその白く柔らかい肌に触れながら欲情を露わにし、己の望むままに向かい合う。


「……け、景ちゃん。私幸せ!!」



 ガチャガチャ


「あれぇ! カギがかかってるよう」

 ピッ!

 ドアのロックが解除された。


 バタンとドアが開いた。


「あ!」

「あ!」


 始めお互いに出た言葉がこの一言だった。


「あれぇ、景ちゃんお楽しみ中だった。ごめんねぇ」


「な、何で彩音あやねさんが来てるんだよ。そ、それに何でその格好なんだ」


「あ、似合うここの制服! 可愛いよねぇ。景ちゃんの制服注文するときに私のも注文してたんだぁ。ルンルン」


 あ、彩音さん……。一応母親なんだけど、見た目は女子高生そのもの。

 もしかしたら僕より可愛い女子高生に見えるかもしれない。


 まぁ、彩音さんは半妖の吸血鬼なんだよねぇ。


 珍しい現象なんだけど、父さんから血を吸われ過ぎたのと、あの特殊分泌液が彩音さんの中に大量に入った結果、稀に起きる一般の人間が半妖吸血鬼に変化する現象。彩音さんはその現象が起きてしまったらしい。


 で、こともあろうか、年を逆行させてしまい女子高生の所で進行を止めている。

 つ・ま・り……。見た目高校生の母親なのだ。


「うんうん、あ、園ちゃんと今こうなってるって言う事は、園ちゃんの血吸ったんだぁ。いいなぁいいなぁ……、でさぁ、伴侶の契りもしたんでしょ。やったね景ちゃん」


「あのう彩音さん、豊島さんの事知っていたんだぁ」


「うん知ってるよう。園ちゃんのママとは友達なんだぁ。あ、でもねあの事件以来、園ちゃんと景ちゃんは18歳になるまで会わせないていう約束だったんだけどね……。ああ、園ちゃんのママに謝らないと」


 豊島さんは裸のまま、まるでネコの様にごろごろと僕の体に抱き着いたままだ。


「でもさぁ、伴侶の契りはいいとして、まだ園ちゃんを孕ませちゃまずいでしょ。親同士は公認なんだけど、景ちゃん一応性別男なんだからさぁ、18歳にならないとこの国の法律がうるさいじゃない。だ・か・ら。ちょっと邪魔しに来たという訳」


「も、もしかして生徒玄関からずっと僕を見てたなんて言わないよね」


「いたよぉ! ずっと景ちゃんの事見ていたんだよう。だって物凄く可愛んだもん。見ていて嬉しくなっちゃった」


 ああああ! あの鋭い視線は彩音さんだったんだ。


 て、言う事は豊島さんは彩音さんがいることを知っていて、僕を誘ったという事か?


「はふぅ。あれ? 彩音さん、ンもう、もう少しだったのにぃ。やっぱり止めに入ったんですね」


「そうそう、景ちゃんがこの高校に編入するのが決まってから、園ちゃんママから頼まれていたんだぁ。園ちゃんが早まらない様にってね」


「残念ですわ。せっかく景ちゃんの世継ぎを産めるかと思っていたのに。でもね、でもね。伴侶の契約はしちゃったんですよ」


「ン――。ま、いいかぁ。園ちゃんが景ちゃんの第一伴侶になる事はおじいちゃんから言われていたことだからね。それより服着ようかぁ。このままだと風邪ひいちゃうよ」


「あ!」

 顔を真っ赤に染める豊島園だった。


 転校初日にしてなんと、思いがけずと言うのか、これはうまく策略にはまったというべきなんだろうか?


 第一伴侶を僕は手に入れることが出来た。

 でもまだこれからなんだ。僕のハーレムを作り上げるにはまだまだかかりそうだ。


「あ、そうだ景ちゃん」

「ん? どうしたの豊島さん」


「部活まだ決めていないんですわよね。だったら生徒会に入りなさい。生徒会長の私が任命します」


「えええ、でもぉ……お役所みたいな仕事僕出来ないよぉ」


「いいんですのよぉ。私の傍にいてくれるだけで、それでいいんですもの」


 またまた顔を赤くする豊島園。



 やっぱり可愛い。

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